TRAVEL

2024.11.16

なぜ今、韓国アートが熱いのか? 独自路線を突き進むソウルの最新事情

なぜ定期的に韓国に通ってしまうのか!? 韓国サウナ、聖水洞エリア、アート、肉といった4つのカテゴリーで、4人の賢者のお薦めをご紹介。その魅力を知れば、その沼にハマること間違いなし! 今回は、キュレーター・米原康正氏が「韓国アート」を紹介する。【特集 昂る、ソウル】

ソウルの最新アート事情

「ソウルは純粋にアートを愛する人が集う」

伝説のギャル・ファッション誌や写真投稿誌などを手がけ、東京発のガールズ・ストリート・カルチャーを牽引。その後、フォトグラファーやキュレーターとしても活躍し、ギャラリー運営にも携わる米原康正氏。そんな米原氏が、今最も勢いがあると推すのが、韓国のアートだ。

「一昨年くらいまで続いた世界のアートブームは、転売で利益を得るのが目的という人が、怒濤の如く参入。結果、価格が異常に上がりすぎてしまい、今では、転売価格が元の値段を下回るという現象が出てきてしまった。ブームが去り、世界中のアートシーンが冷えこんでいるなか、調子がいいのが韓国です」

米原氏がそれを実感したのが、2024年9月にソウルで開催された「韓国国際アートフェア」、通称、「キアフ・ソウル」。22の国と地域から206軒のギャラリーが出店していたが、うち130軒は韓国国内のギャラリーだったという。

「印象的だったのが、韓紙や墨のような韓国の伝統的な素材や、単色画といった技法を用いているアーティスト。特に、伝統を取り入れながら、現代的な感性を反映させた若手の作品が、新鮮で、面白かったですね。値段がわりと手頃だからか、現地の若いコレクターも大勢来ていて、関心を示していましたよ」

近年のアートブームを牽引してきたのは、バスキアやバンクシーが代表格のストリートアートや、村上隆に奈良美智に象徴されるネオ・ポップアートだ。しかし、韓国のアート業界は、そうした流行に追従することなく、独自の道を進む。「それが、韓国の勢いにつながっているのではないか」と、米原氏。

「若手アーティストたちが自国のオリジナルを尊重しつつ独自に進化させ、それを現地のギャラリーやコレクターも応援している。その感じが、すごくよかったですね。“高く売れそうなもの”ではなく、“自分が好きなもの”を選ぶという、アート本来のあり方に立ち返っている気がして」

その流れはギャラリーにおいても同様。特に聖水洞(ソンスドン)エリアには、「志の高いギャラリーが集まっています」とのこと。その筆頭が、ビル内にひっそりと佇む「スヒン・ギャラリー」で、伝統的手法を用いつつ、ポップな作品を生みだすHA HYESOOなど、若手アーティストの発掘に力を入れているという。アートを再考しに韓国を訪れたい。

米原康正氏
米原康正
キュレーター。1959年熊本県生まれ。編集者、写真家として活躍し、「tHE GALLERY HARAJUKU」の運営など、アート業界の活性化にも力を注ぐ。

【特集 昂る、ソウル】

この記事はGOETHE 2024年12月号「総力特集:昂る、ソウル」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=村上早苗

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2024年12月号

昂る、ソウル

東方神起

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2024年12月号

昂る、ソウル

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ12月号』が2024年10月24日に発売となる。今回の特集は“昂る、ソウル”。最高にエンタテインメント性に富んだ国、韓国をさまざまな方向から紹介。表紙は東方神起が登場。日本デビュー20周年を目前に控えた今の心境を教えてくれた。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

SALON MEMBER ゲーテサロン

会員登録をすると、エクスクルーシブなイベントの数々や、スペシャルなプレゼント情報へアクセスが可能に。会員の皆様に、非日常な体験ができる機会をご提供します。

SALON MEMBERになる