ギフトにワインをと思いついても、いざ選ぶとなると何にすべきか悩んでしまうのはよくあること。とはいえ、高級ワインや有名ブランドに頼っていては、あまりに安易で何の印象もなく終わるのは確実だ。ここぞのチャンスで他を出し抜くために、贈る相手の心をグッと掴むワインギフトの選び方を、ワインエキスパートであり食レコ代表取締役の瀬川あずささんに教えてもらった。【ワインマナー編】
ワインの特徴やストーリーを味方につけて、心惹かれるギフトを
「可能であれば、まずは相手の好みをリサーチしておくこと。『この産地が好きだと聞いたので…』と言われればやっぱりうれしいですよね。でもそれができなくても大丈夫。相手の思い出に残るような選び方は他にもいろいろあります」と瀬川さん。
例えば、ワインの特徴である“ヴィンテージ”を利用するのもそのひとつ。「ワインのほとんどには、葡萄の収穫年であるヴィンテージがあります。他のギフトにはないこの特徴を使えば、印象に残る贈り物になるんです」
ほかにも、大切な人の名前のイニシャルに合わせて、英字がラベルデザインされたワインを贈れば、「私のために探したの?」と驚かれるはず。「ワインには思わず聞きたくなるような裏話もたくさんあるので、ギフト選びも楽しくなるはず。ぜひ思い出に残るギフトを見つけてくださいね」
瀬川さんおすすめ! 記憶に残るワインの選び方
【1】"ヴィンテージ"を活用せよ
ヴィンテージと言えば”誕生年”を贈るのがスマートと思われがち。もちろん見つけられればベストだが、古酒ゆえに状態があまり良くなかったり、オーパス・ワンのような有名ワインもファーストヴィンテージが1979年なので、誕生年にこだわると入手はなかなか困難。
「例えば結婚した年、経営されている会社の設立年や10周年などの記念の年、あるいはお相手と知り合った年など、節目の年や何か思い入れのある年で探してみてください。探しやすさもありますし、思いがけない年の方がより印象に残ると思います」
【2】アルファベットワインで、特別感を演出
「彼女のイニシャルにあわせて、ユミさんやヨウコさんなら『Y』、リエさんやリョウコさんなら『R』などのアルファベットがラベルに使われているワインをプレゼントすれば、女性の心をグッと掴めるはず。あまり知られてないワインもあるので、『わざわざ探してくれた!』と気持ちが伝わります」
貴腐ワインの最高峰として知られるシャトー・ディケムが手がける辛口白ワイン「Y(イグレック)」や、シャトー・リューセックの「R(エール・ド・リューセック)」、シャトー・スデュイローの「S(エス・ド・スデュイロー)」のほか、オーストリアのワイナリーであるユルチッチの「J」などもあるので、イニシャルがあえばぜひチェックを!
【3】ストーリーを意識したワイン選びを
ワインの背景にあるストーリーも選択の大きなヒントに。「『法王の新しい城』という意味のシャトー・ヌフ・ド・パプのワインなら、新居祝いや引っ越し祝いに。オーパス・ワンもボルドーとカリフォルニアのジョイントベンチャーで生まれたという背景から、何か一緒に始める時や新規事業のお祝いにぴったりです。元F1公式シャンパンとして“勝利の美酒”と言われるG.H.マムは、勝負に出る方に渡せばきっと喜ばれると思います」
その他にもYOSHIKI氏やブラッド・ピット氏が手掛けるワインや、フェラガモやシャネルがオーナーのワインもあるので、相手が好きなアーティストやブランドで選ぶというチョイスも。
ちなみにレストランでは避けたいウンチクも、この場合は存分に語ってOK。
「ストーリーが、ワインをより楽しく、美味しくさせてくれるはずです」
【番外編】ワイン+αには、飲む時間を豊かにするアイテムを
ワインだけではなく何かを添えるなら、そのワインを楽しむ時間を豊かにするものを選ぶのがポイント。
「ワインを飲む時に飾る花、例えばロゼとピンクの薔薇など、リンクするイメージで選ぶといいと思います。ワインと一緒に聞く音楽CDのほか、ラベルがハートデザインのカロン・セギュールにハート形のチーズ『クール ド ヌーシャテル』をあわせるなどもおすすめです」