英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第261回。
「バッチこい」も“trash talk”?
Who is the biggest trash talker on the pitch? who’s always in your ear?
(ピッチで1番のtrash talkerは誰ですか? 誰がいつもあなたの耳に入ってきましたか?)
仕事をするか、英語の勉強をするか、どちらかをしようと思っていた日曜日の夕方、それでもやる気が出ず、ネットサーフィンをしていたら流れてきた動画で、こんなフレーズが聞こえてきました。やる気はないものの、この英語の動画をこのままぼーっと見続けていたら勉強にはなるかもしれない。そう思って、trash talkerの意味がわからないながらも続きを眺めていました。
質問をされているのは、サッカーの元イタリア代表、アレッサンドロ・デル・ピエロでした。現在49歳、ダンディなイタリア男の色気が凄まじく、「たくさんいるよ」と、誰とは言わずにかわしている姿もまたセクシーです。
それに対して「具体的に誰?」と詰め寄っているのがサッカーの元イングランド代表のマイカ・リチャーズ。随分豪華なトークショーだなと思って見ていましたが、何に盛り上がっているか、trash talkerの意味がわからないのでまったくついていけず、いったん動画を止めて調べてみることにしました。
trash talk=相手を汚い言葉で威嚇する
という意味だそうで、主にスポーツで使われるということ。trash talkerはそのように汚い言葉を試合前や試合中に言う人のことを表すようです。
スポーツマンシップを考えれば、trash talkはあまり良いことではないのでは? そう思って詳しく調べてみたのですが、相手を動揺させ、自分自身を鼓舞するために一般的な戦術だということ。
中高バレーボールをやっていた私は、ふと思い出しました。
そういえば当時相手がサーブを打つ前に「バッチこーい」と言っていました。
「バッチこい」、多分「バッチリこっちにサーブよこせよ」的な威嚇だったと思われます。みんなが言っていたので、真似して私も言っていただけで、どういう意味かは深くは理解していませんでした。けれど、これを言うとテンションが上がりましたし、どんなサーブでも取れる気がしました。あれこそ、trash talkだったのかもしれません。
アレッサンドロ・デル・ピエロが“trash talker”だと思う人
デル・ピエロはつまり「誰が1番、相手を威嚇してうるさかった?」と聞かれていたわけです。
「いや、すごいtrash talkerってわけでもないんだけど、まぁファイターなやつはいるよね。俺は好きだよ」
と前置きをしたあと、
「ガットゥーゾかな」と同じく元イタリア代表のジェンナーロ・ガットゥーゾの名前を上げていました。
ワールドカップやオリンピックといった国際大会では、威嚇するのもされるのも英語でなければならないでしょう。国際大会に出る予定はまったくありませんが、我らが日本代表が威嚇されていた際にそれがわかるように、勉強を続けたいと思いました。
ちなみに、思い出したついでに「バッチこーい」でその意味を初めて検索してみました。すると、野球で「バッター、打ってこいよ」と煽るフレーズだと出てきました。バレーボールだったのになんで私たちのチームが「バッチこーい」と言っていたのかは思い出せません。野球以外でも「バッチこーい」と言う人はけっこういるんでしょうか。10代でバレーボールをやめてから30年以上、すっかりスポーツに疎い私にはわかりません。誰か教えてください。