地平線近くで赤々と輝く夕日を見ると、秋の到来を感じる。これは太陽の光が遠くまで進む間に、青い光が途中で散乱し尽くし、散乱しにくく波長の長い赤い光だけが目に届くからなのだそう。しかし科学的な知見はなくとも、夕焼けを見て美しいと思うだけで幸せだ。

秋の夕日にひときわ映える上品な暖色ドレスウォッチ
そして気温の低下に合わせて洋服の袖も長くなると、時計の選び方の視点も変わってくる。夏は雨や汗といった水分の問題があり、ファッションがシンプルで手元が寂しくなるので、アクセントになる大振りなスポーツウォッチが好まれる。
しかし秋になると、薄型ケースのドレスウォッチが主役となる。汗ばむことも少なくなるのでレザーストラップを使うことができるし、10㎜前後のケース厚なら、シャツやニットの袖口にすっと収まるだろう。さらに赤い夕日に合わせて暖色系のダイヤルを選ぶのもお薦めだ。手元に暖かなアクセントが加わるので、秋から冬にかけての季節には特に魅力的に映るだろう。
かつては男性が暖色系の時計をするというカルチャーはなかったが、近年はカラーダイヤルの人気拡大や発色技術の進化、さらには時計のアクセサリー化が進行したため、こういった華やかなカラーダイヤルを男性が選ぶことに違和感はなくなっている。そのせいか、歴史と品格を併せ持つマニュファクチュールブランドたちが、こぞって暖色ダイヤルのドレッシーウォッチを製作しているのだ。
各社はダイヤル表現にこだわっており、パテック フィリップは「サンドベージュ・ソレイユ」、ジャガー・ルクルトは「コッパー」、ブランパンは「サーモンピンク」、そしてヴァシュロン・コンスタンタンは「サーモン」と名称も独自性がある。暖かな色選びを楽しみながら、最愛の秋の時計と出合いたい。
1.パテック フィリップ|年次カレンダー、ムーンフェイズ 5396
暖かな顔をした実用機構
2月末日のみ修正するだけで、一年を通して使えるアニュアルカレンダー機構は、パテック フィリップが開発したもの。12時位置の小窓を上手に使うことで、高機能ながら見た目はスッキリとしている。中央から広がるソレイユ模様の筋目を入れて光による色の濃淡を演出。ドラマティックに時間を刻む。自動巻き、18KRGケース、径38.5mm。¥10,990,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター TEL:03-3255-8109)

2.ジャガー・ルクルト|マスター・ウルトラスリム デイト
色を楽しむ正統派
歴史的に薄型のドレスウォッチを得意としてきたジャガー・ルクルトらしく、薄型の自社製ムーブメントCal.899を搭載することで自動巻き式ながらケース厚は7.89mmしかない。センターセコンドと6時位置のデイトという王道の機構だからこそ、微細な凹凸をきかせたグレイン仕上げのコッパーダイヤルで、静かな世界のなかに上品な個性を引きだしている。自動巻き、SSケース、径39mm。¥1,628,000(ジャガー・ルクルト TEL:0120-79-1833)

3.ブランパン|ヴィルレ ウルトラスリム
伝統的なモデルに華やかに
現存する最古の時計ブランドであるブランパンは、1980年代に機械式時計の魅力を詰めこんだ傑作「シックス・マスターピース」を発表。そこで完成したリーフ針やダブルステップのベゼルなどのデザインを継承するのが、創業地名を冠した「ヴィルレ」だ。最新作はケース径が38mmへと小径化。サーモンピンクのダイヤルをグレーのストラップと合わせる配色も絶妙だ。自動巻き、SSケース、径38mm。¥1,595,000(ブランパン ブティック銀座 TEL:03-6254-7233)

4.ヴァシュロン・コンスタンタン|パトリモニー・レトログラード デイ/デイト
動きと色で個性をつくりだす
ダイヤルの上部で日付を、下部で曜日を大きなレトログラード針で表現する人気モデルは、このダイナミックな動きを生かすために、ケース径をやや大きめに設計した。しかもダイヤルのカラーはサンバースト仕上げのサーモントーンだ。歴史ある名門の知性とカラーや機構で表現する遊び心が、ハイレベルでリンクしている。自動巻き、18KWGケース、径42.5mm。¥10,472,000(ヴァシュロン・コンスタンタン TEL:0120-63-1755)


