PERSON

2024.03.29

芸能界屈指のバスケ通・麒麟の田村が激推しする、バスケ界のライジングスターとは!?

発行部数200万部超えの大ベストセラーとなった自叙伝『ホームレス中学生』のヒットから約17年。お笑いコンビ・麒麟の田村裕が新境地を切り開いている。関西ローカルに複数のレギュラー番組を抱えながら、数年前からバスケットボールに関わる仕事が増え、バスケスクールも複数運営するなど“バスケ芸人”としての地位を確立。そんな芸能界随一のバスケ通である田村に、未来の日本バスケ界を担っていくであろう注目の若手選手を聞いた。#1#2#3

“偽シューター”だったことで、バスケを見る目が養われた

お笑いコンビ・麒麟の田村裕は現在、学生時代に打ち込んでいたバスケットボールの活動を仕事に活かすなど、お笑いをメインフィールドにしつつも活躍の幅を広げている。

高校時代はチームで最も背が高かったため、ゴール下を主戦場とするセンターというポジションを担当。しかし、オフェンス時はゴール下ではなく、3Pライン付近のいわゆる“シューター”の位置に入った。

「貧乏でご飯をあまりたくさん食べられずパワーはなかったけど、身長が高かったからセンターでした。でも、下手くそでオフェンスでは何もできないので、シューターのフリをして外に開いて、ボールを持ってもシュートは1本も打たない(笑)。相手のセンターを外に吊りだすことが目的だったので、これでも大切な役割だったんですよ」

試合ではエース格に自由にプレーしてもらうための潤滑油に徹した。田村は常にフロアバランス(コート上で5人の選手が占めるポジションのバランス)を意識して動いていたことで、バスケを見る目が磨かれたという。

「その経験のおかげで、僕はバスケの技術はないけどフロアバランスを把握することに関しては長けている。バスケ関係者の方と話をすると『田村さん、そんなところを見てるんですか。よく分かっていますね』と感心されることもあります。高校時代に“偽シューター”だったことが、今に活きている」

麒麟・田村さん バスケボールを回している
田村裕/Hiroshi Tamura
1979年大阪府生まれ。1999年に川島明とお笑いコンビ・麒麟を結成。2007年に発売した、幼少時代から川島との出会いまでを綴った自叙伝『ホームレス中学生』が大ヒット。200万部を超えるベストセラーとなる。「週8でバスケをしている」と公言するほどのバスケットボール好きで、バスケスクールの運営や指導などバスケ関連の仕事も多数こなす。また、2014年からは3x3(3人制バスケ)チーム「TOKYO DIME」の共同オーナーも務めている。

今から注目しておくべき、日本バスケ界の逸材

バスケの試合は仕事、プライベートを合わせて年間30試合ほど生観戦。動画配信サービスも駆使して試合をチェックしており、NBA、Bリーグ、Wリーグ、大学、高校と世代や年代は問わない。

現在の田村のBリーグイチ押し選手を聞くと、齋藤拓実(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)を挙げた。

齋藤拓実は身長1m72cmのポイントガード。今季Bリーグでは1試合平均12得点、5.7アシストを記録している(2024年3月14日時点)。2021年には日本代表に抜擢されていた。

「齋藤拓実選手は得点パターンが多く、視野も広くて外からのシュートもある。オフェンス力は河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ/2023年BリーグMVP)レベルだと思います。あっという間にスターになる可能性を秘めている」

次世代のスター候補には、京都・東山高校のエースである瀬川琉久(りく)の名前を真っ先に挙げた。得点力とパスセンスを兼ね備えた、身長1m84cmの司令塔。2023年夏のインターハイでは、2年生ながらチームを準優勝に導いた。

「ウィンターカップ(全国高校選手権)では、瀬川君を見るために会場に足を運ぶ人がたくさんいるぐらい、その実力は知れ渡っています。ドリブルスキル、そしてシュートに持ちこむまでのうまさはもうプロ級。これからどういう成長を遂げるのか楽しみです」

NCAA(全米大学体育協会)1部、ガードナー・ウェブ大学(ノースカロライナ州)に在籍する須藤タイレル拓も、最も注目している若手のひとり。米国人の父と日本人の母を持つ身長1m88cmのシューティングガードで、身体能力、バスケIQともに高い。

「タイレル君の素材はえげつない。うまく化けてくれたら、とんでもない選手になると思いますよ。あとは、スペインで頑張っている岡田大河君(ASモナコU-21)には、日本人が欧州進出していく第一人者になってほしい。また、女子のWリーグも山本麻衣選手(トヨタ自動車)などの逸材がいるので、是非皆さんにチェックしていただきたいですね」

将来の日本バスケを背負っていくであろうライジングスターたちから、目が離せない。

TEXT=木本新也

PHOTOGRAPH=鈴木大喜

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