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2022.12.14

デザイナー・森田恭通がリゾートをデザインするときに一番大切にしていること

海外出張も増え、国内外を飛び回っている森田恭通氏。今、日本国内リゾートがアツいという。「コロナ禍のおかげで、改めて日本のよさを知れた」という男たちが手がけるリゾートとは? デザイナー森田恭通連載「経営とは美の集積である」Vol.31。【過去の連載記事】

森田恭通 リゾート

自身のオンラインサロンメンバーのワイン葡萄畑、相馬ファームで収穫を手伝う森田氏。さまざまな地域や人と関わることも森田氏のモチベーションにつながっているという。

リゾートの醍醐味は、移ろいゆく時間を堪能すること

世間的には雪山シーズン到来ですが、僕はリゾートといえばビーチ派で、スノーリゾートは無縁の男です。昨年、妻の誕生日のサプライズに『パーク ハイアット ニセコ HANAZONO』へと出かけましたが、雪景色を眺めながら時の移ろいを感じ、シャンパンを飲み、露天風呂につかり、食事を楽しみ、一度もゲレンデには立たずに帰ってきました(笑)。それでも十分スノーリゾートを楽しみました。

今、日本各地でリゾート開発が動き出しています。海派宣言しましたが、もちろん仕事では海山関係なくリゾートに携わらせていただいています。最近だと、プライベートでも仲よくさせていただいている、Francfranc創業者の髙島郁夫氏とzetton創業者の稲本健一氏と手がけているリゾートが来年オープン予定です。「世界一カッコいいプールを作ろう」と長さ40mで先端を狭くし、パースを利かせたブラックプールをデザイン。水面が水鏡になり、夜はプールサイドのパームツリーの間に炎を灯すので、美しく幻想的な空間になります。バーや冷暖房つきのガゼボ、サウナ、ヘリポートも完備した大人のためのリゾート。そのほかにも八丈島、淡路島など、日本の各地でリゾート計画が進行中です。

コロナ禍は負の要素ばかりでなく、年の半分近くを海外で過ごしていた多くの経営者や投資家の方々が日本各地のまだ知らなかった素晴らしい場所に出会うという、絶好の機会となりました。世界中の一流リゾートで素晴らしいランドスケープや上質なホスピタリティ、デザインを体験した人たちが、それを国内にも求める動きがあります。

僕が実際にプロジェクトを手がける際、一番大切にするのは時間軸です。訪れたゲストがそこで何をして過ごし、何日間滞在するのか。例えば、サンセットが素晴らしい土地なら、夕日が一番よく見える場所でご飯を食べてほしいし、マジックアワーは何時に始まるのかといったように考えます。また、昼と夜で景色や印象を変えるのであれば、それぞれにふさわしいデザインを考え、月がきれいに見える場所には月見台を作ったりと、まずは太陽と月の位置を考えたりします。ラグジュアリーな家具などで体裁を整えるというより、東西南北を考えた時にどの位置にどの家具を置くのが一番よいのか、など時間軸を優先します。

そのためドローンを飛ばして見える全体像に捉われることなく、実際に自分で見て歩き、目線の高さで何が見えるのかを考えながらデザインするのです。また、その土地の歴史や背景も必ず調べます。なぜなら、その土地ならではの環境や食文化、習慣、営みから学ぶことも多くあり、時にはデザインするヒントやストーリーも隠されているからです。

世界中には自分の想像を遥かに超える素晴らしい絶景やリゾートがありますが、日本には古来から育まれてきた原風景や絶景の地が各地にあります。海外で例えるならば、アイスランドの荒涼とした大地や、アマルフィのような絶壁などの美しい海岸線もありますが、日本はそれ以上の環境に恵まれた魅力的な地がまだまだあります。だからこそ、これからの日本各地のリゾートは、ますます活気を帯び、目が離せなくなるはずだと僕は思うのです。

Yasumichi Morita
1967年生まれ。デザイナー、グラマラス代表。国内外で活躍する傍ら、2015年よりパリでの写真展を継続して開催するなど、アーティストとしても活動。オンラインサロン「森田商考会議所」を主宰。

過去連載記事

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連載
森田恭通/経営とは美の集積である。

デザイナーとして、多くの経営者の経営展望や理念、彼らの求める機能やニーズに応えてきた森田恭通氏。そのなかに見えたのは、経営者こそが持つ、オリジナリティ溢れるセンスと美学だという。「経営」と「美」の関係性、その先にあるものとは。

TEXT=今井恵

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