連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第37回は、ロレックス「コスモグラフ デイトナ Ref.6263」を取り上げる。
ブラウンとクリーム色が絶妙に調和
手巻き時代のロレックス「コスモグラフ デイトナ」を大別すると、ポンプ式の非防水のクロノグラフプッシャーと、ねじ込み式の防水のクロノグラフプッシャーに分けることができる。
傾向としては後者の方が人気が高く、そのなかでもヴィンテージ界隈で最も需要があるのが「コスモグラフデイトナ Ref.6263」だ。
デイトナ史上初めて、正式にねじ込み式の防水性能を持ったクロノグラフプッシャーが採用された「Ref.6263」は、製造期間が1969年から1980年代後半と長きにわたり、そのディテールもさまざまな変遷を経てきた。
オリジナリティ(パーツの整合性)はもちろん、コンディションも個体を評価する対象になってくる。デッドストックのようなきれいな状態も当然珍重されるが、忘れてはならないのが“トロピカルダイヤル”の存在。
“トロピカルダイヤル”とは、長い経年変化により文字盤がブラウンチェンジしたもののこと。
ヴィンテージロレックス全般を通じてこの“トロピカルダイヤル”は人気だが、実は「コスモグラフ デイトナ」となると事情が異なる。きれいなエイジングであるほど評価は上がり、驚くほどのプレ値がつくのだ。
今回紹介する1975年製の「Ref.6263」は、「DAYTONA」の表記が入らない“マーク2ダイヤル”に“マーク2プッシャー”を組み合わせており、なおかつブラウンに変色したインダイヤルとクリーム色に変化したシルバーのダイヤルが調和した、奇跡のエイジングを見せる1本となっている。
購入を狙っている人は、ぜひ手に入れてほしい。
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リベルタス TEL:06-6643-9455