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2024.11.07

「家に帰らなかった」挫折、読書、猫…ティモンディ前田裕太の人生に影響を与えたものとは【インタビューまとめ】

お笑いコンビ・ティモンディとしてテレビやラジオなど、幅広い分野で活躍する前田裕太の特別インタビューをまとめてお届け! ※2024年8月掲載記事を再編。

ティモンディ前田裕太まとめ

1.「自分は王道の芸人にはなれない」ティモンディ前田裕太、オードリー若林に相談したリアクション芸

インタビュー中のティモンディ前田裕太さん。正面

ティモンディはデビューからわずか4年後の2019年に『アメトーーク!』(テレビ朝日)や『ゴッドタン』(テレビ東京)などで爪痕を残し、ブレイクを果たした。“お笑い第七世代”ブームの一角を担うコンビとして躍進し、ブームが落ち着いた現在も安定した人気を誇っている。

売れるまで苦節十数年という人も珍しくないお笑い界で早々に結果を出したわけだが、コンビのツッコミ・ネタ作成担当、つまり“ブレーン”である前田裕太さんは「お仕事をいただけるようになってからのほうが、挫折だらけですよ」と語る。

「メディアに出だした頃は『テレビの世界のキラキラした王道を突き進むぞ!』という強い気持ちがありました。ただ、しだいに『自分がやりたいことはテレビの王道向きではない』と思うようになったんです。

僕は本を読んだり文章を書いたりするのが好きですが、それはあくまでサブ的なエンタメというか、日本のテレビのメインカルチャーではないんですよね。それを痛感したことは、ひとつの挫折だった気がします」

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2.森見登美彦、劉慈欣、岡本太郎。読書大好き芸人・ティモンディ前田の最高の3冊

本を読むティモンディ前田裕太さん。横顔。

「3冊だけって、酷な話ですよ」と笑いながらため息をつく。「前田裕太さんに大きな影響を与えた本を3冊紹介してほしい」という編集部からの依頼に対してだ。

「取材のお話をいただいてから、自宅の本棚を眺めては『うーん、どうしよう……』って悩みまくって(笑)。厳選に厳選を重ねた結果、この3冊になりました」

1冊目は森見登美彦の小説『四畳半神話大系』。前田さんは大の森見登美彦ファンで、著書はいずれも読む用と保存用で複数冊所有しているほどだという。出合いは、青春時代の絶望のさなかだった。

「ずっと野球をやっていて、甲子園に行くという目標に向かってすべてを費やしてきました。だけど高3夏の県大会で負けてそれがかなわず、『もうおしまいだ』と人生に絶望してしまって。やることもないので学校の図書室で放課後を過ごすようになり、ずっと窓から外をぼんやり眺めているだけの日々を過ごしていました。絵に描いたような放心状態の僕を放っておけなかったのか、司書さんがいろいろ本を紹介してくれたんです」

薦められたなかに『四畳半神話大系』があった。読み進めるうちに、キャラクターたちの“自分勝手さ”に惹きつけられていく。

「みんな好き放題やって、うまくいったら自分の手柄、失敗したら他人の責任、みたいな感じでめちゃくちゃ自己中なのに、不思議と人として愛せる。『ある意味、こういう人間も魅力的なのかもな』と思えました」

野球に打ちこみ、青春を捧げていた当時の自分のことを、前田さんは「“結果至上主義”に毒されていた」と振り返る。

「『甲子園に出場する』や『プロ野球選手になる』とか、高い目標を定めてそれを達成することこそ重要で、もしそれができなかったら全て無意味。放課後に友達と遊びに行ったりするのも、怠惰なこと。ずっとそんな風に考えて生きてきたから、目標をクリアできなかった時にどうしたらいいかわからなかった。

『四畳半神話大系』に限らず、森見先生の小説の登場人物たちはやることなすことバカバカしくて、どうしようもないような人生を歩んでいるように見えるけども、みんな自己愛に溢れている。それを読んでいて、僕は今まで“部活”をやっていただけで“人生”をやっていなかったことに気づいたんです。自分の人生を生きるためにはどうしたらいいのか、と考えるようになりました」

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3.「カプセルホテルやネットカフェで十分だった」ティモンディ前田が、家に帰るようになった理由

インタビュー中のティモンディ前田裕太さん。横顔2枚目

大の猫好きとしても知られるティモンディの前田裕太さんは現在、「ノエル」と「リオン」という2匹の猫と暮らしている。きっかけは2021年のことだった。

「いずれは飼いたいと思っていたのですが、ロケで出会ったブリーダーさんから『高齢を理由に引退を考えているブリーダーがいて、今年生まれた子たちの引き取り手を探している』とお話をいただきました。ぜひ迎え入れたくて、当時住んでいた家がペット不可だったので、早速引っ越しをしました」

しかし、実際に猫を飼い始める前に、前田さんは奇妙な生活を始める。

「まずは予行練習として1ヵ月間、架空の猫を育てました(笑)。とりあえずケージやごはんを用意して、お水も置いて、トイレの猫砂を洗ったり猫にブラシをかけるフリをしたり。はたから見たら、ヤバいですよね(笑)」

「ふゆ」と名づけたその“イマジナリー猫”との暮らしは、自身の生活リズムで猫の世話が十分にできそうかを確認するためのシミュレーションだった。結果、大丈夫という手応えを感じて、猫を迎え入れることに。それがラグドールのノエルで、半月後、別のブリーダーからの紹介でスコティッシュフォールドのリオンも引き取る。本物の猫2匹との生活は、前田さんの考え方にある変化をもたらした。

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TEXT=ゲーテ編集部

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