東西に長い日本列島は、テロワールも百花繚乱。造り手の個性もあいまった、その多様性を存分に楽しみたい。すでに入手困難なワインばかりだが、見つけたら即購入を。今回はワイン賢者4人が選ぶ、東北のプレミアムワインを紹介する。【特集 日本ワイン】
東北ワインの特徴
メルロ、シャルドネなどの王道はもちろん、マスカット・ベーリーA、ヤマソービニオン、ヤマブドウのワインにも注目。
1. 小坂七滝ワイナリー「ワイングランド」
日本古来品種「山葡萄」は、和食とのマリアージュを
山葡萄系品種に特化した造り手が「小坂七滝ワイナリー」です。ワイングランドは山葡萄系品種で、優しい深みのある味わい。フレッシュ・フルーティーな甘みと清々しい酸味で、軽めの肉料理にも合いますが、赤ワインと合せるのが難しいお寿司やお刺身にもとてもよく合います。
山葡萄は古来より貴重な栄養源としても愛飲されてきたとの逸話もあります。日頃の疲れた身体に、この1杯で小休止するのはいかがでしょう? (選者・矢田部)
2. ファットリア アルフィオーレ「オオノ・フィールド・ブレンド2021」
元名シェフが造るファーム トゥ ボトル
イタリアンシェフとしてその名を馳せた目黒浩敬さんが、宮城県川崎町で2015年に立ち上げたワイナリー。「もっと多くの人々の幸せへと広がるように」という願いがこめられた目黒さんのワインを飲むと、幸せな空気感に包まれます。
しっかりとした旨みと心地よい優しさのしみるこのワインは、目黒さんが敬愛する栽培家・大野正敏さんの畑の魅力そのままにフィールドブレンド。テクニカルなことは抜きにして、純粋に楽しんでみてください。(選者・菊地)
3. タケダワイナリー「ドメイヌ・タケダ ベリーA古木」
グラスに注がれる日本ワインのルーツ
勝海舟の薦めでブドウ栽培やワイン造りを始めたといわれている、“日本ワインの父”川上善兵衛。その彼が創業者の「岩の原葡萄園」から譲り受けたと言われる、樹齢70年ほどのブドウも使用したワインがこちらです。
キレイな酸にミネラル感、さらに古木だからなのか、凝縮した果汁のエキスは深みとコクがあり、大人のマスカット・ベーリーA といったところ。歴史を飲ませてもらっているような、とても贅沢な時を過ごすことができます。(選者・ひぐち君)
4. ウッディファームワイナリー「ツボマンサン&アルバリーニョ2021」
果樹農家が立ち上げた、底力のあるワイナリー
色合いは飴色に輝き、ジャスミン、金柑のような華やかな香りがなんとも魅力的です。個性の強い原酒、壺で醸したプティマンサンと新樽で発酵させた貴腐のついたアルバリーニョを当量ブレンド。緩衝としてシャルドネもわずかに加えています。
ワイナリーの主力品種は、日本で注目度上昇中のプティマンサンとアルバリーニョ。醸造責任者である金原勇人さんは、持ち前の飽くなき探究心を発揮して多彩なワインを造っています。(選者・鹿取)
5. イエロー・マジック・ワイナリー「ハート・ビート 甲州」
真摯にかつファンキー。山形ワイン造りを極める
胡桃の皮のような香りに青葉の清々しい香り。滑らかな質感とほどよい厚みにほのかな苦味がアクセントを添えています。「地ワイン」としての日本ワインを追求してきた岩谷澄人さんが、デラウェアを中心としたワイン造りの集大成の地として山形県赤湯を定めました。
このワインは赤湯唯一の甲州の畑を救うために商品化されたもの。山形県産ブドウ100%で山形ならではのワイン造りを極めます。ワイナリー名は「黄色魔術醸造所」。(選者・鹿取)
6. アルビオン・シラカミ・ヴィンヤード&ワイナリー「ドメイヌアルビオン」
地元と歩む化粧品会社がワイン造り
十分に空気と触れるとブラックカラント、スパイスのような風味と渋み穏やかで味わい深い。ワイナリーは白神山麓で20年以上栽培が続くヤマソービニオンを生かすため、化粧品会社のアルビオンが設立。他にも、化粧品原料植物の乾燥室で干した陰干しブドウが原料となっているワインもあります。
栽培醸造責任者の佐藤祐介さんは東北のワイナリーを経て同社に入社。シャルドネやピノ・ノワールも期待大。一般販売も検討中とのこと。(選者・鹿取)