TRAVEL

2026.08.14

世界中のセレブリティが訪れる。全室スイート「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」のバトラーを初体験

創業139年、アジアが誇る歴史的ラグジュアリーホテル「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」でバトラーサービスの真髄を知る!

全室スイート&バトラーサービス付き。「ラッフルズ シンガポール」本当になんでもしてくれるのか!?

白亜の建築、真っ白なターバンのドアマンに迎えられて始まる滞在

シンガポール、チャンギ国際空港からクルマで20分。ビル群が立ち並ぶ近代的な街並みの​なかに突如、白亜のコロニアル建築が見えてくる。1887年に開業し、現代においても19世紀の面影を残すホテル「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」だ。

開業から​2026年で139年。この地を統治する国々はさまざまに変わり、それでも長い間、保全修復しながら、建設当時の姿を保っている。

直近の大規模修繕は2017年から2019年に2年半かけて行われた。木造部分など傷んだ箇所を修繕しながら、客室数115室に増やした。内装はクラシカルな雰囲気を残しながら最新の照明や空調、タッチパネルなどが導入されているから、しばしこのホテルを訪れていない人にとっては、驚くべき変化を感じられるだろう。

旅慣れた人にとっては、心安らぐシンガポールの別邸として。旅に憧れる人にとっては、生涯一度は訪れたいホテルとして。そんな、多くの旅人にとって目的地となるこの地に降り立つと、白いターバン姿のドアマンが微笑みかけてくれる。代々ラッフルズ・ホテル・シンガポールのドアマンは屈強で聡明なインドのシーク教徒がつとめ、彼らの纏う白いターバンはこの場所の象徴にもなっている。

ラッフルズ シンガポールのドアマン

このドアマンはこちらが日本人だとわかると、「こんにちは、ようこそ」と流暢な日本語で挨拶してくれた。さらになぜか突如「ゴイゴイスー」とダイアン津田氏のネタを小声で呟き、こちらを和ませる。一体誰がどのようにこのネタをドアマンたちに伝えたのかは不明であるが、それでも異国のギャグを覚え披露しようというホスピタリティに驚かされる。

イギリス、インド、中国……さまざまな文化のジャンクション

ラッフルズ・ホテル・シンガポール。この名は、1819年、まだ人口が少ない辺境の地であった現在のシンガポールを、ヨーロッパとアジアを結ぶ重要な貿易港として発展させたイギリス人、トーマス・ラッフルズの名を冠して付けられている。

シンガポールが建国されたのが1965年だから、国の歴史よりもはるかに長くこのホテルはこの地に存在していることになる。その間、この国はイギリス統治、日本占領、マレーシア連邦時代を経て独自の文化と人の流れを作り上げてきた。

高い天井はイギリスのコロニアル建築を、浴室などに用いられる花柄のタイルは、中国、マレー、ヨーロッパの様式が混ざったプラナカン建築を思わせる。レストランではインド料理や中華料理、英国式アフタヌーンティなどが振る舞われ、さまざまな文化の融合を感じさせる。それこそがシンガポールの歴史と人の流れそのものなのだ。

マイケル・ジャクソンも泊まった最高峰の客室「プレデンシャル・スイート」

これまで、このラッフルズ・ホテル・シンガポールを訪れた文化人はさまざま。作家サマセット・モーム、チャーリー・チャップリン、ジャッキー・ケネディ、エリザベス2世などに愛されてきた。

1993年、マイケル・ジャクソンがシンガポール公演の際に宿泊したのが「プレジデンシャル・スイート」。「マイケルが窓からシンガポーリアンに向けて手を振った場所」として、語り継がれている。そしてこの部屋こそラッフルズ・ホテル・シンガポールを代表する最高峰のスイートである。

現在は、マイケル・ジャクソンが訪れた時から改修され、2ベッドルーム260㎡とさらに広くなった。広いバルコニーも独占できて、白亜の建築ごしにのんびりとシンガポールの街を眺めるのも楽しい。

​些細なことでも!バトラーになんでもお願いしてみる

世界中からセレブリティが訪れ続けるこのホテル。全115室がスイートという贅沢な造りゆえ、すべての宿泊者にラッフルズ伝統のバトラーサービスが提供される。

多くのラグジュアリーホテルでは、バトラーサービスは上位カテゴリーの宿泊者に限られることが多い。しかしこのラッフルズ・ホテル・シンガポールでは、訪れたすべてのゲストがVIPとなり、宿泊者全員がバトラーに「なんでもお願い」することができる。

常にVIPとして世界中を回っている人ならいざ知らず、旅慣れた人でも案外この「バトラーサービス」を使うのは、恐縮してしまう場合も多いだろう。

「なんでも頼んでください」、そう言われても、実際なにを頼んでいいかわからない。そこでGOETHEは、滞在中に思いつく限りのお願いをしてみることにした。

ディナー後、摂取したカロリーを消費すべくジムに向かう。その前にバトラーにこう問いかけてみた。「トレッドミルを使いたいのだが、空いているだろうか」。

バトラーへの依頼は、客室の内線、またはタブレットから「バトラーコール」をリクエストして行う。内線後すぐに確認をしてくれ、「1台空いているので、タオルと水を置いておきます」とのこと。そこから5分足らずでジムに向かうと、実際にバトラーが待っていてくれてトレッドミルへと案内してくれた。

