どこかひとつでも激烈に推せる個性があるだけで、人生の伴侶たる最良の1本となりうる。6つの推せるポイント別に、エネルギー漲る腕時計を一挙紹介。今回は「神ディテール」で推す! 【特集 神推し時計】
見れば見るほど目を奪われる、繊細な神業の圧倒的魅力
わずか5センチ四方にも満たない腕元の小さな世界。そこでの存在感を楽しむ腕時計とは、自己満足の極致なのかもしれない。
だからこそ、「神は細部に宿る」という言葉どおり、職人の手仕事や圧倒的に繊細な仕上げといった神がかったディテールを堪能することは、時計好きにとって最も楽しい瞬間であるといってもいい。また、細部にはブランドの哲学や美意識が垣間見られ、そこに共感することは自分の世界を広げることにも通じる。
誰に見せびらかすものでもない、果てしないディテールの追求。それを知ってしまったら、時計沼から抜けだせなくなることは間違いない。
1.ルイ・ヴィトン|エスカル
これまでコンプリケーションのみの展開だった「エスカル」に、新たに3針モデルが登場。ダイヤル中央部はモノグラム・キャンバスのテクスチャーをスタンピングするほか、トランクの角を補強するパーツからインスパイアされた意匠を施すなど、アイコニックなディテールが満載だ。
2.グランドセイコー|エボリューション9 コレクション SLGW003
日本の美しい自然をダイヤルに閉じこめた、グランドセイコーの意欲作。新規設計の機構によって巻き心地のよさも評価される本モデルは、製造拠点である岩手県、平庭高原に群生する白樺の樹皮を模した型打ちパターンが特徴だ。
3.エルメス|エルメス カット
新コレクション「カット」は、立体の「丸」と平面の「円」を組み合わせて、それぞれの魅力を引きだした独創的なデザインが魅力。正面からはサテン仕上げ、サイドからはポリッシュ仕上げが覗く。1時半位置のリューズにはHの文字があしらわれている。
4.タサキ|フィオナ・クルーガー プチ スカル
スイスを拠点に活動しているデザイナー、フィオナ・クルーガー氏の死生観を前面に押しだしたモデルで、そのインパクトは絶大。マザー・オブ・パールのダイヤルに緻密なドットを転写プリント。軸受けのルビーを目に見立ててデザインされたムーブメントも、秀逸だ。
5.ピアジェ|ポロ
メインダイヤルに施された水平の装飾と、インダイヤルの同心円状のアズラージュ装飾がダイヤルにリズムをもたらす名作「ピアジェ ポロ」。そのクロノグラフに新色のグリーンが登場した。サテンとポリッシュの磨き分けも見事。パワーリザーブは約50時間。
6.アントワーヌ・プレジウソ|シエナ
モデル名の由来となっているのがイタリアの古都、シエナの広場に建つマンジャの時計塔。そこに着想を得た本作は、文字盤や針のデザインもクラシカル。シエナの空さながらの真っ青なマザー・オブ・パールと、美しいバロック様式の時分針が見事にマッチしている。
この記事はGOETHE 2024年8月号「特集:神推し時計」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら