CAR

2024.11.11

グッドイヤーの新型タイヤ「EAGLE F1 ASYMMETRIC 6」最新の深化を試してみた【試乗記】

アメリカを代表するタイヤメーカーであるグッドイヤーが、スポーツレンジを担うイーグルシリーズの最新モデル「イーグル F1 アシメトリック6」を発売。この新作タイヤを履いた試乗車を駆って、富士スピードウェイの滑りやすいテストコースと一般道も試乗体験!

120年以上の歴史を誇る老舗タイヤメーカーのグッドイヤーが、今春に発売したスポーツ系プレミアムレンジタイヤの“イーグルシリーズ”最新モデルが「イーグル F1 アシメトリック6」。

“走る・曲がる・止まる”のすべてが楽しい!

運動性能、快適性、安全性を重視した設計で、グリップ・ブレーキ性能”、“静粛性能”、“転がり抵抗性能”からなる3つの性能すべてを向上させたという。

“イーグルシリーズ”のなかでも、ウルトラハイパフォーマンススポーツタイヤに位置付けられるイーグルF1 アシメトリック 6は、「俊敏性」と「快適性」を兼ね備えた高性能プレミアムタイヤという位置付けだ。

先代同アシメトリック5の性能はそのままに、ドライ路面における俊敏性を改善。加えて、環境性能を上げることはもちろん、どんなシチュエーションや状況下でも力強い走りと、より運転が楽しくなるタイヤを目指したという。

ブレーキ時のふらつきは少なくグリップ力も良好。高剛性ワイドショルダーブロックを採用し、パターン剛性を向上したという。

モビリタの特設コースで行われたテスト比較では、イーグルF1 アシメトリック6を思う存分体感。施設内では従来型と最新型のタイヤを履く試乗車を同条件で比較ができ、低ミュー路でのドリフト旋回(トラクションコントロールONとOFFの比較)や、きつい高速バンクを100km/hで駆け抜け、直線からのフルブレーキングも。

さらにはパイロンスラロームからの急制動など、ドライとウェット路面において、優れたアシメトリック6のタイヤ性能を反復して試乗体感できた。

ウェット路面での急激な操舵にもタイヤはよれず、安心感を持って終始操舵できるのは印象的。

ウェット路面での安定感について、グッドイヤー技術者に聞くと、「幅広ストレートグループの採用により、排水性は高く、雨天でも高速走行に優れた耐ハイドロプレーニング性能によって、快適なドライブをサポートしてくれる」という。実際に体感しても、アシメトリック6の安心感はひとしおだった。

特に60km/hからのABS作動のフルブーキング時では、新旧タイヤ比較で制動距離の差を走り比べたものの、その制動距離の差はなんと3本の計測で最大2.6m! 新型アシメトリック6の制動距離の短さは明らかだった次第。何より走る・曲がる・止まるが楽しい!

新しい樹脂コンパウンドの採用で、高いドライ性能を実現しながらウェット性能も向上。さらにタイヤ表面の横溝を従来品より細かくすることで、回転時の気柱共鳴音を軽減しパターンノイズを低減している。

クワイエットラグジュアリーなタイヤ

一般道でのアシメトリック6試乗に関しては、新旧比較は敵わなかったものの、3つの異なるキャラクターのクルマを試乗できた。いずれも終始乗り心地は良好で、ギャップの激しい突き上げをスルーしても不快感はなく、スポーツタイヤというほどガチガチといった固さはなく、優れた乗り味に終始したのだった。

ドライ性能の向上とともに、ウェット性能も引き上げているというアシメトリック6の“触れ込み”どおり、優れたパフォーマンスの向上ぶりを体感できた今回。ハガキ1枚分のタイヤ設置面にもかかわらず、このような性能アップを比較試乗で試せるのはとても面白い。

負荷に応じて接地面積が拡大する“ドライコンタクトプラステクノロジー”を採用。サイズ展開は19〜17インチの全21サイズを展開する。価格はオープンプライス。詳細はコチラ

目を三角にしながら走るスポーティな場面でも、高いグリップや操舵感に加え、タイヤノイズも少なくリッチな乗り味だった。そして、何よりウェット路面でも、安心して走れる信頼感。パフォーマンスをひけらかさない様は、まさにファッション界のトレンドとなっているクワイアットラグジュアリーな世界観とでも例えよう。スポーツとコンフォタブルの一挙両得を目指す、プレミアムな乗り味は、是非とも愛車の足元に加えたい。

“すべてをあきらめない”モータースポーツ由来のタイヤ

1898年に創業されたグッドイヤーは、フォード社の創始者であるヘンリー・フォードが、1901年のカーレースに参戦した際に、レース用のタイヤを提供したことでも知られている。モータースポーツとの関わりがまず根底にあると言っていい。

「グッドイヤーは、モータースポーツで培った技術を市販車に転用していくことを目的にレース活動をしていますが、これは技術だけでなくクルマに対する考え方も同じです。例えば、FIA 世界耐久選手権(WEC)におけるGT3やLMP2といったカテゴリーは、タイヤのスペックが極端に少ない。だからこそ、プロでもアマチュアでも、どんな人が運転しても同じようにパフォーマンスを感じられるように設計しています」とは、グッドイヤー マーケティング担当の高木氏。

タイヤ表面の横溝は従来品より細かく、ラウンドさせることで、回転時の気柱共鳴音を軽減しパターンノイズを低減。新樹脂コンパウンドの採用により、高いドライ性能とウェット性能を両立する。

「イーグルF1 アシメトリック6の“READY FOR ANYTHING”(すべてをあきらめない)というコンセプトには、そんなグッドイヤーのタイヤ哲学が反映されているんです」

商品説明を丁寧にしてくれたグッドイヤーのマーケティング担当高木氏。「走りを楽しむスポーツカー、コンフォタブルな乗り味を求めるプレミアムセダンやステーションワゴンの組み合わせにぜひ!」。

グッドイヤーは2019年からFIA世界耐久選手権(WEC)を皮切りに、今年はWECに新設されたLMGT3カテゴリーの全車にタイヤを単独供給。2021年の電動ツーリングカー選手権(ETCR)といった、世界の主要な大会に多く参戦し、活躍の場を広げている。それら最前線で競い合うレースの現場のフィードバッックがまさに市販タイヤづくりに活用されているのだ。

そして、2024年11月4日に決勝を迎えたバーレーンでのWEC最終戦。ポルシェやフェラーリなどのさまざまなハイブランドが競いあう熾烈な戦いにも注目が集まった。これから繰り広げられる激戦においても、グッドイヤーのタイヤがさらなる活躍を見せてくれそうだ。

TEXT=坂本遼佑

PHOTOGRAPH=グッドイヤー、カミラヨシ(c3ec-creations)

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