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2023.05.29

旅慣れたジェットセッターが考える、最高のホテルの条件

国内外でハイクラスホテルの内装デザインも手がける森田恭通氏。そんな森田氏自身が旅で選ぶホテルの条件とは。今、一番のお気に入りという、「シュヴァル・ブラン・パリ」の魅力とともに、ホテルに泊まることの醍醐味について聞いた。デザイナー森田恭通の連載「経営とは美の集積である」Vol.35。【過去の連載記事】

「シュヴァル・ブラン・パリ」

森田氏が「今の僕の間違いなくNo.1ホテル」と太鼓判を押す「シュヴァル・ブラン・パリ」の一室。

自分にとっての“超一流”ホテルを探していきたい

僕が最近気になるホテルは、2021年にオープンした「シュヴァル・ブラン・パリ」です。LVMHグループがパリで初めて手がけたホテルで、セーヌ川沿いでルーブル美術館に程近い好立地。老舗百貨店「ラ・サマリテーヌ」を改修した建物にあり、買い物、観光、商談など、すべてのアクセスが整っているホテルといえるのではないでしょうか。

インテリアデザインはシャネルやルイ・ヴィトンのショップデザインなどで有名な建築家ピーター・マリノ氏です。文化遺産を生かしデザインされた最先端のラグジュアリーホテル。もしかしたら、写真だけではその魅力は伝わりにくいかもしれません。でも一度泊まってみると、壁の素材からテキスタイル、インテリアやアートにいたるまで、すべてが洗練され、細やかなところまで徹底的に選び抜かれていることがわかります。

部屋は、アースカラーを基調とした落ち着いたデザイン。限られた空間であってもウォークインクローゼットをたっぷり取った設計で、顧客目線で細部までしっかりと計算し尽くされています。

さらに特筆すべきは地下のスパエリアです。「ディオール スパ」は、今はまだ世界に3ヵ所しかないスパ。トリートメントルームに隣接するディオール ブティックには、日本未発売のシュヴァル・ブラン限定品も並んでいて、スパだけでなく買い物も楽しめます。

そして僕が好きなのはプールエリア。プールの壁面がLEDビジョンのデジタルアートなんです。パリの街並みの映像が静止画で映っているかと思いきや、時折鳩が羽ばたいたり、教会の鐘が鳴ったりと、泳いでいると地下にいることを忘れてしまいそう。サウナもあり、水風呂代わりに天井からシェイブアイスが降り、積もった氷に座って“ととのえる”仕組み。パリでも僕はしっかり、ととのわせていただきました(笑)。

そして過去最速で三つ星を取得したガストロノミーレストラン「プレニチュード」が素晴らしかった。ホテルを予約する際は、部屋よりこのレストランの予約に苦戦するかもしれません。

唯一僕が感じたところをあげるとしたら、7階のオールデーダイニングのバーの照明が明るすぎるかなと感じたことでしょうか。「シュバル・ブラン・パリ」はパリのリピーターやホテルを愛する皆さまにぜひ訪れていただきたいです。

「ホテルの必須条件は?」とよく聞かれるのですが、僕にとって、居心地がよいことです。

僕はジョン・モーフォードがデザインするパーク ハイアットが好きなのですが、このホテルには何よりリラックス感があるのです。仕事で海外に行くと、部屋が唯一緊張を解き、明日への英気を養ってくれる場所。それだけに僕には内装やデザイン、照明が大事。あとは水回りが快適なら、ほぼ満足できます。これはラグジュアリーホテルに限ったことでなく、カジュアルなホテルでも同じです。

これから世界中で観光業が活発化され、さらにたくさんのホテルがオープンすることと思います。そのなかで、どのホテルを自分のお気に入りとするかは、ゲストによっても違います。僕もできる限りさまざまな体験をとおして、ラグジュアリーからカジュアルまで、自分のなかのお気に入りである“超一流”を探していきたいと思います。

Yasumichi Morita
1967年生まれ。デザイナー、グラマラス代表。国内外で活躍する傍ら、2015年よりパリでの写真展を継続して開催するなど、アーティストとしても活動。オンラインサロン「森田商考会議所」を主宰。

過去連載記事

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連載
森田恭通/経営とは美の集積である。

デザイナーとして、多くの経営者の経営展望や理念、彼らの求める機能やニーズに応えてきた森田恭通氏。そのなかに見えたのは、経営者こそが持つ、オリジナリティ溢れるセンスと美学だという。「経営」と「美」の関係性、その先にあるものとは。

TEXT=今井恵

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