「1時間かけても食べに行きたい」「ふと思い出して無性に食べたくなる」。そんな一皿こそ、真のS級グルメなのかもしれない。5,000社以上に導入されてきた組織マネジメント理論「識学」を提唱する安藤広大氏が選ぶのは、学生時代から愛する定食屋、経営者として人を招く店、そして父の味を受け継ぐラーメン。人生で出合った忘れられない3つの味を紹介する。【特集 心震えるS級グルメ】

識学・安藤広大の人生を支えた、忘れられない3つの味
「S級グルメならば、絶対にここ」
識学代表取締役社長・安藤広大氏が即答したのは、西武柳沢の定食屋「明喜屋」だ。
早稲田大学ラグビー部の練習場が近くにあったことから、代々部員がアルバイトを担い、安藤氏もそのひとり。
「皿洗いから配膳までやっていました。賄いではお腹いっぱい食べさせてもらい、本当にお世話になりました」
学生時代から行けば必ず頼むのは、レバ入り豚肉とキャベツの唐辛子味噌炒め、通称「レバカラ」だ。唐辛子入りとはいえ、辛さはマイルド。甘辛な味は、常連から「世界一ご飯に合うおかず」とも言われている。
「最高に旨いし、ボリュームもある。こう話しているだけで食べたくなる(笑)。今も食べたくなると、1時間かけて通っています」
当時お世話になったお礼にと、現在は行く度に1万円を払い、残額をラグビー部の後輩たちのために残していくほど、この味と店への安藤氏の思いは特別だ。
また、ふとした時に思い出し食べたくなるというのが、東京・代々木上原「Konel(コーネル)」の水餃子と、コンソメで炊いたおでんだ。
「“捏(こ)ねる”がテーマのイタリアンなので、コースのなかに水餃子が入っているんです」
中華料理店でも勤務していたシェフが作る水餃子は、ポルチーニなどが入った餡にモチモチの皮の食感が楽しめる。
「他にもコンソメで炊いたおでんなど意外性あるメニューも。コースのみですが、そんな自由さが楽しいんです」
おでんは卵やトマト、キャベツだけのロールキャベツなど常時数種類。好きなものを2つ選ぶことができる。
味はもちろんのこと、毎回感心させられるが店舗運営のスムーズさだという。
「スタッフはシェフとサーバーのふたりだけ。それなのに、客としてまったくストレスを感じたことがない。料理の天才とサービスの天才がこの店の味と心地よさをつくっているのだと思います」
そして安藤氏の味の原点となるS級グルメ、それが大阪・高槻で父が営むラーメン店「孝来」のしょう油チャーシューラーメンだ。
昭和54年にJR茨木駅前にオープンし、37年間地元に愛されていた店だったが、立ち退きのために一度は閉店。2019年に安藤氏のサポートもあり復活した。
「このラーメンこそ、僕の味の基本。この味で育ったと言える父のラーメンを、失くしたくないと思ったんです」
高級小麦粉で作る麺、味を馴染ませるためしっかり寝かせるチャーシュー、絶妙のタイミングで仕上げるスープ、すべてが父ひとりで一から作る自家製だ。
目指すのは家庭料理のようにホッとする味と、店名である「二番の味 孝来」には「誰かの一番の味が遠くの場所にあったり、見つけられなかったら、孝来のラーメンが二番の味になる」という意味が込められているが、安藤氏にとっては、まさになくてはならない我が家の味。今は通販で送ってもらい、家族とともに東京の自宅でも楽しんでいる。
幼少期から学生時代、そして経営者としての安藤氏を支え、ふと思い出しては衝動的にでも食べたくなる、それが安藤氏のS級グルメなのだ。
識学・安藤広大氏のS級グルメ3選
1.次の世代へもつなぎたい、忘れられない一皿
明喜屋「レバ入り豚肉とキャベツの唐辛子味噌炒め定食」
「当時はおかずもご飯も大盛に。でも今は単品とビールを頼んで、当時できなかった大人の楽しみ方をしています(笑)」
安藤氏のような早大OBの経営者やアスリートが、今も日本中から訪れる明喜屋。数あるメニューのなかでも安藤氏イチ推しが「レバ入り豚肉とキャベツの唐辛子味噌炒め定食」。甘辛味にご飯がすすむ。

2.経営者をもてなしたい一軒。味とサービスに宿るプロ意識
Konelの「水餃子」と「おでん」
「クライアントである経営者の方をお連れすることが多いですが、堅苦しい会食というよりもじっくり会話をしたい時はこの店に」と、確かな味と自然なもてなしに信頼を置く。
3.自らを育てた味の基本は、父のラーメン
二番の味 孝来「しょう油チャーシューラーメン」
「この味で育ったと言ってもいいラーメンが、自分の味の基本です」
約37年間、茨木駅前で地元の方たちに愛されて続け、現在は高槻で安藤氏の父が営むのが中華料理店「孝来」。安藤氏が幼少期から食べているラーメンは通販も可能だ。


識学 代表取締役社長。1979年大阪府生まれ。早稲田大学卒業。大学時代はラグビー部に所属し、勝敗と向き合う厳しい環境で4年間を過ごす。NTTドコモ入社後、営業としてキャリアをスタート。上場企業への転職を経てマネジメントに携わるなかで、「人のやる気」や「人間力」に依存する組織運営に限界を感じ、識学と出合う。誤解や錯覚を排した明確なルールと仕組みによるマネジメント理論に強く共感し、事業部の立て直しでその有効性を実証。2015年に株式会社識学を設立し、創業4年足らず(3年11ヵ月)東証グロースに上場。現在は延べ5,000社以上の組織改革を支援している。組織マネジメントに関する著書は『リーダーの仮面』などベストセラー多数。「がんばっている人が、正しく報われる組織を増やしたい」という思いが、識学の根底にある。



