南極から北朝鮮まで128ヵ国・地域を食べ歩き、世界的なフーディーとして知られる浜田岳文氏。そんな彼が太鼓判を押す、本当に美味しい手土産とは? 【特集 最高の手土産】

記憶に残る美味体験
世界的なフーディーとして知られる浜田岳文氏は、手土産において「相手の期待を超え、記憶に残る体験を贈ること」を最重視する。そのためには、希少性や話題性よりも、ひと口で驚きと納得をもたらす本質的な質の高さが不可欠だ。浜田氏が推薦する手土産は、その思想を端的に示す。
たとえば「あいと電氣餅店」の「生大福」は、「つきたて」で「賞味期限5時間」という和菓子の常識を覆す逸品。甘さ控えめで米本来の風味を堪能でき、普段和菓子を好まない相手にも響く。
「カンテサンス」の岸田周三シェフが長年の試行錯誤を経て完成させた「ガトー オー コンテ」と「ガトー アルマニャッケ」は、どちらも外部製造に頼らず店内でひとつずつ焼き上げる姿勢が特別感を支えるケーキだ。
「菓子たかむら」の「八衣(はごろも)」は、季節の果実と軽やかなふわふわの求肥が非日常的な高揚をもたらす新食感スイーツ。
浜田氏が選ぶ手土産は、相手の人生に静かに刻まれる極上の美味体験だ。
浜田岳文の究極の手土産3選
1.賞味期限5時間の生大福
生大福/あいと電氣餅店

「和菓子は日持ちさせるために砂糖をふんだんに使うことが多いですが、ここのお菓子は甘さが控えめで米本来の風味を楽しめます」と浜田氏が推薦するのは、東京・富ヶ谷の餅屋「あいと電氣餅店」。
100年の伝統を引き継ぐ「生大福」は、糖度を極限まで抑え、新潟県産こがねもちと北海道産の小豆の風味を最大限に引き出した看板商品。その繊細で奥深い味わいは、わずか5時間の間だけ楽しむことができる。
早い時間に売り切れになることもあるため、確実に手に入れたい場合は公式LINEからの予約がおすすめ。予約の受付は受取日の1週間前から前日16:00まで。持ち帰りだけでなく、冷凍配送も可能。
2.ミシュラン三つ星フレンチのお取り寄せケーキ
「ガトー オー コンテ」「ガトー アルマニャッケ」/カンテサンス

「オープン当初からミシュラン三つ星を維持し続ける名店『カンテサンス』の岸田周三シェフは、完璧主義と呼ぶにふさわしいほど完成度へのこだわりが強い料理人。自身が厨房に立たない限り店は営業せず、商品プロデュースにも関わってきませんでした。そんなシェフが、何年にもわたる試行錯誤の末にようやく納得のいく形にたどり着いたケーキです」
そう浜田氏が推薦するのは、「ガトー オー コンテ」と「ガトー アルマニャッケ」。
「ガトー オーコンテ」は、ザクッとしたタルト生地と軽やかなレアチーズケーキ、濃厚なベイクドチーズケーキの3層構造で、段階的に味が変化するチーズケーキ。稀少な36ヵ月熟成のコンテチーズがたっぷり使われている。
「ガトー アルマニャッケ」は、生菓子と焼き菓子の中間のような食感のケーキ。高品質なアルマニャックに漬けた大きなトンプソン種のレーズンが主役級の存在感を放つ。
3.求肥がふわりと溶ける新感覚の和菓子
八衣(はごろも)/菓子たかむら

「菓子たかむら」は、浜田氏おなじみの会員制割烹「日本料理 たかむら」(秋田県)が、2024年夏に麻布台ヒルズの横にオープンした和菓子店。
「季節のフルーツとあんこを求肥で包んだ『八衣』は、もちもちというよりふわふわした食感が軽やか。秋田の本店は会員制でハードルが高いだけに、手土産として喜ばれると思います」
天女の羽衣のごとく柔らかな「八衣」の求肥は、秋田県の契約農家が丹精込めて育てた餅米から作られた、特別な米粉を使用したもの。上品な甘さのあんこと、厳選された素材が贅沢に詰め込まれている。
浜田岳文/Takefumi Hamada
1974年兵庫県生まれ。米国・イェール大学在学中から食べ歩きを始め、世界約128ヵ国・地域を踏破。「The World’s 50 Best Restaurants」の日本評議委員長を務める。世界No.1レストランレビュアー。

