35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第223回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは
I was young and full of beans.=私は若く、豆でいっぱいだった!?
イギリスの英語教師(初老女性)とオンラインで話していたら、「若い頃は勉強も子育てもしながら、たまには子供を預けて朝まで遊んだりしたものよ」と突然遠い目で若い頃のことを語り始めました。
英語の教材が「過去について語る」というものだったので、先生は若い頃を思い出したのでしょう。私は、適当に「それはすごいっすね」と相槌をうったら、彼女はこう言いました。
I was young and full of beans.
直訳すれば「私は若く、豆でいっぱいだった」となります。
まったく意味がわらないので、聞いてみたらこういうことでした。
full of beans=元気いっぱい
イギリス料理にはよく豆が使われていますし、それをたくさん食べれば元気いっぱい、そんなイメージでしょうか。14世紀までは“full as prune”と言っていたそうですが、19世紀頃に今の言い方になったようです。
“full as prune”、それって「プルーンのように詰まっている」ということでしょうか。確かにプルーンには栄養が詰まっていますし、ミキプルーンを食べると元気になれます。なんとなく腑に落ちる気もしました。
ケンブリッジの英英辞典にはこういう例文が出ていました。
I've never known anyone be so full of beans before breakfast. (朝食前にこんな元気いっぱいな人、見たことない)
文脈によってはネガティブな意味にも
“full of beans”、ポジティブないいフレーズを教えてもらったのでどんどん使っていこうと思ったのですが、先生にこう注意されました。
「文脈によってはネガティブな意味になるからね」
先生いわくこういうことでした。
例えば私が“I am a billionaire.(私は億万長者だ)”と言ったとしたら。
流行遅れのボロボロの服を着て、テーブルマナーもろくに知らない私がそんなことを言っても誰も信じず“You are full of beans.(嘘ばっかり)”と言うだろう、ということ。
このように“full of beans”は「嘘ばっかり」という意味にもなるのだそうです。
「元気いっぱい」なのか「嘘いっぱい」なのか、意味が全然違いますが、こればっかりは、文脈によって判断するしかないようです。英語力0.5の人間が使うと混乱を招きそうなので、しばらくは使わない方が良さそうですが、知っておいていいフレーズです。
ちなみに、イギリスの朝食にはよく赤く煮た豆が出てきますが、日本の朝食の豆といえば納豆。「朝はイギリス人と一緒だよ、豆を食べるよ」と、納豆について英語で先生に説明しようと挑戦してみましたが、私の英語力ではrotten beans(腐った豆)としか言えず、先生に嫌な顔をされました。納豆のおいしさを英語で言えるくらいに早くなりたいです。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。