食に対して尋常ではない情熱を傾ける、秋元康、小山薫堂、中田英寿、見城徹が厳選したとっておきの店を紹介する、最強のレストランガイド「ゲーテイスト2022」。伝統に敬意を払いながら常に進化。四季折々の食材を美しい料理に昇華する和の匠の技に酔いしれる。【Part2:和の神髄】
秋元康「心に贅沢さをもたらしてくれる日本料理の真なる姿に感動」
一朝一夕ではなし得ない日本料理の仕事。味だけが料理にあらずと、五感に響く美食を紡ぐ職人の技を堪能できる名店。多くの食通を魅了し「訪れるたびに心が感謝の気持ちで満たされる」と言わしめる『樋口』の圧倒的な美味しさの理由とは?
秋 神宮前の『樋口』は東京を代表する日本料理店で、実に素晴らしいお店です。
見 もう20年くらいになる?
秋 だと思います。僕は去年、林真理子さんにお誘いいただいて。大げさではなく、心が震えました。本当に美味しいものをいただくと、一瞬、無になる。最近は日本料理に洋の要素とか食材を入れるお店も増えていて、僕はそこに作り手の想いがあるなら、どちらもいいと思うのですが、このお店は直球の日本料理。美しさや繊細さだけではなくて、本能が美味しいと思う料理とは、こういうことなのかと深く納得しました。
見 最近は新しいお店がとかくフィーチャーされがちだけれど、日本の美食の歴史はこういうお店が支えているんだよね。
秋 時代が変わっても志は変わらないし、絶対にブレないのはすごいことです。日本料理の美しさはダイナミズムがあればこそより際立つと思ったのが鰻の炭火焼き。関西の地焼きと蒸してから焼く関東焼きの中間です、と樋口(一人)さんはおっしゃっていましたが、皮がバリッと香ばしくて、身は驚くほどふっくら。とんでもない感動があって、黙って頷くしかできませんでした。
小 秋元さんにそう言わしめるのはすごい。他に素晴らしかったお料理はありますか?
秋 店主が自ら打っているお蕎麦。これだけ手を尽くしているのに蕎麦まで打つの? いったいいつ寝ているの、と。煮た茄子がのっている十割蕎麦で、香りが鮮烈。これは永遠に食べていたいと思いました。お土産の鯖の棒鮨も格別に美味しかったです。至福という言葉では足りないくらい。襟を正すような気持ちで、季節ごとにうかがわせていただきたいと心の底から思います。
Jinguumae Higuchi
住所:東京都渋谷区神宮前2-19-12
TEL:03-3402-7038
営業時間:18:00~L.O.21:00
定休日:日曜、祝日、不定休
座席数:カウンター6席、個室1室(〜6名)
料金:おまかせコース¥25,000~
【ゲーテイスト2022】※6月24日までに全公開!
「秘密の店」
「和の神髄」
「洋の絢爛」
「名人の店」
「弩級な鮨」
「肉の魔力」