元日本代表でサッカーJ1リーグ・浦和レッズのMF原口元気が、勝負のシーズンを迎える。ヘルタ・ベルリンなどドイツで10シーズンプレーし、2024年9月にジュニアユース時代から在籍した古巣に復帰。2024年シーズンは思い描いた活躍ができず、チームもJ1残留争いに巻き込まれただけに、新シーズンに懸ける思いは強い。

2024年は不甲斐ないシーズンを送った
2025年2月14日開幕の新シーズンに向けて、1月6日に始動した浦和レッズ。2006年以来リーグ優勝から遠ざかるなか、原口元気は自らに言い聞かせるように言葉に力を込めた。
「何度も言うように優勝するためにレッズに戻ってきた。それだけにフォーカスして、その責任を担いたい」
ジュニアユースから浦和レッズに所属し、ユース時代の2009年1月に17歳263日でプロ契約を締結。自身を育ててくれたクラブへの愛は誰よりも強い。
プロ1年目から浦和で5年半プレーして、2014年5月にドイツ1部のヘルタ・ベルリンに移籍。フォルトゥナ・デュッセルドルフ、ハノーファー96、1.FCウニオン・ベルリン、VfBシュツットガルトを経て、2024年9月に浦和に完全移籍で復帰した。
しかし、復帰後はドイツと日本のサッカースタイルの違いやシーズン途中から加入した難しさもあり、チームにフィットできなかった。
2024年シーズンはリーグ10試合に出場し、1得点に低迷。チームも残留争いに巻きこまれて13位に沈んだ。
本当に強くて勝てる浦和になる
巻き返しに向け、冬はオフ返上で自主トレーニングを実施。プレースタイルを支える身体のキレとスプリント力と取り戻すために、走り込み中心のメニューを行った。
「オフはとりあえず走りましたね。昨季は走れていなかったので。どうすれば昔のように1試合で30本、40本のスプリントができるのかを考えて、計画的にいろいろなトライをしてきた。走れないと結果が出ないと感じたのでそこにフォーカスしてきた。オフ明けのテストでもいい成果が出たので、それをピッチに落とし込んでいきたい」
1月12日から2月1日に行われた沖縄キャンプでは、ガンバ大阪や名古屋グランパスと練習試合を実施。自身のコンディションを上げるとともに、連携面の確認にも時間を割いた。
「(シーズンの)頭からやれているのは、デカいですね。昨季はシーズン途中の加入で、残り10試合ぐらいしかなかったので、順位的にも何を目指すんだっていう状況だったというのもある。今回はちゃんと準備期間からできているので、本当に強いチーム、勝てるチームを作る時間にしたいなと思っています」
2024年シーズン、柏レイソルでベストイレブンに選出されたMFマテウス・サヴィオ、ベルギー1部KVコルトレイクで活躍したMF金子拓郎らの加入もあり、2列目のポジション争いはし烈だ。
原口はプレシーズンの練習試合ではレギュラー組が出場する1本目から外れる機会が多かったが「欧州で10年やって毎年サヴィオのような選手と争ってきたので、何も感じないというか、それが普通のこと。共存できると思うし、一緒に頑張っていきたい」と強調した。
日本代表として出場した2018年W杯ロシア大会、決勝トーナメント1回戦ベルギー戦で先制点を挙げるなど勝負強さは折り紙付き。
ドイツ時代はボランチやサイドバックなどでプレーする機会が多かったが、今は攻撃的ポジションで勝負する意志を鮮明にしている。
「必ず昨シーズンと違う自分を見せられると思う」
強くて、魅力に溢れたレッズを取り戻す戦いが始まる。
原口元気/Genki Haraguchi
1991年5月9日埼玉県生まれ。ジュニアユースから浦和レッズに所属。2008年に2種登録選手としてトップチームに登録され、公式戦デビューを果たした。2009年1月にプロ契約。2014年にドイツ1部のヘルタ・ベルリンに移籍し、フォルトゥナ・デュッセルドルフ、1.FCウニオン・ベルリンなど、ドイツで10シーズンプレーした。2024年9月に浦和レッズに復帰。日本代表として、国際Aマッチ通算74試合11得点。