英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第312回。

お腹が減ってイライラ。隠していたつもりだったけど…
先日、仕事先で一緒になったカメラマンさんがイギリスから来た方でした。日本語がペラペラ、日本で長いこと仕事をされているということ。
ご一緒した仕事は、1日中クライアントのオフィスにこもり、社員さんを次々に撮影、インタビューするというもの。人数が多いためお昼の時間が押してしまい、私はお腹が空いてだんだん集中力がなくなってきました。
「お昼、もう少し待ってくださいね。あと2人インタビューと撮影してからにしましょう」
クライアントにそう言われ、私は「はーい」と言ったつもりだったのですが。
You're upset. It's written all over your face.
それまでずっと流暢な日本語だったのに、突然そうカメラマンに英語で言われました。
直訳すれば「イラついているでしょ。それは、あなたの顔全体に書いてある」となります。
一瞬「?」と思いましたが、直訳通りの意味でした。
written all over someone’s face=顔に出ている
ケンブリッジの英英辞典にはこう説明されていました。
If an emotion is written all over someone's face, it is clear what they are feeling.
(もし感情が誰かの顔に書かれていたら。それは、思っていることが明らかである)
本来隠したかった感情が、顔に出てしまっている状態です。嬉しいことを隠したい場合も、イラつきを隠したい場合もそれぞれあるでしょう。
お昼時間が押したことで、私はそのイライラと空腹が明らかに顔に出ていたようです。自分としてはクールに「はーい」と言ったつもりだったのですが、実際は鬼の形相になっていたようで「顔に出ちゃってるよ!」とその方は注意してくれたのです。
その後もお昼をいただけないまま撮影が進み、私の顔がどんどん険しくなっていくので、カメラマンの方がバッグからそっと歌舞伎揚を差し出してくれました。「イギリス人も歌舞伎揚好きなんだな」と思いながら、それを貪りなんとか凌ぎました。いくら空腹といえど、感情が容易に顔に出てしまうというのは、社会人としていかがなものかと思うので、今後の大きな課題です。