放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位の桝本壮志のコラム。1万人の生徒を見てきた桝本さんが考える「伸びる人」の特徴とは。
ナメて伸びた芸人、辞めて伸びた芸人も実は多い!
「俺ら、ホメられて伸びるタイプなんで」
数年前から、そんな表現をする生徒が増えてきました。
たしかに、最近は「ホメて伸ばす」が主流なので、「ホメられて伸びるタイプ」が増えるのは当然の流れでしょう。
が、意地悪な僕は、生徒らにこう問います。
「じゃあ、上司がホメる人じゃなかったら人生終了なん?」
そうなんです。「ホメて伸びる」は相手次第。それをデフォルト(初期設定)にすると、他人によって自分の成長が左右される社会人になってしまうんですね。
これまで約1万人の生徒を見てきましたが、たしかに「ホメて伸びるタイプ」はいました。しかし、それだけではありません。上司とゴタゴタしながら「モメて伸びるタイプ」、何を言われても軽く受け流せる「ナメて伸びるタイプ」、転職して本来の力を出す「ヤメて伸びるタイプ」もいたんです。
例えば、最近人気の漫才コンビ・令和ロマンは、けっこう学校側とゴタつきながら「モメて伸びた」。
EXITの兼近くんは、在学中からチャラさが武器で、講師に何を言われても軽くスルーして「ナメて伸びた」。
僕の同期芸人には、スピードワゴン、超新塾、クワバタオハラらがいましたが、みんな吉本興業を辞めて、他事務所に移って売れたので、「ヤメて伸びるタイプ」だったわけです。
どのタイプでも伸びる人は「自発的」な人
彼らに共通していたことは“受け身”でなく“自発的”であるということ。
相手が誰であれ、どんな環境下であれ、「自分はどう動くべきか?」「何を選択するか?」を考え、アクションを起こした。そう、成長の着火点が周囲でなく自分にある人なんですね。
では、この「自発的なアクション」をふくめ、伸びる人の特徴をおさえていきましょう。
①アクションを起こす理由がシンプルな人
成長のドアは、自動ドアでなく手動です。自分で開けないと「成長の部屋」には入れません。
さらに、入るのは早いほうがいいです。ドアを開ける前にあれこれ考えて、「まずは準備をしてから…」「適性を確かめて…」と二の足を踏む方は“やらない理由を探している人”がけっこういます。
そして、行動する理由は、「好きだから」「おもしろそうだから」「得しそうだから」の3つで充分。動機がシンプルなほどフットワークは良くなりますし、結果がついて来なくてもダメージは少なくて済みます。
②「浅く、広く、たまに深く」の好奇心を持てる人
1万人と向き合ってきた経験則だと、ブレイクスルーを果たした生徒は「好奇心」が豊かです。
さらに言うと、1つのジャンルを探求する“こだわり型”よりも、いろんなジャンルに首を突っ込む“やじうま型”のほうが伸びていきます。
例えば、「オレは、和食しか作らないぞ」という人より、「洋食やイタリアンも試してみたい」と思える人のほうが、「和風ハンバーグ」や「和風パスタ」という新感覚メニューが創れます。
様々なジャンルに好奇心を持つことで知見が増え、“新しい自分”を生み出せる確率が上がっていくのです。
ポイントは、広く世間を見て“好き”を見つけること。その中で“より好き”なモノに出会えたら深く潜ってみる。“浅く、広く、たまに深く”の感覚を持ちましょう。
③「一人では伸びない」ことを知っている人
一流と呼ばれる人は、みんな「一人では成功できないこと」を知っています。
自分の限界を知って、苦手なパートはうまく他人の力に頼る、甘えることができる。これも先述した「自発的なアクション」の一つです。
同僚や同期はライバルだし、おいそれと弱みは見せることができない。そういう方も多いでしょう。
しかし現実は、競争するより協力したほうが早く目的地につきます。言わば、効率よくあなたが伸びていくのです。
さあ、心の武装解除を始めましょう。よく見りゃ“大人”という字だって“人”が二人いる。そう、大人は協力するものなんです。
それでは、また来週お会いしましょう。