MAGAZINE &
SALON MEMBERMAGAZINE &
SALON MEMBER
仕事が楽しければ
人生も愉しい

CAR

2024.02.06

ファンの声に押されて、マツダの“官能的すぎる”スポーツカーが街を走る!?

「ジャパンモビリティショー2023」で話題となったマツダのコンセプトカー「MAZDA ICONIC SP」。この美しいスポーツカーが市販化されるのではないかと、クルマ好きの間で話題となっている。 ■連載「クルマの最旬学」とは

MAZDA ICONIC SP

自動車デザインの巨匠も絶賛

いささか旧聞に属するけれど、2023年秋に開催された「ジャパンモビリティショー2023」に出展された車両のなかで、主役のひとつだったのが「MAZDA ICONIC SP」だった。

このクルマはひとことで言えば古典的な美しさを讃えたスポーツカーで、コンパクトで高出力のロータリーエンジンを車体中央に積むことで、地を這うようなプロポーションを実現している。

このクルマを見る目的でマツダのブースに集まる人は多かったし、メディアでも盛んに取り上げられていた。

MAZDA ICONIC SP
ボンネットの低さがわかるカット。コンパクトでありながら高出力を発生するロータリーエンジンだからこそ可能になる造形だ。

東京モーターショーから名称が改められたこのイベントの来場者数は111万2000人を数え、そのなかには自動車デザインの巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロ氏の姿もあった。筆者は幸運にもショーをご覧になったジウジアーロ氏にインタビューする機会があり、印象に残った車両はどれだったかを尋ねた。初代フォルクスワーゲン・ゴルフやBMW M1を手がけたことで知られるジウジアーロ氏は、この質問に「MAZDA ICONIC SP」の名前を挙げたのだ。

MAZDA ICONIC SP
ドアから後輪にかけての豊かなフェンダーのふくらみが官能的だ。どことなく、1960年代から70年代にかけてのイタリア製スポーツカーを彷彿とさせる。

ただし、ここまでなら「マツダのあのコンセプトカー、カッコよかったね」で終わる話だ。こう言っちゃなんだけど“モーターショーあるある”で、これまでも絵に描いた餅をいくつも見てきた。

事態に動きがあったのが、2024年1月に開催された「東京オートサロン2024」。マツダのプレスカンファレンスに登壇した毛籠勝弘代表取締役社長兼CEOは、「MAZDA ICONIC SP」への大反響を受けて、2024年2月1日よりロータリーエンジンの開発チームを立ち上げると発言したのだ。

良いクルマは人の人生を豊かにする

えっ、ということは「MAZDA ICONIC SP」は絵に描いた餅ではなく、ドライブできるスポーツカーになるのか……。いま一度、「ジャパンモビリティショー2023」に出展した時点でのメカニズムをおさらいしておくと、原動機はマツダが「2ローターRotary-EVシステム」と呼ぶハイブリッドシステムが軸となる。2基のロータリーエンジンは発電に専念し、エンジンが発電した電気でモーターを駆動するシリーズ式ハイブリッドとなる。

燃費に難があるとされてきたロータリーエンジンであるけれど、常に効率の良い回転数をキープする発電機として使えば、コンパクトで高出力、回転フィールが滑らかというストロングポイントを前面に出すことができる。ロータリーエンジンがコンパクトであることは、パワートレイン全体を小型化できるということであり、これがデザインの自由度を高めることにつながる。

ただし、開発チームは始動したばかりだから、量産に向けて「2ローターRotary-EVシステム」は姿形を変える可能性がある。マツダは、水素ロータリーエンジンを開発した実績があるし、ガソリンと水素の両方を燃料に使えるデュアルフューエルシステムも実現している。したがって将来的には、自然エネルギー由来の水素を燃料にすることまでが視野に入る。

また、ロータリーエンジンは発電に専念するほうが効率的だというのは理屈ではわかるものの、「たまにはロータリーエンジンで駆動して走りたい!」というマニアもいるはずだ。

いずれにせよ、多くの人の心を震わせた「MAZDA ICONIC SP」がどのような方向に進むのか、“カーキチ”のひとりとして注視したい。

MAZDA ICONIC SP
「VIOLAR RED」と呼ばれるボディカラーは、「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」というマツダの企業理念を重ね合わせて開発したという。鮮やかな発色と陰影を表現する特別なレッドだ。

ここ数年の異常気象を鑑みればクルマの電動化は急がなければならないし、お年寄りや身体の不自由な方が自由に移動できるように自動運転化も急務だ。いっぽうで、クルマがカッコいいものであることも、重要だと考える。だって、クルマがどれも白くて四角い効率的な箱になったら、街の景色がつまらなくなる。

ということで「MAZDA ICONIC SP」の市販化を全力で応援するわけですが、最後に「ジャパンモビリティショー2023」のプレスカンファレンスでの毛籠勝弘社長の発言の一部を抜粋したい。

「だれもが、幸せになる」ようなクルマをお客さまに提供したい。マツダは心の底からそう願っています。「良いクルマは人の人生を豊かにする」その思いは今後も変わることはありません。

がんばれ、「MAZDA ICONIC SP」!

MAZDA ICONIC SP
MAZDA ICONIC SP
全長×全幅×全高:4180×1850×1150mm
ホイールベース:2590mm
最高出力:370ps
車両重量:1450kg

問い合わせ
マツダコールセンター TEL:0120-386-919

サトータケシ/Takeshi Sato
1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。

■連載「クルマの最旬学」とは……
話題の新車や自動運転、カーシェアリングの隆盛、世界のクルマ市場など、自動車ジャーナリスト・サトータケシが、クルマ好きなら知っておくべき自動車トレンドの最前線を追いかける連載。

↑ページTOPに戻る

この連載をもっと読む

連載
クルマの最旬学

話題の新車や自動運転、カーシェアリングの隆盛、世界のクルマ市場など、自動車ジャーナリスト・サトータケシが、クルマ好きなら知っておくべき自動車トレンドの最前線を追いかける連載。

TEXT=サトータケシ

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2024年6月号

ボルテージが上がる! 魂のハワイ

2024年6月号表紙

最新号を見る

定期購読はこちら

MAGAZINE 最新号

2024年6月号

ボルテージが上がる! 魂のハワイ

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ6月号』が4月25日に発売となる。今回のテーマは、安息と刺激が共存するハワイ。オアフ島に加え、ハワイ島、ラナイ島と3島にわたるアイランド・ホッピングを総力特集! 知る人ぞ知る、超プライベートリゾートから、新しくオープン&リニューアルしたホテル情報、最旬グルメ、死ぬまでに一度はみたい絶景、最新ゴルフ場事情など、今知りたいハワイを完全網羅する。 表紙は、ソロアーティストとして新たな道を突き進む、三宅健と北山宏光のふたりが登場。

最新号を購入する

電子版も発売中!

定期購読はこちら

SALON MEMBER ゲーテサロン

会員登録をすると、エクスクルーシブなイベントの数々や、スペシャルなプレゼント情報へアクセスが可能に。会員の皆様に、非日常な体験ができる機会をご提供します。

SALON MEMBERになる