35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第230回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは
イラついている人が言う「チーズ」の意味、わかりますか?
日本語ペラペラのイギリス人とオンラインで話していたら、クリスマス休暇明けの仕事でストレスが溜まっていたのか、同僚の悪口をめちゃくちゃ言ってました。
「あの子はね、人のことを下に見てるのよ」
「私だけじゃなくて、もうね、世の中の人のことを全員下に見てるの。あの子、すっごく偉そうなの!」
とにかく同僚の態度が横柄なのが許せないということ。話しているうちにどんどんイライラしてきたのか、最初は日本語だったのに、最後は感情的にこう叫んでいました。
Her attitude to the whole thing really cheeses me off!
「彼女のものごとへの全部の姿勢が、私をチーズオフする」
直訳したらこういうことですが、「私をチーズオフする」とは一体どういう意味でしょうか。
一度落ちつかせて意味を聞いてみたらこういうことでした。
Cheese ~ off=〜をイラつかせる
「彼女の態度はすべて私をイラつかせる」という意味で使ったということ。だいぶ怒っているのがわかります。
また、過去形にして“Cheesed off”とすると「イラだち」とか「失望」という意味の形容詞になるそうです。イギリスならではのスラングということですが、ちゃんとケンブリッジの英英辞典にも載っていました。例文はこのようになっています。
She's a bit cheesed off with her job.
「彼女は、自分の仕事に少しがっかりしている」ということでしょう。
20世紀中頃に、「質の悪いもの」「劣っているもの」をCheeseと言っていたそうで、そこから来た言葉ではないかと言われているそうです。なぜ、「質の悪いもの」をCheeseと言ったのかは諸説あるようですが、腐った食べ物は「チーズのような匂い」がするからなのかもしれません。
写真を撮る時の掛け声は世界共通!?
蛇足ですが、イギリスで集合写真を撮る際、“Say cheese(チーズって言って)”と言われて驚いたことがあります。「ハイ、チーズ」は日本だけの掛け声かと思いましたが、どうやら全世界共通みたいです。
“Say cheese”と言われたので、英語を意識して、Cheeseのeeの音をちゃんと発音してみたら、口角がいつもより上がって写真写りが良くなった気がしました。
ちなみに「ハイ、チーズ」は世界共通ですが、写真を撮る時、ピースサインをするのは日本人特有の事象みたいです。「日本人ってなんでいつもピースするの?」と聞かれて、なんと答えていいかわかりませんでした。
彼女はさんざん愚痴ったらスッキリしたようで、休暇中に家族と撮った写真を見せてくれました。さっきまでCheese me off!と叫んでいた人と同一人物には見えないくらい、どの写真も口角の上がった素敵な笑顔でした。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。