GOLF

2025.08.02

右へ左へ曲げないために、「左の壁を作る」がうまくできない…それなら、“抜重”を!

今回は左への体の流れを防ぐ、スコッティ・シェフラーのボウリングドリルを紹介する。

吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン/左への体の流れを防ぐ、スコッティ・シェフラーのボウリングドリル

左サイドの抜重ができないと体が流れる

ゴルフのレッスンで「体を突っ込ませない」「左の壁を作る」といったアドバイスを受けたことのある人は多いだろう。これらはすべて、左サイドが目標方向に流れて軸が傾いたり、振り遅れたりしないようにするための表現である。

このように体が目標方向に流れると、クラブがインサイドから入りすぎる、いわゆる「あおり打ち」になりやすくなり、急激に左へ曲がるダックフックや、右へ飛び出すプッシュアウトの原因となる。

左サイドが目標方向に流れてしまうタイプの人は、インパクトエリアで左膝が外側に割れるようなガニ股の形になり、左足の外側に体重が大きく乗ってしまっているケースが多い。これは、左足の抜重(体重を抜く動作)のタイミングが遅れていることによって起こる現象だ。

本来、ダウンスイングで左足を踏み込んだあと、上方向に向かう地面反力によって左膝が自然に伸びる。しかし、抜重ができずに地面を踏み続けていると、地面反力に逆らう形となり、左サイドがそのまま目標方向に流れてしまう。

つまり、「体を突っ込ませない」「左の壁を作る」といったアドバイスは、左サイドが地面反力によって上方向に伸びることで、自然と解決されるというわけだ。

ボウリングのように右足を引き、左足が伸び上がる

今回は、左サイドの抜重感覚を身につけるためのドリルを紹介したい。ヒントとなったのは、スコッティ・シェフラーのスイングである。

2025年シーズンのシェフラーは、全米プロゴルフ選手権と全英オープンの2つのメジャー大会を制し、メジャー通算4勝目を達成。メジャー2勝を含む今季通算4勝を挙げ、世界ランキング1位の座を堅持し、ツアーを支配する存在になっている。

スタッツも圧倒的で、「ストロークス・ゲインド:トータル」は1ラウンド平均+2.64ストロークでPGAツアー1位。ティーショットからパッティングまで、全ショットで他を圧倒している。「ストロークス・ゲインド:アプローチ」も+1.29で1位と、特にアイアンショットの精度が際立つ。

そんなシェフラーにも、左サイドが目標方向に流れる傾向がある。調子が悪いときにはその動きが強くなり、コーチのランディ・スミスが背中側から腰に手を添えて体の回転をサポートすることもある。

それでもスイングが崩れないのは、左脚の抜重が非常に上手いからだ。彼の動きを観察すると、左股関節がスムーズに切れ上がるように動き、体が流れすぎるのを抑えている。

特徴的なのは、フォロースルーで右足を後方に引くような動作。この動きが、左サイドの流れを抑え、骨盤が前に出づらくなる要因となっている。結果として、前傾姿勢が保ちやすくなり、スイング軌道も安定し、インパクトの精度が高まる。

この動きは、ボウリングの足さばきにも似ている。右投げのボウリングでは、左足を前に踏み込み、左サイドが伸びると同時に、右足は後ろへ引かれてバランスを取る。左サイドの抜重がうまくできない人は、ぜひこの足使いを参考にしてみてほしい。

今回紹介するのは、シェフラーの動きを応用した「ボウリングドリル」。右足を引きながら左足を抜重することで、左サイドの自然な伸び上がりを体感できる。

ポイントは、左股関節が上に切れ上がるような動きになること。その感覚をつかむためには、左手で左ポケットをつまみ、上方向へ引き上げるとよい。これにより左サイドが縦方向に動き、抜重がしやすくなるだけでなく、クラブのリリースも自然に行える。

練習では、右手だけでクラブを持ち、左手で左ポケットをつまんだ状態で素振りを行う。ダウンスイングで左足を踏み込んだら、右足を後ろに引きつつ、左ポケットを上に引き上げる。その動きに導かれるように、左サイドがスムーズに伸び上がり、気持ちよくクラブを振り抜けるはずだ。素振りに慣れてきたら、実際にボールを打ってみてもいいだろう。

このドリルがスムーズにできるようになれば、体が目標方向に流れなくなり、抜重をともなった力強く再現性の高いスイングが実現できる。シェフラーの動きを参考に、ボウリングドリルで左サイドを抜重する感覚を身につけてほしい。

動画解説はコチラ

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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