周りの人と同じように頑張っているはずなのに、どうして差がついてしまうのか。誰でもできるのに、実は誰もやれていない「仕事ができる人」になる秘訣とは? ビジネススキルの解説で話題沸騰の「にっしー社長」こと、西原亮氏の著書『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』より一部を抜粋・再編集して紹介する。【その他の記事はこちら】

「本を選ぶ作業」と「インプットする作業」は分ける
書店は自分の知見を高めてくれる宝庫です。
コンサル時代、夜遅く帰ることが多かった私は、昼の合間を縫って書店に行き、必要な本を漁っていました。今考えると1ヵ月の半分は書店に足を運んでいたと思います。書店で立ち読みをし、気づいたら熟読していることも多く、1時間以上入り浸ることもめずらしくありませんでした。
入社して半年経った頃、業務時間外に上司とともに書店に寄ることがありました。私はいつもどおりゆっくり立ち読みして、10分から15分かけて1冊ずつ物色していました。
しかし、上司は書棚でタイトルを見て、本を手にするとパラッと目次だけ見て、どんどんカゴに入れていきました。そして結果的に10冊以上もの本を買い漁っていたのです。
「あんた何してんの?」
上司はギョロッと目を見開き、立ち読みしていた私に鋭い眼光を向けました。そして、立て続けにこう言ったのです。
「どの本を買おうか悩んでいる時間がもったいないでしょ。タイトルと目次だけ見て、自分に必要かどうか判断して、1分以内に買いなさいよ」
私は1冊1500円から2000円する書籍を即断で買うのはもったいないという価値観でしたが、上司からすると「本を吟味している時間こそもったいない」という考え方でした。上司は「本を選ぶ作業」と「インプットする作業」は明確に分けるように指摘しました。たしかに、立ち読みの時間は「この本を読むべきか、買うに値するか」と悩んでいるだけです。立て続けに上司はこう言います。
「あんた、自分の時間単価を理解しているの?」
コンサルという職業柄、クライアントにチャージする1時間あたりの金額(報酬)は、世間一般からすると、とんでもない金額です。業務時間外だとしても、自分の時間単価を意識していないプロ意識の低さを指摘されたのです。これは、どの業界の人でも同じだと思います。
もう1点、本の選び方として重要なのは著者です。
どういう著者が執筆した書籍かを重視しろと上司からは教えられました。特に注目すべきは著者に「信頼できる実績」があるかどうかです。
たとえばサプライチェーンマネジメントに関する書籍であれば、執筆者が「実際に業務を経験し、変革してきたスペシャリストかどうか」が重要となります。そうではなく、評論家やご意見番のような著者が書いた本は避けた方が無難です。
ビジネスに必要な書籍を選ぶ際の参考にしていただけると幸いです。