PERSON

2026.01.06

「本当は年を取るほど薬は飲まないほうがいい」和田秀樹×87歳ミッキー・カーチス対談⑥

ロカビリー歌手、音楽プロデューサー、作詞家、俳優、レーサー、落語家、画家。常に変身し続けるミッキー・カーチスさんと医療の壁に挑み続ける和田秀樹さん。反骨同士の対談は静かで熱い“ロック”だった!【対談最終回】

生きてる間が地獄。死んだら天国

ミッキー 最近わかったの。あのね、生きてる間が地獄。死んだらみんな天国。

和田 横尾(忠則)さんみたいなことをおっしゃいますね。死ぬのが楽しみだって。

ミッキー そうでしょ。ねえ。だんだんわだかまりがなくなっていく。生きてる間はけっこういろんなことがあるので。

和田 おっしゃる通りですね。

ミッキー 付き合いがあるというだけの人もいる。

和田 いやあ、なんかお言葉が一つ一つ素敵です。僕がなんでこの対談をやるかって言うと、年を取っても元気な方、いろんなことができてる方って、やっぱりある種のさとりがあるんですよ。その話を聞くほうが医者の言うこと聞くよりよっぽどためになると思いまして。

ミッキー 確かに。医者なんて無責任だから。医者に言っちゃいけないけどね(笑)。

和田 おっしゃる通り医者は無責任ですよ。

ミッキー 人に言うのは簡単だよ。言われるほうは大変。

和田 そう。命令するのは簡単なんですよ。例えば、僕も何年か前に胃カメラを飲まされたときに「楽でしょ。楽でしょ」って医者は言うの。だけど楽なわけないじゃん。こっちは涙流してるんだから。そしたら「抵抗するから余計に苦しくなるんですよ。はい、大人しくね。あーいいですよ。楽でしょ」って、全然楽じゃないよ。だからもう二度とやらない。

ミッキー (笑)。楽なわけないもん。あんなもん飲まされて。声出なくなっちゃうしさ。

和田 そうそう。だから医者も自分が患者になってみたらちょっとわかると思いますけどね。

ミッキー 俺、ペースメーカーも入ってるでしょ。

和田 そうなんですね。

ミッキー これはちょっと楽。

和田 20年ぐらい前にアメリカの大規模調査で不整脈の薬を飲むとかえって早死にすることがわかったんです。それで薬が作られなくなり、代わりにペースメーカーが使われるようになった。で、日本人は手先が器用だからペースメーカーの埋め込みはうまいんです。

ミッキー 俺はペースメーカーの電池が切れて、タイで新しいのに入れ替えた。タイも医療はすごく発達してるんだよ。

医者には行かない

和田 僕は医療を全面的に否定してるわけじゃないんです。だけど苦しいことまで我慢するのは嫌だなあと思う。

ミッキー だから行かねえよ、病院。行かなきゃいけないんだけど。

和田 僕は年を取ったら無理に病院に行くことはないと思っています。

ミッキー だって待ち時間6時間だよ。それで実際に医者に会ってる時間は3分だよ。

和田 興味深い事例がありまして。「夕張パラドックス」と言われてるんですけど。北海道の夕張市立総合病院というけっこう大きな総合病院が財政破綻で潰れたんです。

ミッキー 夕張は石炭の町だったからね。

和田 ええ。代わりに小さな診療所ができた。患者は医療を受けられなくなると心配されたんだけど、結果的にこれが功を奏しました。市民はムダに病院へ行かなくなり、そのおかげでガン、心疾患、肺炎の死亡率が下がった。寿命が延びたんです。

ミッキー 医者に行くとその病気になっちゃうから。

和田 そうなんです。もちろん痛いとか苦しいとか、そういうときは行ったほうがいいと思うんですけど。

ミッキー その人その人のペースで。俺はほとんど行かないけどね。

和田 そう。そのほうがいいと僕は思います。

ミッキー とは言え、酒も飲まずタバコも吸わず、毎日ジョギングしてるやつが早く死んじゃったりするんだよな。

和田 それはやっぱり免疫力が下がるからでしょうね。

ミッキー やりたいことをやる。ムリはしない。

和田 それが一番です。あと薬は年を取ると共に毒になりますから。副作用が出やすくなるんです。それなのに年を取るほど薬が増えてしまう。だから本当は年を取るほど薬は飲まないほうがいいんですよ。

ミッキー 今俺が飲んでるのは痙攣止めの薬くらいか。

和田 それはしょうがない。痙攣は辛いですから。

ミッキー まあそう言われても飲まないんだけど(笑)。

和田秀樹/Hideki Wada(左)
精神科医・幸齢党党首。1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業後、同大附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー等を経て、和田秀樹こころと体のクリニック院長に。『80歳の壁』『幸齢党宣言』など著書多数。
ミッキー・カーチス(右)
ミュージシャン・俳優。1938年7月23日生まれ。1958年、第1回「日劇ウェスタン・カーニバル」でロカビリー三人男としてブームを巻き起こし同年、映画『結婚のすべて』で俳優デビュー。日本初の音楽プロデューサーとしてガロやキャロルなどを世に送りだす。ハーモニカや養蜂など幅広い趣味も。自伝書に『おれと戦争と音楽と』。

水分は100%コーラで補給

和田 ミッキーさん、対談中にコーラを飲んでますが、コーラはお好きで?

ミッキー うん。水分は100%コーラから。

和田 え、100%?

ミッキー コーラしか飲まない。水は飲まない。お茶も飲まない。

和田 徹底してますね(笑)。

ミッキー 点滴をコーラにしてくれって言ったら、いいかげんにしろって言われた。

和田 (笑)。脳を刺激していいかもしれませんけどね。

ミッキー 父親はコーラを日本に持って来た人なんです。

和田 へえー。

ミッキー 元は漢方薬だもん、コーラは。

和田 そうですね。アメリカの薬剤師がコカの葉とコカの実を使って作った薬でした。

ミッキー コカインのコカ。

和田 今はコカインを除去したコカの葉を使ってるそうですね。

ミッキー そう。だから俺はコカ・コーラしか飲まない。

和田 (笑)。もうね、やっぱりミッキーさんはそんな感じで好き勝手に生きるのが一番ですよ。そのほうが長生きするはずだと私は信じてます。

ミッキー うん。

和田 楽しいのでずっと話していたいけど、そろそろ時間なのでこのへんで。

ミッキー 大丈夫? やばいとこは切ってね。

和田 やばいのを気にしないところがこの連載のよさだと私は自負していまして。今日は本当にお会いできて光栄です。もうね、説得力が違いました。

ミッキー ありがとうございます。俺も楽しかった。

TEXT=山城稔

PHOTOGRAPH=鈴木規仁

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2026年2月号

その一滴が人生を豊かにする 弩級のSAKE

ゲーテ2026年2月号表紙

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2026年2月号

その一滴が人生を豊かにする 弩級のSAKE

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ2月号』が2025年12月24日に発売となる。特集は、その一滴が人生を豊かにする弩級のSAKE。表紙は俳優のパク・ソジュン!

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

GOETHE LOUNGE ゲーテラウンジ

忙しい日々の中で、心を満たす特別な体験を。GOETHE LOUNGEは、上質な時間を求めるあなたのための登録無料の会員制サービス。限定イベント、優待特典、そして選りすぐりの情報を通じて、GOETHEだからこそできる特別なひとときをお届けします。

詳しくみる