今、日本の中国料理の躍進を支えているのはその神髄を愚直なまでに深掘りする料理人の存在だ。東京・下町の東日本橋で、強烈な個性を放つ「旬華 なか村」とは――。【連載 仕事に効くレストラン】
広東の多面的な美食文化を独自の方法で表現
目と舌が肥えた相手との会食には、ありきたりではない店選びで臨みたいもの。本質がありながら、予定調和ではない驚きを求めるなら、目指すは東日本橋の「旬華 なか村」だ。
中国料理店では“私厨房”と呼ばれるシェフズテーブルを思い浮かべるミニマムな空間。カウンター内で腕を振るう店主の中村俊徳氏は、横浜中華街や鎌倉の台湾料理店、ホテルの中国料理店なども経験。「中華たかせ」や、一流の割烹の仕事を学ぶために神宮前の日本料理店「樋口」でも働いた。
料理人としての血肉のつけかたは「何事も経験」。ホテル勤務時代に出会った香港人の“お師匠さん”とともに現地に渡り、そこでは豪華食材に依存しない広東料理に心を摑まれた。
自身の店の名物である「浸蒸鶏(チャンチェンガイ)」もそのひとつで、日本はもちろん、香港でもその料理名もレシピもほとんど知られていないという。
葱、山椒、ローリエ、塩や片栗粉などを入れた液で鶏を蒸し上げるというシンプルさながら、ちゅるんと滑らかな食感で思わず目を見張るほど美味だ。1万4800円のコースは11品前後が登場。
割烹の技と中国料理の叡智の融合を体感し、心に残る美食の時を楽しみたい。
旬華 なか村/Syunka Nakamura
住所:東京都中央区東日本橋2-11-7 ラスパシオ東日本橋リバーサイド1F
TEL:03-5846-9830
営業時間:11:30~13:30(火・木・金曜のみ)、18:00~22:00
定休日:日曜、月・水・土曜のランチ
座席数:カウンター5席、テーブル6席
料金:ランチコース¥5,500・¥8,800、ディナーコース¥14,800