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2026.04.03

「走れる気になっていること」が初心者ランナーの落とし穴【GLTホノトラ挑戦記2026】

2015年に発足したゲーテのトライアスロンチーム、「GLT(GOETHE LOVES TRIATHLON)」の第7期メンバーが2025年秋に決定した。2026年5月にハワイで開催する「ホノルルトライアスロン」に向けた挑戦の軌跡を連載でお届けする。第二回はランについて。第一回のスイムはこちら

ランニングはなんとかなる! は大きな誤解

GLTが目指すのは、トライアスロンのなかでもオリンピックディスタンスの完走だ。

スイム1,500mを泳ぎ切り、バイク40kmを漕ぎ終えた後に待つ最終種目がラン。ゴールまでの10kmと聞くと、そこまで過酷ではないようにも思える。だが、スイムとバイクで体力を大きく消耗した後、つまり筋疲労がピークに達した状態で臨むランは、実は3種目のなかでもとりわけ厳しいパートなのだ。

2024年度、2025年度のホノルルトライアスロン優勝者であり、トライアスロンプロコーチ、そしてGLTのコーチでもある梅田祐輝氏は、その難しさをこう語る。

「水泳やバイクと違って、ランニングは“走るだけ”だから大丈夫、と思ってしまう。そこが、まさに落とし穴です。実は3種目のなかで、もっとも怪我が多いのがランに起因するものなんです」

たしかに、バイクで転倒すれば大きな事故につながることは想像しやすい。では、ランにおける怪我とは、どのようなものなのか。

「ランは着地のたびに全身で衝撃を受け止めるため、スイムやバイクに比べて筋肉や腱、関節にかかる負担が大きくなります。特に膝、下腿、アキレス腱周辺には負荷が集中しやすいのです。

ランは気軽に取り組みやすい一方、体重の3〜5倍の着地衝撃があるため、スイムやバイクに比べ故障しやすい。その故障を避けるために正しいフォームで走ることが重要です」

正しい走り方こそが、怪我のリスクを遠ざける

GLTによるランのチーム練習は、梅田コーチの指導のもと、入念なストレッチから始まる。続いて、正しい姿勢、重心の意識、足の着地点などについて細かく説明が行われた。ランも実は技術的な要素の多い競技なのだ。

考えてみれば、走り方そのものを誰かに教わる機会は意外に少ない。多くの人は“なんとなく走っている”のではないだろうか。では、トライアスロン初心者が目指すべき正しい走り方とは何か。

「身体を痛めにくい走り方です。速く脚を動かすことよりも、まずは姿勢、重心、着地を整えることを意識してください。

まず大切なのは姿勢です。頭から骨盤までがまっすぐにつながるイメージを持つ。胸を張りすぎず、猫背にもならず、背筋を自然に伸ばすこと。腰を反らせるのではなく、お腹まわりを軽く引き締めて、身体の中心に一本の軸をつくります。上半身が安定すると、脚もスムーズに動きやすくなります。

次に意識したいのは、身体全体で前に進むことです。脚だけを前に投げ出すのではなく、少しだけ前傾し、身体の重心を前へ運ぶ感覚で走る。この時、腰から折れるのではなく、頭から足までが一本の線のままであることが大切です。

さらに重要なのが、足と地面の接地位置です。身体の前ではなく、重心の真下に足を着くことががもっとも効率がいい。足を遠くに着こうとするとブレーキがかかり、膝やすねへの負担も大きくなる。できるだけ重心の真下に足を置くようにすると、衝撃がやわらぎ、前へ進む流れも自然になります」

地面を蹴ることで、身体が前に進むわけではない

まず必要なのは、無意識になんとなく走る状態から、意識して走る状態へ切り替えることだ。頭では理解できても、身体がすぐに順応するとは限らない。

「ランニングを日常的にしていない人が誤解しがちなのは、地面を蹴ることで身体が前に進むわけではない、ということです。地面を強く蹴るのではなく、足が地面に落ちた時のバウンドの力を身体で受け止め、その反発を使って前へ進んでいく。脚で何かを“しようとしすぎない”意識が大切です」

その感覚をつかむためには、正しい姿勢を保ったまま、軽くその場でジャンプする練習が有効だという。

「接地時間を短くして、縄跳びをするような感覚です。最初から無理に太ももを高く上げたり、大股で走ったりする必要はありません。むしろ歩幅を欲張らず、リズムよく脚を回すほうが、身体への負担は少なくなります。腕振りはあくまで補助。軽く腕をたたみ、メトロノームのように小気味よいリズムで、脚から生まれるバウンドに合わせて振ってみてください」

梅田コーチは、「理想的なランニングフォームは“腰が高い走り”です」と語る。これは、骨盤が立ち、重心位置が高く保たれた状態を指す。そうすることで、お尻やハムストリングスといった大きな筋肉を使いながら、効率よく推進力を生み出せるようになる。地面からの反発も受け取りやすくなり、足への負担が減るため、結果として疲れにくい走りにつながっていく。

ランは、ただ脚を前に出せばいいわけではない。疲労が蓄積した状態だからこそ、フォームの差がそのまま走りの質と怪我のリスクに表れる。正しく走ることは、速くなるためだけではなく、最後まで自分の身体を守りながらゴールへ向かうための、何より重要な技術なのだ。

GLTのメンバーは姿勢と重心を意識しながら、反復練習に励む。がむしゃらに地面を蹴って走るのではなく、リズムよく前へ前へと。その一歩一歩が、ゴールへの確かな布石になっていく。

次回は4月17日(金)にバイクについての記事がアップ予定。スイムの過去記事はこちら

都内某所でチーム練習に参加したGLT第7期メンバー。小雨降るなかでも、皆で走れば楽しくなるのがチームの魅力!

TEXT=谷内田美香(ゲーテ編集部)

PHOTOGRAPH=古谷利幸

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