「男の顔は履歴書」という言葉があるが、それは時計にも言える。メカニズムの巧みな設計や伝統を継承する美的表現を駆使することで生まれた自慢の“顔”には、ブランドの理念や哲学が表れているのだ。【特集 神推し時計】
1.ブレゲ|マリーン トゥールビヨン 5577
ブレゲらしい伝統と革新が小さなズレに表れている
フランス海軍の御用時計師としてマリンクロノメーターの製作にも従事していた、初代ブレゲことアブラアン-ルイ・ブレゲ。その伝統を継承するトゥールビヨン搭載のスポーツウォッチだ。ムーブメント厚はわずか3mmで、実は時分針位置を少しだけオフセンター配置にしている。
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ダイヤルには、トゥールビヨンを中心として筋目仕上げを取り入れた。トゥールビヨンが透けて見えるためその美しさを堪能できる。
2.リシャール・ミル|RM 30-01 オートマティック デクラッチャブル・ローター
大きなパワーリザーブ表示が時計のメカニズムを語っている
ローターの空転を防ぐため、ゼンマイが一定量巻き上がると自動的に巻き上げ機構と動力ゼンマイが切り離される、デクラッチャブル・ローターを搭載。最新作はケース素材に、軽量で高強度のATZホワイトセラミックスを採用する。
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カラフルなパワーリザーブ表示をダイヤル中央に大きく配置し、時計の機能を明確に語る。これもひとつの機能美と言えるだろう。
3.ウブロ|MP-10 トゥールビヨン ウエイトエナジーシステム チタニウム
精密なメカニズムはまさに動く芸術品
中央で回転するふたつのシリンダーで時刻を表示し、下部にある縦型のトゥールビヨンキャリッジが秒表示も兼用。左右にあるウエイトが上下に動くことでゼンマイを巻き上げるという仕組みも、画期的だ。世界限定50本。
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一見、摩訶不思議なメカニズムだが、極めて正確に時を刻む機械式時計。美しく並んだパーツの動きに、つい見とれてしまう。
4.パテック フィリップ|ワールドタイム 5330
高機能モデルを支えるさり気ない針使いに注目
センターの時分針は12時位置にある都市の時刻を、赤い先端のミネラルガラス製カレンダー針は日付を示す。10時位置ボタンを押せば都市名が書かれたリングが回転し、それに合わせて針も前後する。ローカルデイト機能を備えたワールドタイムウォッチだ。パワーリザーブは最大48時間。
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モダンな進化に合わせて、ダイヤルはカーボン・パターン。ブルーグレー・オパーリンの色も美しく、機能性だけでない魅力がある。
5.ヴァシュロン・コンスタンタン|オーヴァーシーズ・トゥールビヨン
超複雑機構を日常使いする贅沢な楽しみ
美しいブルー文字盤とエレガントなデザインが印象的な「オーヴァーシーズ」に、トゥールビヨンが融合。ムーブメントの周囲を回る環状のペリフェラルローターを採用し、ケース厚は10.39mmとスリムでつけやすい。ラバーとレザーのストラップも付属。ブティック限定。
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6時位置に見えるトゥールビヨンのキャリッジは、メゾンを象徴するマルタ十字。丁寧にポリッシュ仕上げがされている。
6.オーデマ ピゲ|ロイヤル オーク クロノグラフ
永遠なる定番モデルにダイヤル表現が相乗効果を生む
1972年の誕生以来、変わらぬスタイルを継承してきた時計史に燦然と輝く傑作。新作のクロノグラフは、フルゴールドにスモーキーイエローカラーのダイヤルを組み合わせて、より色気ある雰囲気に仕上げた。カレンダーリングも同系色でまとめることで、統一感を高めている。
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ダイヤルに入る格子状の模様であるグランドタペストリーは、初代モデルのプチタペストリーと並ぶ伝統的なデザインだ。
この記事はGOETHE 2024年8月号「特集:神推し時計」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら