テレビ番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』や、霜降り明星のYouTube『しもふりチューブ』などを手がけ、今話題になっているボードゲーム『サンレンタン』のゲームデザインも仲間と担当した人気放送作家の白武ときお氏にインタビュー。第3回は、そのボードゲーム『サンレンタン』と生きた情報の掴み方について。
ボードゲームは麻雀やゴルフをやらない人のコミュニケーションツール
2024年10月16日の発売以降、ジワジワと話題になっているボードゲーム『サンレンタン』。「お弁当のおかずでうれしいのは?」「1億円をもらえる代償として許せるのは?」といったお題に対して相手の好みや価値観を予想して遊ぶコミュニケーションゲームだ。
そんな『サンレンタン』のゲームデザインを担当したひとりが、人気放送作家の白武ときお氏。自身も大のボードゲームファンで、友達を集めて夜な夜なボードゲームをプレイしているうちに、その面白さにどんどん魅了されていったという。
「基本的にはライトなゲームを中心に楽しんでいます。好きなゲームは、『カタン』、『インサイダーゲーム』、『お邪魔者』、『タイムボム』といったゲームです。なかでも、『レジスタンス:アヴァロン』は、特に熱中した作品のひとつでした。ルールとしては『人狼ゲーム』とよく似ているのですが、すべてのプレイヤーが途中で離脱することなく進められるので、最後まで飽きることなく全員で楽しむことができる。ボードゲーム好きには、特にオススメの作品ですね」
また、ボードゲームは白武氏のビジネスツールとしても役立っているそう。実際、ボードゲームのコミュニティで出版社の漫画編集者と知り合ったことがきっかけで、新しい仕事がスタートしたのだとか。
「ボードゲームはプレイしていて楽しいだけでなく、人とのコミュニケーション手段にもなります。楽しみながら初対面の人とも打ち解け、仲よくなれる。僕は麻雀やゴルフをやらないですが、ボードゲームで初対面の人と遊ぶことがあります。それが“社交の場”となっているのかもしれません」
当事者とのコミュニケーションから生きた情報を掴み取る
ターゲットが異なる各種メディアに合わせた “バズる”企画を求められる白武氏は、リアルタイムでヒットしているものに興味を持ち、日々の情報収集を怠らない。
「ランキングがあるものは普段から目を通します。YouTubeの急上昇ランキングやNetflixのランキング、SpotifyのポッドキャストチャートやApple Musicのランキングなど。あまり興味がないジャンルでも、人気のドラマやアニメは、第1話だけ軽く目を通すよう心がけています」
ただ情報を集めるのではなく、そこから人々に刺さる企画を発想することが重要。そのためには、“生きた情報”を掴まなくてはならない。
「初対面の人でも雑談するときはとにかく、今熱中していることについて聞きまくります。最近、何を見て、どう思ったか。ネットだと自分が興味ないものは全然リコメンドされないので、そういう会話から出合えないものが必ずあります。例えば、僕自身はゲーム実況者とかVTuberとか疎いんですけど、その界隈の情報は積極的に聞きますね。
また、あまり普段は飲みに行ったりはしないんですが、ジャンル違いの魅力的な人と知り合ったらその日に飲みに誘います。相手が知りたそうな情報をこちらも伝えながら、例えば相手が大手出版社の漫画サイト担当の人なら、『ジャンプ+がなぜ凄いのか?』『漫画界はどういう勢力図なのか?』『今後どうなっていくと予測しているか?』みたいな、 “その業界の今”を質問攻めしてしまいます。最前線の情報はネットには落ちてないし、直接当事者に聞かないと知り得ないことなので」
時代のトレンドを敏感に察知しようとする努力が、若き放送作家・白武ときおの仕事を支えている。