連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第33回は、ロレックス「コスモグラフ デイトナ Ref.16520」を取り上げる。
エポックメイキングとなった「コスモグラフ デイトナ Ref.16520」の最初期モデル
ロレックス「コスモグラフ デイトナ」の歴史上、最大のエポックメイキングとはクロノグラフムーブメントの自動巻き化にある。
それを実現させたのが、1988年に登場した「コスモグラフ デイトナ Ref.16520」だった。
デザインは刷新され、ケースサイズは40mm径に拡大し、クロノグラフプッシャーには初めてリューズガードが採用。ダイヤルデザインも一気にモダンに変更された。
搭載されたロレックス初の自動巻きクロノグラフムーブメントCal.4030は、エボーシュ(汎用メーカー)のものをチューンナップし、振動数を毎時3万6000回から2万8800回に下げることで耐久性が向上。クロノメーターも取得している。
「Ref.16520」はバリエーションが豊富なのだが、今回紹介する“マーク1ダイヤル”は、製造期間が約1年だけと、その希少性の高さから最も人気が高いモデルのひとつである。
ダイヤルに関しては、12時位置の5段表記のうち、最後の「COSMOGRAPH」のみ1段下に入ることから“段落ち”や“フローティング”などと呼ばれている。これは数ある「Ref.16520」のなかでも”マーク1ダイヤル”のみの仕様だ。
最大200km/hまで計測できるタキメーターベゼルも、“マーク1ダイヤル”のみ搭載。そのため、コレクターの間では、“200タキ”の愛称で親しまれている。
欲しいと思っても手に入れることが難しい「コスモグラフ デイトナ Ref.16520」の“マーク1ダイヤル”ではあるが、ぜひ一度その魅力を味わってみてほしい。
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