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2024.05.03

ハワイ「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」新入社員、初のサスティナビリティ・マネージャーに就任

ハワイきっての超名門ホテル「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」。ハワイの自然と文化を次世代に繋ぐべく、同ホテルが取り組んでいる活動について、サスティナビリティ・マネージャーのテイラー・ロジャーウッドさんに話を聞いた。

自然と文化を守る独自プログラムを実践

ハワイのエネルギー効率と持続可能なビジネスに取り組み、その収益に貢献した企業を表彰する「ハワイ・グリーン・ビジネス・アワード・プログラム(HGBP)」を、過去5回に渡って受賞している「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」。

ハワイの自然と文化を守り、次世代へと継承する活動に力を注ぐホテルに、2023年秋、カハラ・ホテル初となるサスティナビリティ・マネージャーが誕生した。白羽の矢が立ったのは、2023年5月にハワイ大学を卒業したばかりのテイラー・ロジャーウッドさんだ。

――まず、「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」が行っているサスティナビリティに関する取り組みについてご説明ください。

「エネルギー効率性」「水資源の保護」「リサイクル」「リサイクル製品の購入」「汚染対策」「フードサービス」という6つの分野で目標を掲げ、電力消費やゴミの削減、節水、環境保全活動や地産地消の取り組みなどを行っています。

また、2017年から、オアフ島の土地や海、文化の保存を、地域コミュニティーやゲスト、非営利団体と共に実施することを目指す「KISCA(キスカ)」(「Kahala」「Initiative」「Sustainability」「Art」の頭文字をとった造語)という独自のプログラムも実践しています。具体的には、ホテル・ゲストや近隣住民に向けて、レイ・メイキングやフラダンスといった文化にまつわるものやハワイの海や海洋生物に関するレクチャーを開催するほか、ビーチクリーニングや近郊の地域でハワイ固有のミロの木の植樹等も行っています。

――こうした活動を統括するサスティナビリティ・マネージャーに就任されました。サスティナビリティ・マネージャーという役職が設けられるのは、ハワイで初めてとのこと。その意義はどんなところにあるのでしょうか?

当ホテルがサスティナビリティ・マネージャーという役職の導入を決めたのは、KISCAの活動にもっとコミットし発展させるためで、主な役割は、アクティビティのマネージメントになります。

これまでは、レッスンやレクチャーごとに外部から講師を招いて行っており、それを統括するホテル・スタッフはいませんでした。そのため、活動に参加されたゲストの声は、外部講師を通じて入手することになり、貴重なご意見やご要望をKISCAの活動に反映するのに時間がかかるなどの課題がありました。

私がサスティナビリティ・マネージャーに就任し、すべてのプログラムに関わることで、その問題は解消されつつあります。また、新たなイベントやレクチャーの考案、実施もスムーズに行えるようになったと思います。

ほかにも、ホテルのスタッフに対してKISCAの活動に関する情報発信を行ったり、SDGsにまつわる研修なども担当していますが、その結果、スタッフの認識がさらに深まり、意識が高まっていれば嬉しいですね。

テイラー・ロジャーウッド
2000年ハワイ・オアフ島生まれ。2023年、ハワイ大学を卒業後、「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」に入社。レストランなどでの研修を経て、2023年秋から現職。

入社数ヵ月でサスティナビリティ・マネージャーに抜擢

――ロジャーウッドさんが入社されたのは2023年の夏だとか。新入社員にしてサスティナビリティ・マネージャーに抜擢されたわけですが、その経緯を教えてください。

私自身、この大抜擢を驚いているくらいなのですが(笑)。ただ、高校時代からボランティアでビーチクリーニングや森林保護に携わるなど、自然環境の保護には強い関心を抱いていました。大学では観光や生物学を専攻し、オーバーツーリズムと環境保護の関係についても学び、ハワイ州観光局のサスティナビリティ部門でインターンシップも経験しています。

当ホテルのKISCAという取り組みを知ったのは入社後ですが、これはまさに私がやりたかったこと。なので、新入社員ではありましたが、「こんなこともできるのでは?」と積極的に意見を伝え、関わらせていただきました。それで、この役職に適任だと思ってもらえたのかもしれません。

――最後に今後の目標や抱負について、お聞かせください。

私は地元出身で、ハワイの自然と文化を心から愛しています。この美しい島に、世界中からたくさんの観光客がいらしてくださるのはとても嬉しい一方で、オーバーツーリズムによって大切な自然が失われつつあることに問題意識も持っています。おそらくそれは、多くのハワイアンが感じていることでしょう。

ハワイは食糧の大多数を輸入に頼っていることは有名ですが、ウェルカム・レイで使われる花として、タイなど海外から輸入したオーキッドを使っているところも少なくないそうです。そうした現状は、本当に胸が痛みます。地産地消の意識がハワイ全体で高まっていますが、これが定着することを願っていますし、当ホテルは、その牽引役を担うべき存在。

すでに、レストランで使う野菜の栽培に取り組み始めましたが、いずれレイに使う花も栽培できたらと、個人的には考えています。また、ハワイ固有の木の植樹も、もっと広げていきたいですね。

そして、観光客のみなさんにも、ハワイの自然を守るために力を貸していただきたいと思っています。それには、サンゴ礁やあざらしに触れてはいけない、プラスティック類をはじめ、ゴミをビーチに捨てないなど、海に関する基本的なルールを学んでいただく必要があります。KISCAのアクティビティを通じて、多くの方々の意識が変わり、ハワイの自然が守られれば、とても嬉しいですね。

5月1日の「メーデー」や6月18日の「世界海洋デー」は、みなさんに楽しんでいただけるアクティビティを予定しています。ハワイの自然と文化、そして、美しい地球を守るために、少しでも役立つよう、これからも精一杯努めます。

TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=sakai

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