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2023.06.15

サイドバックは低い位置で張ってはいけない【サッカーの新常識】

日本一のチャンネル登録者数22万人超(2023年6月1日時点)を誇るサッカー戦術分析YouTuber、Leo the football(レオザフットボール)。YouTubeでの戦術分析が人気を博している、彼の理論を1冊にまとめた『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』より、一部抜粋してお届けする。1回目のテーマは、サイドバックの位置について。

Leo the football
サッカー戦術分析YouTuber。目の肥えたサッカーファンたちから人気を博す。サッカー未経験ながら独自の合理的な戦術学を築き上げ、自身で立ち上げた東京都社会人サッカーチーム「シュワーボ東京」の代表兼監督を務める。

サイドバックは広がってパスを受けるのはNG!?

日本だけでなく世界的に「ビルドアップのときにサイドバックは広がるべき」というポジショニングが常識になっているだろう。確かにそうするとフリーでパスを受けることはできる。

しかし、同サイド圧縮といった守備戦術の進化により、もはやこの常識は常識にしてはいけない。サイドバックがフリーでパスを受けられるものの、そのあとにプレスの標的になりボールを失う場面が多々見られるのだ。

「サイドバックは低い位置で張ってはいけない」。

それが新常識である。

「人基準」でエリアを定義する

ピッチの上ではボールも人も動くため、「5レーン理論」のように「場所基準」の考え方には限界があることを、以前指摘しました。

では、どう定義すべきか?

「人基準」でエリアを定義した図。

僕は図のように、相手の立ち位置を基準にする「人基準」でエリアを定義しています。

たとえば「ハーフバイタル」は、相手のセンターバック、サイドバック、ボランチ、サイドハーフに囲まれたスペースのことです。人基準のため、「ハーフバイタル」の広さはこの4人が動くごとに伸びたり縮んだりします。

攻撃の際に常に誰かが立っておくべきなのが「ファジーゾーン」(ファジーゾーンとは、ボールを受けたときに、相手最終ラインに前向きで仕掛けられる位置のこと)です。

もしここにウイング(サイドハーフ)がいると相手陣形を横に広げられるだけでなく、相手サイドバックと相手サイドハーフにどちらが対応するかの選択を迫り、迷わすことができます。

こういう定義をしたうえで「サイドバックがボールを受けるべきではないエリア」について話をしたいと思います。みなさんはサイドバックは図の中のどこで受けてはいけないと思いますか?

答えは「サイドフロント」。(サイドフロントとは、相手サイドハーフの斜め前にあるタッチライン際のエリアのこと。)

サイドバックは低い位置で張ってはいけないんです。そこでボールを受けると、相手のプレスにめちゃくちゃはまりやすいからです。

サイドバックがボールを受けるべきではない、サイドフロント。

ビルドアップの際、「サイドフロント」は大外にあるため比較的マークが緩いエリアではあります。それゆえにパスを受けやすい場所になっています。

しかし、パスを受けたあとに問題が生じます。

もともとタッチラインがあるためピッチを180度方向にしか使えず、相手がプレスをかけてきたらパスコースをさらに限定されるからです。もし相手が「同サイド圧縮」をかけてきたら、パスコースはほぼ消滅します。

「同サイド圧縮」された場合。

上の図にその状況を示しました。

相手が「同サイド圧縮」をかけてバックパスのコースをしっかり消したら、もはやパスコースはないことを見て取れると思います。こうなったらクリアするか、一か八かでドリブルやワンツーを仕掛けるしかありません。

あらためて断言します。

ビルドアップにおいてサイドバックを低い位置で張らせてはいけません。

にもかかわらず、4バックを採用しているチームの多くが、いまだにサイドバックを低い位置で張らせていますよね。それが多くのチームがGKからのビルドアップに挑戦しながら、なかなかうまくいかない理由のひとつになっています。

3バックのチームはもともとサイドバックがおらず、「サイドフロント」に立つ人はいないので自動的に解決されることが多いのですが、4バックのチームでは問題になり続けています。

そろそろ誤った古い常識は、あらためられるべきでしょう。

サイドバックの立ち位置の最適解

では、サイドバックはどこに立てばいいのか?

答えは「ハーフフロント」。(ハーフフロントとは、相手FWの脇のエリアのこと)

もしサイドバックが「ハーフフロント」でボールを持てたら、タッチライン際にいるときとは異なり、内側と外側にパスコースを持つことができます。

サイドバックが立つべき、ハーフフロント。

メリットをイメージしやすいように、「ハーフフロント」にサイドバックが立った例を上の図に示しました。右センターバックがボールを持ち、前方へのパスをうかがっています。

図を見ると、相手サイドハーフに対して、サイドバックにつくか、ウイングにつくかの二択を迫れていることがわかると思います。

二択の状況をつくれたら、あとは「後出しジャンケン」です。相手の出方に応じて、マークされていない方に出せばパスが通ります。

【選択1】相手サイドハーフがサイドバックについてきたら、センターバックはウイングにパスを通す(1つ飛ばしのパス)

【選択2】相手サイドハーフがウイングについてきたら、センターバックはサイドバックにボールを渡す(サイドバックはそこから内側にくさびのパスを狙える)、相手のプレスがなければセンターバックが運ぶ形もあり

サイドバックが「サイドフロント」に立つと簡単に追い込まれてしまうのに対して、「ハーフフロント」に立つと選択肢が複数あるので相手をコントロールできます。

COMPOSITION=木崎伸也

TEXT=レオザフットボール

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