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2024.07.16

彼氏の家で浮気相手に遭遇!? 蝶花楼桃花が語る、女性落語家の恋愛事情とは

真打昇進からわずか4ヶ月で寄席のトリを務め、テレビ番組「笑点」のレギュラー大喜利に女性初の出演を果たした落語家の蝶花楼桃花に特別インタビュー。第4回。

10代で経験した落語のような修羅場!?

『紙入れ』や『悋気の火の玉』など、男女の浮気や嫉妬などを題材にした話も多い古典落語。そんな古典落語を演じてきた蝶花楼桃花も、かつて付き合っていた年上の男性に、一生忘れられない浮気をされたことがあった。

「私がまだ10代の頃に、一度だけ“二股”をかけられたことがあったんです。当時は、年上の彼氏と付き合っていて。ある日、彼の家になにも言わず遊びに行ったんです。そしたら、部屋の中からテレビのような音が聞こえるのに、いくらチャイムを押しても出てこなくて。

『寝ちゃったのかな』と待っていると、そこに宅配ピザがやってきて。『え、ひとりでピザを頼んだの?』と、少し不思議に思いながら見ていたら、宅配ピザの時はすんなりとドアが開き。すかさず宅配人の後ろにぴったり付いて、部屋の中に入ったんです。そしたら、彼氏と女の人が2人きりで、、、」

突然の出来事に動揺を隠せなかったという蝶花楼桃花。しかし、事態はさらに衝撃的なものだったよう。

「その女の人、私が知っている人だったんです! 彼氏と一緒に働いていたバイト先の先輩で、私を見るなり『ゆかちゃん(本名)ごめんね、知ってはいたんだけどさ』って。20代の先輩に『なんだこの女!!』って思いました(笑)」

そんな彼氏と浮気相手という地獄のような修羅場のなか、彼氏からは信じられない一言を投げかけられたのだとか。

「彼氏も突然のことにテンパっていたのか、『まずはピザを食べよう』と意味のわからないことを言い出して。ひとまず3人でピザを食べることになったんです。4種類の味が1枚になった盛り合わせのピザだったことを、今でも鮮明に覚えています(笑)。

その時点で、この男はもうダメだと思って、彼氏に『私もういいです』と別れを告げて。盛り合わせのピザの全種類の味を、しっかり食べてから帰りました(笑)。まあ、今考えると10代と20代の小娘同士の小競り合いでしたね」

若いうちの失恋も芸の肥やし。そういって片付けていいものか疑問に残るところもあるが、この武勇伝は今では蝶花楼桃花のネタのひとつになっているそう。

蝶花楼桃花/Chokaroh Momoka
1981年東京都生まれ。2006年、落語家の春風亭小朝に入門し、「春風亭ぽっぽ」として前座修行を開始。2011年、前座から二ツ目に昇進、「春風亭ぴっかり☆」︎に改名。2022年に真打に昇進し、「蝶花楼桃花」に改名した。明治座「ふるあめりかに袖はぬらさじ」の舞台出演や、沖縄国際映画祭出品作品「耳かきランデブー」の主演を務めるなど、落語家だけでなく女優としてもマルチに活動している。

今どき女性落語家たちの恋愛事情

25歳で春風亭小朝に弟子入りし、落語家への道を歩み始めた蝶花楼桃花。厳しい修行生活ということもあってか、前座だった頃は男性と恋愛をする暇がなく、何年も恋人などはいない状態だったという。

「当時は、恋愛と無縁の生活でしたね。前座時代に仲間から“合コン”に誘われたことがあったんです。でも、『落語家の男たちを集めて、一般の女性と合コンするけど、ぽっぽも参加するか?』と言われて。

『なんで私が行くんですか? 落語家の男たちが相手だったら、普段と変わらないじゃないですか』って答えたら、『あ! お前、女だったな』って(笑)。危うく男側の席で合コンに参加しそうになったくらい、女として認識されていませんでした」

しかし、後に前座から二ツ目に昇進してからは、モテようと意識していた時期もあったそうで。

「二ツ目になったくらいの時に、そろそろ結婚しなきゃと思って、頭にリボンを付けて楽屋に入ったりしていました。でも、2年くらいで飽きましたね。私には向いてなかったんです。それからは完全に吹っ切れました(笑)」

一方、かつては未婚が多かった女性落語家だが、今では結婚している人も増えてきているのだとか。最近も、後輩の落語家が結婚したという。

「昔は、女芸人は結婚するなって風潮があったみたいですね。師匠から『結婚はするな』と言われていた先輩すらいたそう。でも、今は結婚について寛容な師匠が多いので、みんな自分たちの意思で結婚しています。

後輩の子たちも何人か結婚していて。噺家仲間で結婚した夫婦もいますし、漫才師さんと結婚された方もいます。時代の流れとともに、恋愛や結婚などに対する考え方も、少しずつ変化してきました」

まだ芸名が「春風亭ぽっぽ」だった前座時代の楽屋で撮った1枚。

蝶花楼桃花にとって“カッコいい”とは

若旦那やご隠居、時には泥棒まで、さまざまな“男”が登場する落語の世界。

粋でいなせな男が色っぽいとされる江戸を舞台に、これまでいくつもの男役を演じ分けてきた蝶花楼桃花にとって、“カッコいい男”とはどんな存在なのだろうか。

「やっぱり“職人”みたいな人ですね。寡黙に仕事に打ち組んでいる方というか。『自分、不器用ですから』みたいな人が、すごい作品に生み出している姿を見ると、カッコいい!! って思います(笑)

それは、落語家でも同じことで。ふらっと高座にあがって、会場全体の爆笑をかっさらい、涼しい顔で楽屋に戻ってくる師匠とか。直前で『時間が押しているので、5分くらい巻きでお願いします』と言われても、縮めた時間ぴったりにオチを受けて終わらせる師匠など。素敵だなって尊敬します」

前座時代からカッコいい落語家の後ろ姿に憧れて、自らの芸を磨いてきたという蝶花楼桃花。そんな彼女には、女性落語家に感じる“カッコよさ”もあるという。

「女性の落語家にも、それぞれ“キャラ”があるので、人によって十人十色です。可愛いキャラを演じている人もいるし、ありのままでやっている人、あえて過剰に女の子っぽいキャラにしている人もいる。でも、ひとりで高座に上がって噺をする“度胸”は、みんなに共通したカッコよさだと思います。

これは『桃組』の興行をしていて感じたことなんですが、女性だけの楽屋って独特な雰囲気になるかと思ったんです。でも、いつもの楽屋とまったく変わらなくて、逆にそれがすごく心地よかった。

今の時代、“男性的”とか“女性的”と表現するのはあまりよくありませんが、女性の落語家たちはある意味で従来の“男性的”な感覚も兼ね備えている。そんな二面性みたいなところも、カッコいいポイントなのかもしれません」

2024年5月に再演された「桃組」の定席でも、女性芸人たちの手腕が輝いていたという蝶花楼桃花。与えられた仕事に真摯に向き合う姿勢は、男女ともに“カッコいい”と感じるポイントなのだろう。

二ツ目に昇進した後、「春風亭ぴっかり☆」として寄席や落語会に出演していた頃の蝶花楼桃花。

TEXT=坂本遼佑

PHOTOGRAPH=古谷利幸

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