「自分の強みがわからない」「自分に合う仕事が他にあるのでは?」。こんな悩みを抱えるのは、若者に限ったことではない。働き盛りの30代・40代になっても「自分探し」の旅を続けている人は多いものだ。ゲーテwebの連載「何気ない勝者の思考」でお馴染みの脳科学者・西剛志先生は、これまで多くの人の「自分探し」を手助けしてきたエキスパート。今回は実践編として、西先生が考案した「才能診断」と「適職診断」をお届けする。『1万人の才能を引き出してきた脳科学者が教える 「やりたいこと」の見つけ方』(PHP研究所)の一部を抜粋・再編集して紹介する。【その他の記事はコチラ】
10の才能のバランスがわかる
さて、10の才能の中身を理解したところで(記事はこちら)、あなたが10の才能をどんなバランスで持っているか、診断してみましょう。今回は自分で診断ができるように、シンプルな内容にしてあります。大まかに、10の才能のうち、自分の好きなこと、得意なことがわかる設計です。
【質問】
あなたは次のうち、どんなものに関心がありますか? ここでは、「好き」と「得意」を混ぜて構いません(また、経験していなくても構いません)。とにかく関心のあるAからJ までの各項目に、選択肢から該当するものにチェックを入れ、何個該当したのかを書き出してください。
才能の組み合わせで、ライフワークがわかる!
この診断では、A〜Jのなかで、チェックした数が多かったものから順番に並べてみます。1個や2個でも、チェックが多かった順番に並べてください。チェックした数が多かった人も、少なかった人もいるでしょうが、そこは問題ではありません。この才能診断で面白いのは、チェックした「才能の組み合わせ」でライフワークの方向性が確認できることです。
診断の事例を紹介しましょう。これは実際にAさんが診断した結果です。
(診断例)Aさんの場合
博物学→ 4つ/論理→4つ/視覚空間→3つ
(手先2、内面2、数学2、言語2、身体1、対人1、音楽0)
Aさんは、博物学的知能と論理的知能がもっとも高く、その次に視覚空間的知能が高い傾向があります。博物学と論理の組み合わせは、「多くの選択肢から最適なものを提案する仕事」や「物事を体系化する仕事」が向いています。知識を整理して、わかりやすく並べ替えたり、既存の要素を組み合わせて新しいものを生み出したりする仕事です。
たとえば、コンサルタントや新しいコンテンツや仕組みを生み出す仕事です。また、視覚空間的な知能が高いため、ファッションやインテリア、旅行や宿泊先、結婚式場などその人に最適なプランを提案する仕事や、イベントプロデュースや、動画編集などを駆使して映像をつくり出す動画クリエーターなども、向いている職業の候補に入る可能性があります。もし、ここに手先の才能を加えると、新しい編み方や手術の方法を開発する仕事から、マッサージ手法を開発する仕事、立体的な造形物の創作の仕事など芸術の世界まで視野に入ってくるかもしれません。
ただし、Aさんは対人的知能が低いため、人と接する仕事よりも、一人で行なう職人気質の仕事のほうが楽しいと感じるでしょう。後述しますが、チェックをつけた才能が複数ある場合は、次の表で、すべての才能の組み合わせをそれぞれ見ていくと、自分に向いている仕事の方向性がわかりやすくなります。
(診断例)Bさんの場合
対人→3つ/内面→3つ/言語→2つ/身体→2つ
(音楽1 数学0、論理0、視覚空間0、手先0、博物学0)
Bさんの特徴は、対人的知能と内面的知能が同時に高いことです。
内面的知能だけが高いと、心のなかで深いことを考えているばかりで、人に伝 えることができません。少しオタク的といえるでしょう。 一方、対人的知能だけだと、人と一緒にいるのは大好きですが、人の心に届く深い話をすることができません。人なつっこくても、天気や最近の話題のニュー スなどの表向きの話ばかりするような人は、このタイプです。 どちらか一方しかない人もいるのですが、2つ揃うと、思慮深く、相手の琴線に触れる話ができるため、「人をよい方向に導く仕事」ができます。
そういった意味で、人の心を動かすセールスマンや経営者、マネジャーなどが 向いています。この2つの才能を同時に満たすからです。 Bさんは、言語的知能もあることから、言葉を通して人を導いてあげるような 仕事、たとえば、コンサルタントやカウンセラー、学校の先生や教育者なども、 ライフワークとして向いているかもしれません。 身体的な知能も他の才能と比べてあるので、スポーツコーチや、健康系インストラクター、スポーツ選手などチームワークの指導者の立場としてもうまくいく 可能性があります。 つまり、才能の組み合わせによって、その人のライフワークの方向性が自然と 見えてくるのです。