グループ16人の個性を引きだして、一年にわたり書籍化する大型プロジェクト「GL-16~THE RAMPAGE BOOKS~」。連載4回目は、2024年10月10日に小説家デビューを果たしたパフォーマーの岩谷翔吾。原案は、俳優の横浜流星によるもの。高校の同級生ふたりが超多忙のなか時間をつくって紡いだ衝撃作は、発売前から注目を集めている。SNSで話題の小説紹介クリエイターけんご氏を迎え、今までの読書体験や小説を読むメリットについて語り合った。
作家・岩谷翔吾が紡いだ物語として紹介したい
けんご 『選択』を拝読しまして、面白かったです。主人公の亮と父親、亮と幼なじみの匡平など人物の対比も、亮が匡平に言った言葉が自分に返ってくる伏線回収もお見事でした。物語に直接的には関連しないのですが、「(前略)なぜ人は夏だけ『終わる』と表現するのだろう。(後略)」という文章を読んでガツンときました。
岩谷 嬉しい! レモンサワーもらっていいですか?(笑)
けんご アハハ(笑)。タイトルもすごく響きました。
岩谷 僕と(横浜)流星が、日頃から人生は選択の連続だと思っているし、ひとつ違う選択をしていたらどうなっていたんだろう? とよく考えるので。
けんご だからこそ亮の「俺、どこで間違えたかな……」というひと言がすごく効いているんだと思います。これは彼自身への問いかけであり、同時に読者への問いかけになっている。そして「生きてさえいればやり直せる」という文章に、岩谷さんのメッセージを感じました。
岩谷 ありがとうございます。
けんご 今、『選択』を僕の小説紹介動画でどうやって表現しようか考え中です。現時点でひとつだけ決めているのは、“THER AMPAGEのパフォーマー”の岩谷さんではなく、“作家・岩谷翔吾”の作品として紹介すること。僕の動画は物語に着目して紹介するものなので。
岩谷 楽しみです、本当に!
読書とトレーニングに共通するメリットとは
けんご 僕にとって読書は仕事ですが、岩谷さんがお忙しいなかで、読書の時間をどう捻出されているのかが気になります。
岩谷 メンバーがゲームやSNSをやっている時に、本を読んでいる気がします。カバンの中に紙の本を常に一冊は入れていて、枕元にも置いてあります。活字を読むとクールダウンになるんです。ライヴのあとは特に。
けんご なるほど。僕は複数の小説を同時に何冊も読みますが、岩谷さんは併読しますか?
岩谷 します。併読して読み途中になったままの小説もありますが、自分には合わない作品だったと割り切ります。
けんご 僕も「今は無理!」と、ガルシア・マルケスの『百年の孤独』を本棚に戻しました。「いつかの自分が読むかも」と(笑)。
岩谷 気分が乗らないと、全然進まない時もありますね。
けんご 小説ほど購読者に委ねられるエンタメはないと思います。だから『選択』も、登場人物のイメージや結末の解釈は読者によって違うと思います。スポーツ選手の伝記など、世の中に興味深い話はたくさんありますが、小説には作家が紡ぐフィクションの物語だからこそ表せるものがあり、だから読者が自分事にできるのかもしれない。
岩谷 朝井リョウさんの『スター』がまさにそういう小説でした。「国民的スターって何だろう?」と考えさせられて、いまだに答えは出ていません。それだけ問いかけられたのは、朝井さんの力だと思います。自己啓発本は答えを教えてくれますが、小説は本質的な問いを投げかけるものだから、心を打つんだろうなと思います。
けんご ビジネスをされている方にとっては答えが重要で、それを求めて本を読む側面はありますよね。膨大な作品のなかから自分にフィットする小説を見つけるのは難しいとは思いますが、その時の自分に必要な物語はきっとあるはずということはお伝えしたいです。
岩谷 僕にとっては読書という行為がトレーニングに重なるんです。自分の意志でやらないと進まない。没入できる気持ちよさがある。やれば必ず達成感を得られて、自信にもなる。
けんご 確かにそうですね。岩谷さんがこの先も物語を紡ぎ続けるなら、パフォーマーとしてステージに立つ岩谷さんにしか書けない物語を読んでみたい。
岩谷 挑戦します。東京ドームで見た風景を書ける作家はなかなかいないと思うので。
けんご 応援します!
岩谷翔吾着用衣装:シャツ¥70,400、パンツ¥99,000、靴¥95,700(すべてYohji Yamamoto/ヨウジヤマモト プレスルーム TEL:03-5463-1500) その他本人私物