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2025.10.29

約2800万! 本物が少ない、幻の「ミリタリーサブマリーナー」を発見

連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第97回は、ロレックス「サブマリーナー Ref.5513」を取り上げる。

ロレックス「サブマリーナー Ref.5513」

真贋が問われる激レアの「サブマリーナー」

ヴィテージロレックスに該当する「サブマリーナー」の中でも極めて入手困難なのが、「ミリタリー サブマリーナー」だ。玉数も少ないうえに、あまりの人気ゆえ偽物がとても多い。

このモデルは、1970年代にイギリス海軍と陸軍が調達したもので、1971年から1979年にわたり軍へ支給された。「Ref.5513」「5513/5517のダブルリファレンス」、そして「Ref.5517」の3タイプが存在する。

時・分針の“ソードハンド”は、民生用のいわゆる“メルセデスハンド”と大きく異なるディテールで、より読みやすさを重視したデザインを基調にしている。秒針は先端が矢印型になっている“アローハンド”を採用。水中や暗闇といった視認性の低い環境下でも、瞬時に時刻を判読できるように針の形状が変更されている。

ダイヤル6時位置の小さな丸で囲まれたTマークは、夜光塗料に放射性物質であるトリチウムを使用していることを記すものだ。

次に特筆すべきパーツは、60分目盛りを採用した“全周目盛りベゼル”。一般的なサブマリーナーの回転ベゼルは、潜水時間を計測するために最初の15分間のみ分刻みの目盛りが付いているが、「ミリタリー サブマリーナー」ではベゼル全体(60分間)に分刻みで目盛りが刻まれている。これは潜水任務中の経過時間計測をしやすくするための仕様変更だ。これは交換されていることが多いパーツであるため、購入の際は特に注意して見る必要がある。

固定式(ハメ殺し)ラグも特徴的なパーツとして挙げられる。ケースとラグのあいだに取り外しができないように、溶接された頑丈なスティールバーで固定されているのだ。これは、潜水中の衝撃や引っ掛かりでバネ棒が外れ、時計本体が脱落するのを防ぐために考案されたもの。「ミリタリー サブマリーナー」に限らず、軍用時計において多く用いられた仕様である。

どのパーツやディテールも「ミリタリー サブマリーナー」に欠かせないものだが、ここからさらに真贋の問題などが出てくるから厄介だ。

偽装の内容は多々ある。たとえば、形状が似ているということから、Ref.5513にオメガ シーマスター 300の秒針、アロー針が取り付けられていることがあるという。ほかにもRef.5513に全周目盛りベゼルが取り付けられていることもあれば、ケースバックの刻印が不鮮明であったり、固定バーが通常のバネ棒だったりと、その事例は多岐にわたる。なかには本物とほとんど見分けがつかないようなものまであるのが現状だ。

ちなみにこちらで紹介する「サブマリーナー Ref.5513」は、香港のロレックスのオーバーホール明細書が付属する優良な個体だ。購入できる機会が滅多にないレアモデルゆえ、このチャンスを逃す手はない。

問い合わせ
リベルタス TEL:06-6643-9455 info@libertas-watch.com

TEXT=戸叶庸之

PHOTOGRAPH=高橋敬大

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