ABEMAの番組『愛のハイエナ』の超人気企画「山本裕典、ホストになる。」。そのなかで俳優・山本裕典にホストとしての心意気とテクニックを熱血指導するのがホストクラブブランド、エルコレのプロデューサー“軍神”こと心湊一希だ。強い組織をつくる指導力と相手の心を摑むコミュニケーション術、そしてホストへの転身後に圧倒的な成功を収めた激動の半生を探る。インタビュー第2回は、ホストクラブに入店するまでのサラリーマン時代、34歳にしてホストとなったきっかけについて。【他の記事はこちら】

デイトレーダーとして大金を稼ぎ、FXですべてを失った
34歳という年齢でホストとしてのキャリアをスタートさせるも、デビュー1年目から4年連続で年間売り上げ1億円を突破。プレイヤーを引退した後はプロデューサーとしてホストクラブ「Lillion(リリオン)」や「LiTA(リタ)」、「MIST(ミスト)」の運営を担い、各店を歌舞伎町随一の人気店に成長させているカリスマホスト・心湊一希(みなといつき)。
その子供時代は、母の再婚相手の影響でフィリピンの厳しい環境に置かれ、帰国後も極貧生活のなか学校でいじめに苦しむという壮絶なものだった。
逆境のなかで「与えられたいならば、与えなければならない」と悟った少年は、ユーモアという武器を身につけ、人気者になっていく。しかし心湊の青年期は、幼少期の貧困生活の記憶から“金”に執着するようになっていったという。
「高校卒業後はITの専門学校に通いましたが、あまり楽しくなくて。子供時代に貧乏だったことがとにかくキツかったので、早くお金を稼ごうとバイトで貯めたお金を元手にデイトレーダーみたいな生活を始めたんです」
熱中すると飲みこみは早かった。投資や株の知識をあっという間に身につけ実践していったことで、資金はどんどん増えていった。
「1日中部屋でPCとにらめっこ。当時は投資以外、何もやっていなかったんです。でも、資金が増えたのをいいことにFXに手を出して大失敗。そのすべてを一気に失いました。
すると、仲よく付き合っていた友達や恋人が、お金がなくなった瞬間に僕から離れていったんです。その時、『お金って虚しいなぁ』って実感したんですよ。だから僕、それ以降はお金を稼ぐことにはいっさい興味がなくなりました」
とはいえ、預金残高はゼロ。働かなければ生きていけない。23歳の時に企業に就職してサラリーマンとして働き始めた心湊だが、そこで仕事の面白さを味わった。
「営業の仕事だったんですが、マジで働くのが楽しくて。自分が成果を出せば、上司も同僚もクライアントも、みんなが笑顔になるんですよ。いろんなことを学びながらお金ももらえる。こんな最高なことってあります?(笑)デイトレーダーなんかしてないで最初から働いておけばよかったって、心から思いました」

1982年千葉県生まれ。デイトレーダー、営業マンを経て起業を経験した後、34歳でホストに転身。1年目から年間売り上げ1億円を達成し、その後も3年連続で1億円を超える成績を残す。月間最高売り上げは5500万円に達し、圧倒的な成績を収めた後にプレイヤーを引退。現在はホストクラブのブランド、エルコレのプロデューサーとして、新宿・歌舞伎町で「Lillion」と「LiTA」、「MIST」、大阪・ミナミで「GO」を手がけている。ABEMA『愛のハイエナ』の人気企画『山本裕典、ホストになる。』にて、山本裕典を指導する様子が大きな話題に。また、リアルホストドキュメンタリー『エルコレ〜歌舞伎超TV〜』では演者として出演している。
利他の精神でトップ営業マン、そしてカリスマホストへ
心湊は引っ越し業者の法人営業でさまざまな企業の人たちと知り合い交流を深め、営業成績は常に圧倒的トップ。学生時代、常に同級生たちの顔色を窺ってきた少年は大人になり、人の機微を察するというスキルを営業の仕事で遺憾なく発揮したのである。頑張れば頑張るほど結果が出て、周りも喜んでくれる。異国の地で過ごし、いじめと貧困を耐え抜き、小さな部屋のなかで金のことだけを考え続けた時代を経て、心湊は仕事の喜びに救われた。
「とにかく働きたくて、みんなが嫌がるような面倒くさい仕事も全部引き受けました。周りがやらないような仕事やトラブルを率先して解決してくれる人って、組織のなかでメチャクチャ重宝されるじゃないですか」
その後、独立して起業。さまざまな事業を立ち上げ、軌道に乗せていく。
そして34歳の時、知人女性から「喋りが面白いし、絶対向いているからホストをやってみたら?」と誘われたのが、ホスト転身のきっかけとなった。
「そういえば、自分は今まで営業としていろんな物やサービスを売ってきたけど、自分自身を商品として売ったことはなかったなって。人生一度きりだし、やってみるのもアリかなって思ったんですよね」
リサーチがてら、軽い気持ちでホストクラブに客として潜入するも、そこで衝撃を受けた。
「今まで見てきたものとは全然違う世界が広がっていました。キラキラしていて、まさにエンターテインメント。ホストの男の子はみんな輝いているし、楽しそう。俺もやってみたいって、心を揺さぶられました」
しかし、34歳で業界未経験、さらに酒が飲めなかった心湊は、10店連続で不採用。11店目でようやく採用を勝ち取った。
「絶対ホストになると決めていたので、バンバン受けまくって。営業マン時代にメンタルは鍛えられていたので、いくら不採用でもまったく気落ちすることはなかったです(笑)」
トップ営業マンのトークスキルと、「誰かに喜んでもらいたい」という徹底した利他の精神。それを持つ心湊が、夜の世界で華開かないわけがない。心湊はホスト1年目にして年間売り上げ1億を突破し、カリスマホストへの階段を駆け上がっていくことになる。
第3回に続く。