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2021.12.03

コロナ後、初の渡仏。新しいパリの街に見えたもの【森田恭通】

仕事のため、10月に渡仏した森田恭通氏。やはりパリは素敵な街だったという。新しいホテルや商業施設が人を集め、美術館は完全予約制で快適。アップデートされたパリを歩き、森田氏のクリエイティヴ魂にも再び火が!デザイナー森田恭通の連載「経営とは美の集積である」Vol.20。

森田恭通

パリで撮影中の森田氏。パリの街並みとアートに刺激され、アドレナリン全開。

10月に、仕事でパリに行ってきました。かつては年の1/3以上を海外で過ごしていた生活が一変。本当に久しぶりの海外でした。僕が渡仏する際に必要だったのは、在日フランス大使館に発行してもらうEU共通の衛生パス。これを持っていないと、ワクチン2回接種後であっても、72時間以内のPCR検査の陰性証明書を持っていても、カフェにも入れなかった。街中はマスクをつけていない人がほとんどでしたが、デパートやホテルの中はマスクなしでは入れません。

ハイブランドの店舗の前にはコロナ禍前のような入店待ちの列。入店人数の制限に加え、担当スタッフがついて案内するようなシステムになっています。

美術館も完全な予約制でした。6月にオープンした安藤忠雄さん設計の新美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」では、ケリング・グループの創業者、フランソワ・ピノーの膨大な現代アートのコレクションを展示。18世紀に穀物取引場として建てられ、ガラスのドームが美しい歴史的建造物の中に造られた展示空間と、現代アートのコラボレーションが実に素晴らしかった。完全予約制となっていた美術館は、ゆったりと作品を堪能できました。

また、せっかくなので、行きたいホテルをホッピング。その目玉は今年オープンした「シュヴァル・ブラン・パリ」です。72室のコンパクトなホテルは、建築家のピーター・マリノによるアール・デコ様式の歴史的建築物の粋を集めた造りでした。

スパ、レストラン、ゲストルーム、そしてスタッフは、どれも非の打ち所がなく、たった数日の滞在ながらも「このホテルは最高峰を狙っているな」と感じました。もちろん、レストランは来春まで予約でいっぱい。世界中の贅を知り尽くした人々が集まるホテルに仕上がっていました。

パリは動きだしています。パリでは次の個展に向けて撮影もしたのですが、久しぶりの海外での創作活動や美術鑑賞に刺激を受け、更にクリエイティブ魂に火がつきました。

今回の渡航での帰国時は、さまざまなチェックやPCR検査を終え、入国審査から空港を出るまでにかなり時間がかかりました。その翌日からは定められた間の自主隔離。それを考えると以前のように自由に海外を行き来できるのはまだ先のことだと思います。そこで、パリを味わえるとっておきのスポットを紹介します。帝国ホテルの『ラ ブラスリー』。

38年前にオープンし、多くの人に愛され続けてきた名店が、ウェルカムグループの横川正紀さんプロデュースで生まれ変わる。バーエリアの改装の話でお声がけいただいたのですが、その話を聞いてワクワクしながらアイデアを提案させていただきました。現場を拝見して僕がイメージしたのは、レザネフォール時代の芸術家、ピカソやシャネル、ジャコメッティたちが集ったバー。そこには、多彩なジャンルのカルチャーを持つ人たちが集う。名前はずばり『HOTEL BAR』。僕はイヴ・クライン・ブルーの色をイメージして壁を塗り直し、そこにイラストレーターの関根正悟くんに、今のパリをイメージし絵を描いてもらいました。帝国ホテルは数年後に建て替えが始まるので、期間限定の店にはなりますが、お洒落な大人たちが集う〝東京で味わえるパリ〞として、皆さんにぜひ楽しんでほしいです。

Yasumichi Morita
1967年生まれ。デザイナー、グラマラス代表。国内外で活躍し、2019年オープンの「東急プラザ渋谷」の商環境デザインを手がける。その傍ら、’15年よりパリでの写真展を継続して開催するなど、アーティストとしても活動。オンラインサロン「森田商考会議所」はこちら。

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連載
森田恭通/経営とは美の集積である。

デザイナーとして、多くの経営者の経営展望や理念、彼らの求める機能やニーズに応えてきた森田恭通氏。そのなかに見えたのは、経営者こそが持つ、オリジナリティ溢れるセンスと美学だという。「経営」と「美」の関係性、その先にあるものとは。

TEXT=今井恵

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