PERSON PR

2025.10.24

【アイヴァン】渡辺謙「魂に触れるような役を演じていきたい」

1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウェアを生み出し続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた仕事人たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「人生を彩る眼鏡」の第27回は俳優の渡辺謙。「人生を彩る眼鏡#27」

PERSON 77
俳優/渡辺謙

渡辺謙氏
眼鏡はEYEVAN「Webb-BR」¥46.200(EYEVAN Tokyo Gallery TEL:03-3409-1972)。

機能的なものの美しさに惹かれます

国内のみならず、国際的な作品においても圧倒的な存在感を放つ俳優の渡辺謙さん。黒のタートルネックニットに眼鏡というシンプルなスタイリングに、人間味のある色気が匂い立つ。

「モノ選びの基本は、ファンクショナルであるかどうか。服でも時計でも、機能的なものは美しいと思っているので、あまり華美でないほうが好みですね」

選んだ眼鏡は、EYEVANのマスターピース「Webb」をベースに、1960年代のUSヴィンテージの要素を加えたウェリントン。肉厚ながら、スモーキーなグレーがその印象を適度に和らげている。

「用意いただいた眼鏡のなかで、真っ先に手にしたのがこのモデルでした。そのほかも試したけれど、やっぱりこれだなって」。

日頃から目のケアを兼ねてサングラスや眼鏡をかけているとあり、「もうだいたい自分に合うものにすっと手が伸びるようになった」のだという。

「普段も、こうした表情が柔らかく見えるようなものをかけることが多いですね。若い頃はトガったデザインのサングラスなんかもかけていましたけど、顔の印象が強いので、デザインが強いと余計悪目立ちしてしまって(笑)。この眼鏡は、これからの季節、ニットや質感のあるジャケットなんかにすごく合いそうだし、ハットを合わせてもいいかもしれない。少しお洒落をしたい日にかけたいですね」

命ある限り生き続けて、“生き切る”ことを課した

2025年10月31日に公開の映画『盤上の向日葵』では、渡辺さん演じる東明重慶が真っ黒なサングラスをかけて暗闇から登場するシーンが印象的だ。

東明は、歴代最強であり破天荒な真剣師。将棋指しとしては超一流だが、闇社会に生き、坂口健太郎さん演じる異端の天才棋士・上条桂介の人生に生きがいと絶望を与える。そんな役どころを、どこか憎めない人間的な魅力のある男として演じ、物語の中核を担っている。

「東明は相当いい加減な男なので、演じるうえで彼なりの正義や道義は一切考えませんでした。でも、人としての幅の振れ方や、ボヘミアンな部分は彼の魅力なんだと思うんですよね。彼にも正統な将棋指しの道を歩もうとした時期はあったけれど、生まれ落ちた場所や環境が人格をつくってしまった。良いこと悪いこと全部取っ払っても『俺たちに残るのは将棋しかない』という、その刹那感みたいなもので桂介と東明は引きあったんでしょうね」

出会いによって、二人の運命は大きく変わっていく。どんな過去や宿命を背負っていても、“生き切る”のだという東明の桂介への言葉は、観る者の心にも突き刺さってくる。

「人は漫然と生きることもできるわけですよ。一方で、自分に与えられたものや使命に対して命ある限り突き進むのは、相当なエネルギーがいるし、覚悟も必要です。桂介には、背負わなくてはならないものがたくさんある。それでも、とにかく命ある限り生き続けて、“生き切る”こと。それを、東明は桂介に課したんでしょうね」

そんな二人の魂がぶつかり合う、クライマックスの対局は必見だ。渡辺さんにも東明のように後進に伝えていきたいことはあるかと聞けば、「まぁ、良くも悪くも経験は重ねてきたからね」と目を細めてニヤリと笑う。

「同じ土俵でイーブンな形でやり合うのが僕らの仕事なので、いちいち手取り足取り教えるつもりはないですよ。若くなければ出ない感性も、絶対にありますから。ただ、たとえば『もう少しピッチを下げてごらん』など、ちょっとしたヒントでふっとラクになる経験は僕にもあったので。悩んでいるとき、何かの助けになりそうであればサジェストする感じですね」

俳優としてのキャリアは40年を超え、共演者や製作陣からの信頼も厚い。映画『国宝』や大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』、そして2026年公開予定の映画『木挽町のあだ討ち』など話題作への出演が続いている。

「出演作に関して、自分から『こういう作品に取り組みたい』と希望することはほとんどないですね。今は、『自分に何を要求されているのか』という人からの評価のほうがおもしろいし、原作に惚れちゃったら、それが大作だとかインディーズ作品だとかいうスケール感にもこだわりはなくて。それより、魂に触れるような、そういう役をやっていきたいと思っていますね」

渡辺謙/Ken Watanabe
1959年新潟県生まれ。演劇集団「円」の研究生の時に受けたオーディションで、唐十郎作、蜷川幸雄演出の舞台『下谷万年町物語』の主演に抜擢。以降、舞台、映画、テレビドラマと幅広く活躍。映画『ラストサムライ』をきっかけに、『バットマン ビギンズ』『SAYURI』『インセプション』など海外作品にも続々出演。またミュージカル『The King and I(王様と私)』のシャム王役でトニー賞にもノミネートされた。

問い合わせ
EYEVAN Tokyo Gallery TEL:03-3409-1972

【連載「人生を彩る眼鏡」】

TEXT=伊藤美玲

PHOTOGRAPH=操上和美

STYLING=JB

HAIR&MAKE-UP=倉田正樹

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2025年12月号

超絶レジデンス

ゲーテ12月号の表紙/Number_i 岸優太

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2025年12月号

超絶レジデンス

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ12月号』が2025年10月24日に発売となる。今回の特集は、世界中で弩級のプロジェクトが進行中の“超絶レジデンス”。表紙にはゲーテ初登場となるNumber_iの岸優太が登場。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

GOETHE LOUNGE ゲーテラウンジ

忙しい日々の中で、心を満たす特別な体験を。GOETHE LOUNGEは、上質な時間を求めるあなたのための登録無料の会員制サービス。限定イベント、優待特典、そして選りすぐりの情報を通じて、GOETHEだからこそできる特別なひとときをお届けします。

詳しくみる