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2023.09.01

五木ひろしは、なぜ20代の頃から体重が変わらないのか

歌手・五木ひろしが通算175枚目のシングル「時は流れて…」を9月にリリース。2024年で歌手生活60周年を迎えるレジェンド五木ひろしの半生に迫る。連載11回目。過去記事はコチラ

歌手・五木ひろしを、いかに魅力的に見せるか

『ゲーテWeb』のフォトセッションやインタビューに、五木ひろしはいつも自前の服で現れる。この日は、イタリアのラグジュアリーブランド、ブリオーニのスーツだった。

「気に入っているブランドの一つです」

そう五木が言うブリオーニは、第二次世界大戦が終結した1945年のローマで、仕立て職人のナザレノ・フォンティコーリとデザイナーのカエターノ・サヴィーニによって創業された。2人はロンドンのメイフェアにある通り、サヴィル・ロウで修行を積んでいる。

「ブリオーニとの出合いはまさしく縁でした。40歳のころ、よく買い付けていたお店で見つけて気に入り、銀座6丁目のショップに通うようになりました」

五木の年齢とキャリアがあってこそ、自然に着こなすことができた。

「ヨーロッパ各国のプレジデントたちがとくに好んでいるブランドです。若いころではなく、40代で出合えて幸運でした」

2010年代以降、とくに服への意識が強くなった。

「社会では4Kテレビが普及して、質感も光沢もかなりリアルに映し出されるようになりました。いいものを着ていることが画面を通してはっきりとわかります。ごまかしはききません」

五木が服を選ぶときの基準は上品さだという。

「気に入ったら、例えば今ならば、ジョー・バイデンが身にまとっている姿を頭の中でイメージしてみます。その姿が魅力的だったら、買います。ステージ用のときは、ちょっと派手に、華やかに。たとえばスパンコールで仕立ててもらいます」

経営者が着ている姿を頭の中でイメージすることもある。

「頭の中でシミュレーションすると、結果的にブリオーニ、ラルフ・ローレン、エトロ、私服でいえばロロピアーナやブルネロ・クチネリを選ぶことが多いですね」

多くの場合、曲ごとにブランドを変える。

「作品の歌詞のイメージに合わせて、今回はクチネリで行こう、エトロで統一しよう、と。魅力ある服はどれも個性が際立っています。だから、そのときに歌っている曲によって、ブランドやテイストを変えていきます。おしゃれに関して僕は一切妥協しません。価格を気にせず購入することがほとんどです。でも、それは自分への投資だと思っています。僕は五木ひろしという歌手であり、言い換えると、生きている“商品”です。自分をいかに魅力的に見せるか――。自分にふさわしい服を選ぶことは重要なビジネスの一つです。僕に限らず、長く歌い続けている歌手は、みんな、その人流のファッションの基準を持っていると思いますよ」

同じ衣装を二度着ることはない

五木が司会を務めるBS朝日の歌謡番組『人生、歌がある』では毎回違う衣装で収録に臨んでいる。

「それが僕の信条ですから。同じ衣装を2度着ることはありません。司会の僕が衣装を意識すると、ほかの出演者の皆さんも同じように、衣装により気を遣ってくれるようになります」

こうした、衣装への五木の強い気持ちは20代から続いてきた。

「今も自分のステージで行っていますが、1970年代、毎年ラスベガスで公演を行っていたときにも、衣装の早変わりが見せ場の一つでした。白いタキシードで歌っている僕が一瞬にして、違う服になる。客席がわく。その間5秒です。歌舞伎の早変わりからヒントを得ました」

早変わりしたときの衣装はインパクトがなくてはいけない。

「真っ赤だったり、華やかなデザインだったり。だから、シャツは特注です。エルメスのスカーフを3枚用意して、店で仕立ててもらいました。コストはかかりますよ。1着のシャツが40万円くらいです。でも、だからこそインパクトはあります。それに、歌手としての僕自身のモチベーションも上がる」

早変わりは、ジャケットやシャツだけではない。靴も変える徹底ぶりだった。

「ステージ上ではき替えるようなかっこ悪いことはできません。だから、白い靴の上に黒い靴をかぶせてもらいます。ステージで、黒靴一瞬にして白靴になる。マジックショーからヒントを得ました」

衣装の早変わりは今も進化し続ける。

「僕のステージで、早変わりに費やす時間は60秒もありません。洋服から和服への着替えは20秒です。1秒でも早くステージに登場するとお客さんが喜んでくれる。着付け師との呼吸が勝負です」

上質な服にふさわしい身体をキープするには

ラグジュアリーブランド身につけるためにも、自分自身のシルエットも維持し続けている。どんなに衣装にお金をかけて服を選び抜いても、生身の身体が怠けていたら魅力は激減する。

「僕は『よこはま・たそがれ』からずっと同じ体重です。身長173センチで62キロをキープしています。自宅のベッドルームにはヘルスメーターとマス目の大きなカレンダーがありましてね。20年以上、起床時に計測して体重をカレンダーに記入しています。1日でもっとも空腹なのが朝ですから、起きたときには61キロを切るくらいがベスト。61キロ以上あったら、その日の食事をコントロールして落としています」

五木にはコンディションを維持するための朝のルーティンがある。

「起床したら散歩に出かけます。その後はバスルームで半身浴です。額に汗がにじむくらいまで湯に浸かる。半身浴はもう35年続けています。自宅にいるときはもちろんですが、旅先でも行っています」

バスルームは書斎も兼ねている。

「バスタブのまわりはぐるりと本が置かれています。自叙伝やファッション誌が多いですね。生き方を学ぶのも、そのときのトレンドを知るのも、僕にとっては重要です。地方へ行くときも、ルーティンを守れるように、数冊持っていきます」

質の高い服を着る。そして身体も気持ちも、その服にふさわしい自分を意識する。そして自分のステージが上れば、服のステージも上げる。プラスのスパイラルを自分で作っていくことで、さらに質の高い仕事を行えるようになる。

「こういう意識を持つことがとても大切です。だから、後輩に服をあげるのも、好意だけではありません。後輩がいい仕事をしていたら、そのときの彼にふさわしい服、仕事のステージを上げるモチベーションにつながる服を選びます」

衣装のレベルを上げ、自分のレベルも上げる。また衣装を上げ、自分も上げる。五木のグレードアップに、ファッションは重要な役割を果たしている。

(※第12回に続く)

TEXT=神舘和典

PHOTOGRAPH=片桐史郎

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