ジムは他にも背中を鍛えるラットマシンなどが置かれたスペースも。この隣にプールもあるため日中は水面に揺られてからトレーニングするのも。

さらにその際に「40分ほど走ってから部屋に戻ろうと思うが、その頃にバスタブにお湯を張ってくれないか」とお願いする。バスタブは大きいゆえ、ジムから戻ったあと自分で湯を張る場合、少し待つことになってしまうからだ。もちろんバトラーは快諾、部屋に戻ると、なんとふわふわの泡風呂が用意されていた。

モコモコの泡のおかげで湯船はいつまでも温かい。

かつて「恋人の誕生日だから最高峰ダイヤモンドの指輪を用意しておいて」「世界にひとつしかない時計を見つけておいて」などなどバトラーにとんでもない依頼をした人たちが世界にはいる、と聞いたことがある。それに比べれば細やかな依頼かもしれない。しかし普段「風呂を入れて」「場所をとっておいて」というようなことを人に依頼することはけっしてないし、しかもそんなわがままににも即座にバトラーたちが対応してくれるので、非日常の贅沢な気分になれる。

ラッフルズ・ホテル・シンガポールには1部屋ごとに特定のバトラーがいるのではなく、「全バトラーに24時間お願いし放題」のため、深夜になにかお願いしたいことを思いついてもすぐに対応してくれるという。

翌朝は、胃を休めるためにもレストランへは行かず、部屋の前のテラスでサラダとコーヒーをいただくことに。もちろんこれも「あまりお腹が空いていないので、適当にサラダを見繕って、カフェラテとともにテラスに持ってきてくれ」とお願い。15分もしないうちに部屋のベルが鳴って、緑豊かなテラスに軽食が並んだ。

鳥の声を聴きながらのテラスでの朝食。花まで飾ってくれた。

他にも、「プールのシートを確保しておいて」「服にアイロンをかけて」(アイロンを持ってくるまでは無料、かけてもらう場合は料金発生)、チェックアウト時には「荷物をまとめて」「まとめた荷物をクルマに積んで」などなど思いつくままにお願いをした。

さらに「あなたはジムに行くようだけれど、もしよかったら外を走ってもいいかもしれません。その場合の安全で走りやすいコースマップも作りますよ」とまでバトラーは言ってくれた。それも素晴らしいアイデアだったが、ホテルのジムに置かれたテクノジム製のトレッドミルがあまりに使い心地がよく、外に走りに行くことはなさそうなため、遠慮しておいた。今思えばいつか再び訪れる時のために作ってもらえばよかったかもしれない。

内線、口頭でお願いを伝えることは英語に自信がない人にとってはハードルが高く感じるかもしれないが、世界中から多くの人が訪れ、働く人もヨーロッパ系からアジア系までさまざま、拙い英語や訛りがあっても大抵のことはわかってくれる。これは「こういうことを欲しているのでは」というバトラー側の想像力が豊かだからだろう。

「実際、バトラーはどこまでやってくれるのか」とバトラーに聞いてみると、笑いながら「法に触れないことであればなんでも」と答えた。こちらの「バトラーにお願いする想像力」も試されているのかもしれない。

ゆったりとシンガポールの歴史を感じられる空間で、バトラーたちに思いっきりわがままを聞いてもらえる贅沢。たまにはそんな非日常に浸る時間が人生には必要だ。

ラッフルズ・ホテル・シンガポール|Raffles Singapore
住所:1 Beach Road, Singapore 189673
客室:全115室(全室スイート)。宿泊者全員に24時間対応のラッフルズ・バトラーサービス付き。
施設:スパ、プール、フィットネス、歴史あるロングバーやTiffin Roomなどのレストラン・バーも備える。
料金:1泊約1,300シンガポールドル~(約15万円~、時期・部屋タイプにより変動)

TEXT=安井桃子

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2026年9月号

歯こそ最強のビジネス戦略

ゲーテ2026年8月号表紙画像

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2026年9月号

歯こそ最強のビジネス戦略

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ9月号』が2026年7月24日に発売となる。特集「歯こそ最強のビジネス戦略」では、エグゼクティブの口腔マネジメントに役立つ情報を網羅! 表紙は町田啓太。独占インタビュー&撮り下ろし8ページもお見逃しなく。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

GOETHE LOUNGE ゲーテラウンジ

忙しい日々の中で、心を満たす特別な体験を。GOETHE LOUNGEは、上質な時間を求めるあなたのための登録無料の会員制サービス。限定イベント、優待特典、そして選りすぐりの情報を通じて、GOETHEだからこそできる特別なひとときをお届けします。

詳しくみる