この世にふたつとない壮麗な佇まいから“芙蓉峰”という雅称(がしょう)でも親しまれている富士山。その麓の地で美食家を虜にする、魅惑のガストロノミーとは──。今回は、山梨・西湖の「Restaurant SAI」を紹介する。

西湖のテロワールと物語に溢れた珠玉のコースを
食通のあいだでガストロノミーツーリズムという言葉が定着して久しいが『Restaurant SAI』は、日本の風土の豊かさや尊さに触れるという醍醐味を、存分に体感することができるレストランだ。
富士五湖のなかでも山深い場所にある西湖のほとりで“奥・山梨料理”を表現する豊島雅也シェフは、狩猟や農業、養蜂やハーブ栽培などにも取り組む「食猟師」。長年の経験で培ったフランス料理の技術に加え、土地の生態系に着目し、微細な気候の変化を料理に反映するセンスが見事。
コースは2万円で10品前後が登場するが、地産の野菜や川魚を使ったひと品にはシェフが目で捉え、心で感じた自然のストーリーがそのまま息づいているようで、食べ手の心に強烈なインパクトを残す。山で仕留めたジビエは熟成から加工まで自ら行い、たくましい生命の輝きを感じさせるひと皿に。
また、コースと別に用意するペアリングはソムリエでブドウ栽培家の永原有茶さんが提案。自家製シロップやハーブを多用したノンアルコールペアリングと料理との“共鳴”にも心酔する。回帰と発見、安らぎと刺激に満たされる食体験に、心が強く揺さぶられる。
Restaurant SAI/レストラン サイ
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町西湖208-1
TEL:050-1721-3110
営業時間:18:00一斉スタート(17:45〜ドアオープン)
定休日:月・火・日曜
座席数:20席
個室:1室(〜8名)
料金:料理コース¥20,000