仕事に活力を与え、人生をより豊かにしてくれるこれまでに出合った“人生の最上級”を聞いた。今回紹介するのは、グラナダ代表取締役・下山雄司氏の酒器。【特集 最上級主義2024】
「最上級の仕事がなされたものは、時を経てどんどん味が出てくる」
イタリアンから日本食など、数々の話題のレストランを経営するグラナダの下山雄司氏が、飲食業界に足を踏み入れたばかりの2000年頃、手に入れたのが北大路魯山人(きたおおじろさんじん)のぐい呑みと金重陶陽(かねしげとうよう)の徳利だ。
「和食店を出すのに、食器について知らないことが多くあり、まずは自分で使ってよさを知ってみようと、手に入れたんです」
骨董といえど、器は使ってこそ。そう考える下山氏はこの徳利とぐい呑みを日常的に使う。
「20年使って、水と酒が染みこんで、色合いも私好みになってきました。最上級の仕事がなされたものは、経年変化しどんどんよくなっていくんです」
自宅で使うこともあれば、行きつけの鮨店に預けておくことも。とっておきの酒器だからといって、とっておきの酒しか入れないというわけではなく、デイリーに飲む酒も分け隔てなく魯山人のぐい呑みに注ぐ。
「これを使うと飲み口がよく、楽しい気分になります。日頃から楽しい気持ちでいられるかどうかは仕事に影響しますから。魯山人も金重陶陽も、忙しさを忘れられる、私の機嫌をよくしてくれる日用品。日常使いするものこそ、最上級の仕事がなされたものを使いたいですよね」
この記事はGOETHE 2024年2月号「総力特集:最上級主義 2024」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら ▶︎▶︎特集のみ購入(¥499)はこちら