10年前には想像もつかなかった世界を動かす経営者たち。時代の先端にいる彼らは、どんな信念を持ち成功を引き寄せたのか。唯一無二の思考から、仕事に立ち向かう術を学ぶ。※GOETHE2015年7月号掲載記事を再編。掲載されている情報等は雑誌発売当時の内容。
イーロン・マスク
「歯を食いしばってでも、リーダーは最高の演技をしなければならない」
「テスラ社の役割は、暗闇の中を照らす光のようなものなんだ」
「革命的なブレークスルー(突破)によってではなく、コツコツと地道な努力を積み重ねることで成し遂げたんだ」
電気自動車で業界の未来を激変させ、宇宙ロケット、太陽光発電という先端産業でも変革を起こす、イーロン・マスク氏。失敗しても、前向きな言葉を絞りだし、部下を鼓舞する。草分けであることを自覚し、人類規模で物事を捉える。それを支えるのはコストダウンなどの地道な作業だ。圧倒的な成果に必要なのは夢と現実のバランス。
孫 正義
「逆転の発想。従来丸かったものを四角にしてみる。赤いものを白くする。大きいものを小さくしてみる」
「1年間を12ヵ月で割ってはいけない。14で割る」
「引き技は攻めより10倍難しく、10倍の勇気がいる」
日本のインターネット業界を牽引し、圧倒的なスピードで大きな事業を実現し続ける、孫氏。問題や困難が待ち受けても、原因を発見し、真逆に発想し、既存の事象との組合せで糸口を見つける。さらに1年365日を人と違う尺度で過ごし、精神的な余裕を持つという。絶対に成功するという気概と覚悟を持ち挑むからこそ、道が開ける。
ジェフ・ベゾス
「イヤなら辞めていい。賢明かつ猛烈に長時間働く」
「毎朝、恐れを抱いて目覚めよ」
「顧客のためだで屈服させる」
アマゾンで今までの買い物や読書の習慣を大きく変えた、ジェフ・ベゾス氏。独裁者でありワークハードがビジネスモデルといっても過言ではない。だが、「顧客は常に正しい」という正義を貫くゆえ、成果を上げるために異常なまでの執着心を持つ。社員にも強要は当たり前。常に働かないと負けるという切実さが比類ない成功を導く。
マーク・ザッカーバーグ
「利益よりも世界をあっと言わせたい」
「完璧より完了」
「この旅はまだ1%しか進んでいない」
いまや、生活の一部となったコミュニケーションツールFacebookを発明した、マーク・ザッカーバーグ氏。彼にとってお金は二の次だ。ユーザーが喜ぶ、今だかつてないサービスの提供と、世の中をあっといわせる物づくりにしか興味がない。それゆえ、事業を進化させることこそがモチベーションであり、目的はあっても終わりがない。
ハワード・シュルツ
「泥まみれになる。原点に戻る」
「成長は発癌物質だ」
「自信と大げさな約束は紙一重である」
スターバックスの世界展開と赤字回復を2度も成し遂げた、ハワード・シュルツ氏。四方八方が敵だらけ、もう一刻も持ちこたえられないと思った時に情勢は一変する、諦めてはいけないという。好調な時こそ、自分が「誇りに思うかどうか」というフィルターを通す。そんな温かみある経営が従業員から顧客に伝わり、共感を呼ぶ。
稲盛和夫
「なんまん、なんまん、ありがとう」
「経営の極意というのは間違いなく利他にある」
「一所懸命に働くことによってしか心を磨くことはできない」
ファンセラミックの開発からスタートした京セラを世界的企業にしたアメーバ経営の生みの親、稲盛氏は「仕事と生きることは一体のもの」という明確な指針を貫いてきた。仕事に没頭する、利他の心を持ち煩悩を抑える。すると、物事が好転し始め、世のため人のために尽くせるようになる。心と経営と人生は繋がっていると説く哲学は受け継がれる。
鈴木敏文
「素直な目で常に白紙に戻り、原理原則に基づき考える」
「先行情報7割 経験情報3割」
「朝令暮改は悪しきことではない。状況が異なれば朝決めたことでも、メンツにとらわれず夕方に変える勇気が必要」
コンビニ業界でトップに君臨し続ける鈴木氏。「今売れているからいい」という考えは皆無だ。時代の変化に対応することこそが命。重要な情報として「先行情報」を挙げる。これから起こるさまざまなことをインプットし、仮定・検証することで、市場も顧客も創造、発掘できると語る。柔軟さを併せ持つ、攻めの商売に勝機がある。