サッカー元日本代表・ラモス瑠偉氏の長男、ファビアノ氏が、横浜市を中心に活動する社会人サッカークラブ「CARIOCA FC」を設立した。自身が代表兼監督を務め、瑠偉氏がエグゼクティブディレクターとして参画。2026年1月の本格始動に向け、サッカーと仕事の両立を掲げ、神奈川県3部リーグから新たな挑戦が始まる。
ラモス瑠偉のDNAを継ぐ男が挑む「二刀流クラブ」とは
ラモス瑠偉の魂を次世代に継承したい――。
ファビアノ氏の熱い思いが、ついに形になった。新クラブ「CARIOCA FC」のコンセプトは「働きながらサッカーに真剣に向き合う」。一生サッカーとともに生きていくための、新しいスタイルを打ち出す。
クラブ名の「CARIOCA」は、ポルトガル語でブラジル・リオデジャネイロの市民、あるいは出身者を意味する言葉。日本サッカー界では言わずと知れた瑠偉氏のニックネームでもある。
ファビアノ氏は「父の功績を新たな形で残したい。親子で日本サッカー界に恩返しをしたい気持ちをずっと持っていた。親子の夢である同じチームで指導することを実現できる」と目を輝かせた。
サッカーと仕事の“二足のわらじ”を本気で支える仕組み
CARIOCA FCは、従来の社会人クラブとは一線を画し、サッカーと仕事、その両面でキャリアアップできる環境を整えた。
業務提携を結ぶSLASHが、選手の活動に理解のある企業での業務を斡旋。大手ドラッグストアや清掃業者、スポーツ専門店、サッカースクールコーチなど、働く選択肢も幅広い。
各選手に専属マネジャーがつき、選手と企業をサポート。個々に合った職業を探せるのも強みで、現役引退後も企業に残り勤務を継続することも可能だという。仕事では最低20万円の給料を担保。選手がシェアハウスとして使うためのアパートの準備も進めている。
「サッカーに打ち込める環境で仕事をすることができる。本人の能力とやる気次第では給料はいくらでも伸ばすことができます。サッカー、仕事の両方でキャリアアップすることが、選手のためになると考えています」
練習は仕事後の平日夜に4回、土日のどちらかに試合を組む方針だ。瑠偉氏も可能な限り現場に足を運び、指導に当たる予定。すでに複数のスポンサーも内定しており、選手には仕事での給料に加え、公式戦での勝利給も支給されるという。
ラモスのDNAを継ぐ男のキャリアと覚悟
ファビアノ氏は東京ヴェルディのスクール出身。10代でブラジルにサッカー留学し、名門サン・カエタノでプレーしながら、本場のトレーニング理論を学んだ。
帰国後は当時東海社会人リーグに所属していたFC岐阜セカンドの監督などを歴任。複数の高校で指導者を務めるなど育成にも精通している。
1999年8月、国立競技場で行われた瑠偉氏の引退試合。当時13歳だったファビアノ氏もピッチに立ち、父からラストパスを受け、試合後には最後に履いたスパイクを手渡された。
ラモス瑠偉のサッカー観を誰よりも理解する後継者だ。
「親子で日本サッカー界に新たな歴史を刻みたい。観る人の心を揺さぶるような感動と興奮を届けられるチームを目指したい。まずはクラブを知ってもらって、少しずつ大きくしていくことが目標です」
当面は“サッカーと仕事の両立”を掲げながら、状況次第では将来的にプロ化に舵を切ることも視野に入れている。
「ゼロから親子でチームを作り、プロ化できれば日本では前例のないことだと思う。パッションを大事にしていきたい」
2026年1月に始動する予定。ラモスファミリーの挑戦が幕を開けた。
ラモス ファビアノ
1985年10月11日、東京都生まれ。東京ヴェルディのスクール生、セントメリーズインターナショナルスクールを経て、ブラジルにサッカー留学。サン・カエタノで選手をしながら指導方法も学んだ。帰国後は育成年代の指導者や東海社会人リーグの岐阜セカンドなどで監督を歴任。父は元日本代表のラモス瑠偉氏。
