高級時計の世界では華やかなカラーダイヤルが人気だが、一方で定番のブラックダイヤルの進化も止まらない。
力強く美しい。素材や技法によって変わるブラックの表情
そもそも時計のダイヤルにブラックが選ばれたのは、光の反射が少なく、針が読みやすいという機能面からだった。そのためスポーツウォッチやツールウォッチに選ばれることが多かったが、その後、強さやクールさ、高級感といったイメージを利用して、ドレッシーなラグジュアリーウォッチも増えている。そして現在は、ブラックの表現力を磨いて、静かな美しさを表現するようになった。
A.ランゲ&ゾーネ「ランゲ1」のブラックオニキスやブレゲのグラン・フー エナメルがつくりだす深い艶感は、つい見入ってしまう存在感があるし、IWCのようにケース素材との組み合わせでエレガントさを演出する手法も見事。また、ウブロはベルルッティとコラボレーションし、その美しい世界をブラックのレザーで表現しているのも見ていて楽しい。
ブラックは、決して退屈な色ではない。むしろシンプルな色だからこそ、時計の個性や審美性が引き立つ。この微差を楽しむのが時計ツウなのだ。
1.A. ランゲ&ゾーネ|ランゲ1
ブランド復興第一弾モデルとして生まれた「ランゲ1」の30周年を祝うモデル。プラチナ特有のまばゆい輝きとオニキスの深いブラックの艶で、美しい世界をつくる。世界限定300本。
2.IWC|ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 44
ラッカーを何層も塗り重ねてつくる深いブラックダイヤルは、オブシディアン(黒曜石)と命名。ケースや針、インデックスの色のトーンを合わせることで、ダイヤルの美しさが際立っている。
3.ウブロ|ビッグ・バン ウニコ ベルルッティ ネロ グリージョ セラミック
老舗レザーブランド、ベルルッティとのコラボレーションモデル。象徴的なブラックのヴェネチアレザーを効果的に取り入れ、芸術的な世界を表現する。日本限定150本。
4.ブレゲ|クラシック 7787
天才時計師、初代ブレゲが製作した懐中時計を手本とした美しいデザインを生かすように、歴史ある工芸技法であるグラン・フー エナメルを組み合わせた。ブラックの深い艶感を楽しみたい。