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2024.03.21

「個性的であろうとして、個性を失っている」岡本太郎、自分らしくいるための名言4選

「芸術は爆発だ」の言葉で知られる芸術家・岡本太郎。芸術によって社会の課題に挑み、生涯を通じてあらゆるものと闘い続けた岡本太郎の残した言葉は、今を生きる人々の胸に突き刺さり、前へと進むパワーを与えてくれる。『ありのままに、自分らしく生きる 岡本太郎の言葉』(リベラル社)より、一部を抜粋・再編集して紹介する。【その他の記事はコチラ】

燃え上がる炎
marek-piwnicki/ unsplash ※写真はイメージ

「個性美」の大量生産。個性的であろうとして、個性を失っているのは、まことに現代的矛盾である

街を歩いていると、若い女性の顔が同じに見えることがあります。もちろんひとり一人は違うわけですが、若い女性に人気の「韓国メイク」の影響か、化粧の仕方や着ているものなどがとても似ているからか、そんな錯覚を覚えることがあります。

岡本太郎が美容術についてこんな指摘をしていました。

「現代の美容術というのもおもしろい。個性美を何よりも重視する。ところが、きれいにお化粧をした女性を見ると、みんな同じような顔に仕上がってしまうのだ」

「個性的であろうとして、個性を失っている」という現代的矛盾を前に、岡本はいっそのことプラスチックでマスク(顔)をつくってハメるようにすれば、みんなが大量生産された流行のマスクをつけて、同じ顔ばかりになるという、「想像しても、ぞっと寒気がする」話を披露しています。

もちろんこれ自体は岡本の「茶目っ気」からの話ですが、たしかに誰もが流行に遅れまいと最新の流行を追う時代、個性的であるはずが没個性になるというのは当時も今も変わらぬ傾向と言えます。

単に流行を追うだけでは個性的であることはできないのです。

能力がないなんて決めて、引っ込んでしまってはダメだ。(中略)世の中で能力とか才能なんて思われていたものを超えた、決意の凄みをみせてやるというつもりでやればいいんだよ

スティーブ・ジョブズがアップルを創業したのは21歳の時です。しかし、当時のジョブズは大学を1年の1学期で中退してしまったため学歴はなく、お金もなく、強力な人脈もなければ、会社を経営した経験ももちろんありませんでした。

まさに「ないないづくし」ですが、唯一あったのが、「誰も信じていないが、本人だけが信じていたビジョンと情熱」という思いでした。それだけを頼りに猪突猛進し、創業からわずか4年でアップルの株式公開を実現したのです。

もしジョブズが夢はあっても、「僕には何もないから」と諦めていたらアップルもiphoneも生まれることはなかったのです。

岡本太郎の言う「決意の凄み」が「ないないづくし」の袋小路を突破し、世界を変える力となったのです。岡本は言います。

「自分で勝手に諦めて、無難な道を選んで、そのくせ、もしあの時諦めずにやりたかったことをやっていれば、なんて一生、恨みったらしく未練を残している、そんなの、つまらないじゃないか」

大切なのは才能や能力以上に、これを「やる」と決意することです。その決意の差がやがて大きな差となってくるのです。

やろうとしないから、やれないんだ。(中略)もう一つ、うまくやろう、成功しようとするから、逆にうまくいかない

今でこそ世界に誇れる企業のトヨタ自動車ですが、創業したばかりの頃は「日本で自動車産業なんて無理」という声がほとんどでした。

にもかかわらず、「できるかできないか」ではなく、「できる」と覚悟を決めて始めたこと、そして「もし会社が潰れても優れた機械やノウハウは残り日本のためになる」という失敗を恐れない強い意志があったかこそを乗り越えられたのです。

岡本太郎が芸術家として成功すると、中には「あなたには才能があるから、岡本太郎だからやれるので、凡人には難しい」と言う人たちがいましたが、岡本は「そんなことは嘘だ」と言い切っています。

たいていの人は「成功したい」と考えますが、実際には失敗を恐れ、上手くやろうとすればするほど、自分の本当にやりたいことはできなくなり、「上手くはいくかもしれないが、流されたままで生きる」ことになりかねません。

「やるかやらないか」を決める時、どちらが成功確率が高いのかばかり気にしていると、無難だけれども面白みのない人生になります。

人生はやりたいことをやればいいし、成功か失敗かよりも、全力でやりたいことに挑むことこそ大切というのが岡本の考え方です。

遊ぶ手段には少しも事欠かない。(中略)だが増えれば増えるほど、逆にますます遊ぶ人たちの気分はむなしくなってくる

今の時代、都会で暮らすビジネスパーソンにとっては通勤時間を含む働く時間はとても長いように思えますが、それでも週休2日制に加え祝日や有休を加えれば、自分の時間はそれなりに持つことができます。

ましてや定年退職で仕事を離れた高齢者にとってはほとんどの時間が「何をしてもいい、が何もすることがない」時間になります。

こうした時間を埋めるための手段には事欠きません。

岡本太郎の時代であれば、映画やテレビ、野球のナイターやプロレス、ボクシング、街には飲み屋やパチンコ屋が軒を並べ、競馬や競輪といったギャンブルに「せっかく真面目に、あくせく働いて得た金や時間を限りなく消費」していたわけですが、今ではその代わりをネットがしてくれて、そこに多くの時間を消費することになります。

岡本はこれらを「お遊び」と呼び、「遊び」とは別物と考えていました。高齢者であれば、定年後に備えて「趣味を持て」と言われるわけですが、そんな「お遊び」では本当の生きがいは生み出せないというのが、岡本の考え方でした。

充実していなければ本当の仕事とは言えないように、本当の遊びは心の底から楽しめるものであることが必要なのです。

TEXT=桑原晃弥

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