ワインジャーナリスト柳 忠之氏が厳選した値上がり必至の8銘柄をご紹介! 【特集 情熱の酒】
ワイン投資、要注目銘柄ベスト8
’90年代からワインを嗜んできた人たちが、近頃、決まっていうセリフが、「あの時飲まずに取っておけば……」。それもそのはず、当時20万円で買えた’89年のロマネ・コンティが、今や平均相場300万円である。
投資のプロに言わせると、ワインへの投資はすでに旬が過ぎたそうだが、ここにも挙げたシャルル・ラショーのアリゴテのように、時折、意外な銘柄が途方もない値段をつけるあたり、まだチャンスは残っている模様。
ワイン投資のポイントは、生産量の少なさ、熟成のポテンシャル、そして名声。そこで今後、値上がり必至の銘柄を、ワインジャーナリスト柳 忠之氏が独断と偏見で厳選した。
たとえ予想が外れて値下がりしても、飲んで楽しめるのがワインのよいところだ。
1. Charles Lachaux / Bourgogne Aligoté Les Champs d'Argent
アリゴテといえばふつう2000円程度の日常ワイン。しかし、ブルゴーニュの若手ナンバーワン、シャルル・ラショーのアリゴテは今や20万円に達する。彼はヴォーヌ・ロマネの名門、アルヌー・ラショーの跡取り息子でマダム・ルロワの信奉者。ファーストヴィンテージを蔵で樽から飲ませてもらったが、ものすごいパワーを感じた。
2. Jean-Yves Bizot / Échézeaux
昔から決して安くはなかったが、昨今さらに高値更新中のジャン・イヴ・ビゾー。0.6haの面積から造られるエシェゾーは生産量が少なく、入手の難しさはDRCのエシェゾーの比ではない。ワイン自体は色調の淡い、いわゆる薄旨系。酸化防止剤をほとんど使用しない非介入のつくりにもかかわらず、長期熟成にも耐えるようだ。
3. Exceptionnelle Vendanges des Sept Domaines / Montrachet Grand Cru 2016
霜害で収穫量が極端に少なかった2016年に、DRC、ラフォン、ルフレーヴなど7つのドメーヌがブドウを持ち寄り、2樽だけ醸造した特別なモンラッシェ。そのうち500本が蔵出しおよそ80万円で販売されたが、今年4月、サザビーズでの落札額はなんと1,280万円! 究極のレアものゆえに、間違いなく今後も値の上がるボトルだ。
4. Château Figeac
今年10年ぶりに見直しが予定されているサンテミリオンの格付け。横綱にあたるプルミエ・グラン・クリュ・クラッセAの地位を虎視眈々と狙い、この10年間、敏腕コンサルの起用やワイナリーの設備刷新などを進めてきたのが現大関のシャトー・フィジャック。念願かない昇格が決まれば、今年のヴィンテージは値上がり必至。
5. Krug Grande Cuvée 164ème édition
エディションナンバーが打たれるようになったクリュッグ グランド・キュヴェ。164と165は生産量が少なく、フランス、アメリカ、イギリス、イタリアの4カ国でのみ販売され、日本では正式には未発売。ところが2008年ベースの164は非常にできがよく、マニアの間では超人気。今後、他のエディションよりも値が上がりそう。
6. Charles Heidsieck "Cuvée Champagne Charlie" Cellared in 2017
先日、日本で発表されたばかりのシャルル・エドシックのフラッグシップ。’79年から’85年までに5ヴィンテージだけ造られディスコンになった、”キュヴェ・シャンパーニュ・チャーリー”がマルチヴィンテージとなって復活した。生産量はわずか5500本で、国内価格は10万円。質の高さと話題性、少ない生産量と、投資要素は出揃った。
7. Catena Zapata Adrianna Vineyard Mundus Bacillus Terrae Malbec
ナパのカベルネ以外で、ニューワールドから将来的お宝ワインを選ぶならば、質の高さと熟成のポテンシャルでアルゼンチンのマルベックをおいて他にない。なかでもウコ・ヴァレーのグアルタジャリまたはパラヘ・アルタミラ産。現在、最高のマルベックといえるのが、カテナ・サパータがグアルタジャリでつくるこれだ。
8. Château d'Yquem
「何を今さら」と言われそうなくらいポピュラーな貴腐ワインの王様。ところが甘口ワインは不人気で、身売りや辛口へとシフトしたりするシャトーが増加中。それでも最後に残るのは100年以上の熟成にも耐えるシャトー・ディケム。パーカーポイント100点でも平均5万円で買える15年ヴィンテージはバーゲンだ。30年後の価値は倍以上!?
Illustration=内田有美