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2024.03.23

仕事疲れに効く、岡本太郎の言葉5選

「芸術は爆発だ」の言葉で知られる芸術家・岡本太郎。芸術によって社会の課題に挑み、生涯を通じてあらゆるものと闘い続けた岡本太郎の残した言葉は、今を生きる人々の胸に突き刺さり、前へと進むパワーを与えてくれる。『ありのままに、自分らしく生きる 岡本太郎の言葉』(リベラル社)より、一部を抜粋・再編集して紹介する。【その他の記事はコチラ】

空を見上げる男性
razvan-chisu/ unsplash ※写真はイメージ

一度失敗したなら、“よしもう一度失敗してやるぞ”というぐらいの意気ごみでやることが大切なんだ

人が新しいことや、慣れないことに挑戦するのを嫌がるのは、失敗を恐れるからです。会社であれば、「失敗して上司に叱られるのは嫌だ」という不安から挑戦を避け、無難な仕事ばかりをするようになるのです。これでは何も生み出すことはできないし、自分自身を大きく成長させることはできません。岡本太郎は言います。

「挑戦した上での不成功者と、挑戦を避けたままの不成功者とではまったく天地のへだたりがある。挑戦した不成功者には、再挑戦者としての新しい輝きが約束されるだろうが、挑戦を避けたままで降りてしまった奴には新しい人生などはない」

「ベストを尽くして失敗したら? ベストを尽くしたってことさ」はスティーブ・ジョブズの言葉です。挑戦したからといって、成功するとは限りません。ジョブズや岡本が言うように、大切なのは全身全霊をかけて挑戦することです。

結果、失敗したとしても、その時は「なぜ失敗したのか」を反省したら、もう一度、まったく新しい気持ちでやればいいだけのことなのです。

もしコワイなら、ぐっと耐えて、やがて腹の底から猛烈なヴァイタリティで噴出する、あの人間的なエネルギーを待てばいいのだが、すぐ既製品でかっこうをつけてしまう

アップルの創業者スティーブ・ジョブズは企業について相談に来る若者に、「こうしたいという強い情熱」があるかどうかを尋ね、何もない若者には「情熱が湧くまでは皿洗いでもした方がいい」と忠告していました。溢れる情熱こそが何かを成し遂げる力になるのです。

今の時代、スケジュールの空白に不安を覚える「空白恐怖症」の人が少なくありません。結果、空白を埋めようと無理に予定を入れることになるわけですが、同じことが精神面でも起きると岡本太郎は早くから指摘していました。

本当にやりたいことや目標が見つからない「心の空白に不安を感じ、自己啓発本などを読み無理に自分の目標とする人がいますが、そんな地に足つかない目標ではジョブズの言うように何事も成し遂げられません。岡本によると、心の中の空白は飛躍へのチャンスとなります。

心の中に何もないことが怖いなら、耐えて、待てばいいのです。すると、腹の底から猛烈なヴァイタリティ、「自分は何が何でもこれをやりたい」というエネルギーが湧き、それが背中を押し、行動することができるのです。空白は安易に埋めず、自分の中から何かが湧き上がるのを待てばいいのです。

むずかしい、危い、そう思えばなおさら、その中に躍り込むところに、生きがいがある

岡本太郎が手がけたのは絵画や彫刻だけではありません。依頼され、興味があれば何でもやってみるというのが岡本のスタンスでしたが、それでも名古屋の久国寺という住職から「梵鐘(ぼんしょう)をつくってほしい」と依頼された時はさすがに驚いたといいます。

当然、岡本は過去に梵鐘をつくったことがありませんが、住職の「お任せします。思う存分やってください」という言葉にファイトが湧いたといいます。

普通の梵鐘であれば専門家に依頼すればいいことです。岡本はならないかに縛られることなく、古今東西、いまだかつてなかっ形の鐘をつくることを決意します。鳴らない梵鐘など前代未聞ですが、そうした無謀とも言える挑戦こそ生きがいを感じるし、新たな道を開くと言うのが岡本の考え方でした。

出来上がったのは普通の「乳(ち/鐘表面の突起装飾)」ではなく、長さが50cmのイボ状の突起が30本以上ついた前代未聞のものでしたが、いざ鳴らしてみると素晴らしい「歓喜の音」を響かせることになったのです。たいていの人にとって未知のことは「できない」につながりますが、岡本にとって未知のこと、やったことのないものは「やってやろう」となるのです。

くるくると別の仕事をしていくことで、かえって解放され、疲れがほぐれるような気がする

一般的には「疲れたら仕事を休み」人が多いかと思いますが、成功者の中には「疲れたら別の仕事を始める」ことでリフレッシュする人もいます。

たとえば、「発明王」として名高いトーマス・エジソンは常時6つ、7つの構想を同時に練っており、「1つのアイデアを考えることに疲れたら、別のアイデアに移る」ことで「発明がすべて」の生活を送っていました。

岡本にも似たところがありました。岡本によると、絵画や彫刻、執筆や講演などは「脳を使う場所がみんな違う」ため、絵に集中していたかと思うと、庭に飛び出して彫刻に取りかかり、またしばらくすると机に座って文章を考えるというように、「くるくると別の仕事」をしていれば、疲れるどころか、むしろ疲れがほぐれるような気がしたといいます。

それはあたかも何かに夢中になって取り組んでいる子どもと同じで、次々と新しいことに熱中して動き回っては、見ている大人の方が疲れて果てているのに、当の子供はケロッとしているのと似ています。大切なのは次々と新しいことに挑戦する気持ちを持つことです。そうすれば疲れて休む必要さえなくなってくるのです。

ただ頭で想像するだけの架空の注文主に合わせようとするものだから、(中略)あらゆることに気兼ねして、最大限度の臆病になってしまう

テレビがつまらなくなってきた理由の一つにコンプライアンスがあります。あれこれ先回りして制約を加えるうちに、何だか面白みのないものになるという現実があるようです。

岡本太郎によると、ヨーロッパではかつては宮廷や寺院、貴族の注文に応じて描かれていたが、絵の世界からこうしたご主人様がいなくなった代わりに、今度は画商や批評家が幅を利かすようになり、こうした人たちをご主人として絵画が描かれるようになったことで、芸術としては限定されたものになってしまったといいます。

では、日本はというと、あまり絵が売れないため、本来は買い手のことを意識せず、新しい芸術の可能性を探れるはずが、描き手が「こうやったら嫌われるのでは」「どぎついといけないし、あとなしすぎても目立たない」「流行に遅れてはダメ」などあらゆることに気兼ねすることで、結果、10点満点の7点か8点の臆病な無難な絵ばかりが出来上がることになります。

そうならないためには「好かれたくない、ほめられたくない、味わってもらいたくなんかない」という挑戦的な姿勢が必要だというのが岡本の考え方でした。

TEXT=桑原晃弥

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