GOURMET

2024.03.19

台湾グルメの見本図鑑「寧夏夜市」――台北24時間食いだおれ旅②

充実した人生を送るには、時にはノリと勢いも必要。財布とパスポートと旺盛な食欲(と屈強な胃袋)だけ持っていざ、ディープ感満載の美食のアジア弾丸ツアーへ。今回は台北往復24時間食いだおれ旅、2エリア目の「寧夏夜市(ニンシャーイェスー)」を紹介。【特集 エクストリーム旅】

寧夏夜市

地元民に愛され、平日でも大賑わいの寧夏夜市

コンビニでビールを買いたい欲求を抑えながら、次の目的地である寧夏夜市へ。スープと炭水化物のWコンボで、すでに腹5分目。

士林夜市から寧夏夜市は混雑具合にもよるが、タクシーで約15分程度。士林よりも規模は小さいが、平日の夜でも多くの人で賑わっており、祭り好きであれば血が騒がずにいられない。

「台湾グルメの見本図鑑のようにいろいろな店がありますが、ミシュラン掲載店ならばまずはここです」と榊原さんに連れられ、人混みをかき分けるように「方家鷄肉飯(フンジァジーローファン)」へ。日本語メニューはあるものの、ぼんやり待っていても注文を取ってくれるわけではないので、列に並ぶ前に席を確保する。

注文して待つこと5分で運ばれてきた鷄肉飯は、ボイルした鶏肉を割き、白米にたっぷりとのせて特製醤油ダレをかけたもの。胸肉はしっとり、香ばしいタレにご飯がすすむ。別に注文した冬瓜と骨つき豚肉、ハマグリの塩味スープとの相性も抜群で、毎日食べても飽きない料理とはこういうものなのだとしみじみ。

ここらへんで甘いものでもはさもうかとタロイモ団子のミシュラン屋台を探してみるも、残念ながらその日は閉まっていたため、豚レバーのスープで有名な「豬肝榮仔(ヂューガンロンザイ)」を目指すことに。

1950年に寧夏街に創業し、3代にわたってその味を守ってきた老舗とあって、長年通い続けるファンも多い。テキパキとスープを注ぎながら老板が「昔はお産の前後に妊婦さんが栄養をつけるために食べに来ていた」と教えてくれる。

すでに私のお腹のふくらみ具合は臨月レベルだが、台北が誇る“命のスープ”を味わわずには帰れない。栄養満点のスープは思いのほかクリアで、レバーらしい風味はあるがエグみはない。具材のガツも驚くほど軟らかで、食べるほどにガッツが湧いてくるようだ。

腹ごなしに足裏マッサージでも行きたい気分だが、なにせ弾丸旅は時間との戦い。アレが台北一美味しい店があるという噂を確かめなくてはと乗りこんだタクシーで流れる台湾老歌がやけに胸に沁みる。台北の夜はまだまだ長い。

【2エリア目】18:30|寧夏夜市

住所:台北市大同區寧夏路
営業時間・定休日:17:00~25:00(店によって異なる)

旅人・小寺慶子
肉と酒を糧に生きる肉食系ライター。強靭な胃袋とフットワークの軽さを武器に国内外を食べ歩く。旅先では「郷に入れば郷に従う」のがモットー。

【特集 エクストリーム旅】

この記事はGOETHE 2024年4月号「総力特集:エクストリーム旅」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら

TEXT=小寺慶子

PHOTOGRAPH=榊原有一 COORDINATION=榊原有一

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