ドバイに渡り活躍する、日本のビジネスパーソン。職種や渡航の経緯はさまざまだが、みんなが口を揃えて「思い切ってドバイに来てよかった」と言う。今回は、起業家から一転、鮨職人となった安田光希氏がドバイを選び、そこで働く理由に迫った。【特集 熱狂都市・ドバイ】
ビジネスの大きなポテンシャルと日本文化へのリスペクトが決め手
大企業向けのDX支援などを行う会社を大学3年で起業。創業5年でバイアウトしてUAEへと聞けば、次なるステップは投資家あるいはFIRE? そんな周囲の予想を裏切り、ドバイを含む中東の地で鮨職人を始めたのが安田光希氏だ。
起業家から鮨職人へ転身とは突拍子もないように感じるが、安田氏は移住前の現地リサーチで、そのビジネスのポテンシャルの大きさと、中東の人たちの日本文化へのリスペクトを感じたという。
「だから、日本人としての優位性を武器にしたコンテンツで攻めるべきだと考えたんです。その最たるものが、世界のVIPも惚れこむ鮨。また、店舗を持たない出張の形であれば仕入れも最低限でいい。出張鮨はビジネスとして勝負できると思いました」
渡航前には数ヵ月にわたり、銀座と広尾の鮨の名店で修業。トップ仲買人も紹介してもらい、食材のルートも確保した。
2023年7月末にUAEに移住。現在はライセンスを取得中であり、年末くらいからドバイを中心に本格的に出張鮨ビジネスを展開予定だ。
ドバイで出張鮨を頼む人は、富裕層や数百万人のフォロワーを持つインフルエンサーなど、社会的に影響力のある人たちが多い。鮨を通じて培うさまざまな人脈は、今後のビジネスの展開にも大きな影響を及ぼしていくに違いない。
「僕は中東に渡る前から、『今年からサウジアラビアのサッカーチームにいるクリスティアーノ・ロナウドと鮨店を共同経営したい』と言い続けてきたのですが、このままいくと思いのほか早く実現するかもしれません(笑)。
それに、日本の強みや利点を活かして起業をしている日本人は、中東にはまだ数少ない。これから中東を目指す若い起業家のためにも、僕がファーストペンギンとして飛びこんで、中東での可能性をさらに拡げようと思っています」
My Dubai Episode
アブダビとドバイの違いを感じるのも面白い
アブダビとドバイの2 拠点で活動する安田氏。「保守的だがUAEの首都として経済の中心地であるアブダビ、自由な気風があって新参者にも門戸を開くドバイ。ビジネスでもその違いを活かしていきたいです」
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この記事はGOETHE2023年12月号「総力特集: ヒト・モノ・カネが集まるドバイ」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら